WELLNESS
吸水ショーツ、月経カップetc.「フェムケア」でサニタリーライフをもっと快適に!
Reported by Madoka Natsume
2022.4.15
女性特有の月経期間を不便に思っている人は少なくない。体調が優れないことから、やむを得ず仕事を休むことも。一方で、社会環境の変化やテクノロジーの進化によって、女性特有の不調や、婦人科系の疾患などを支援する取り組みも活発になっている。女性が抱える健康課題に向けた製品やサービスも多く登場し、「フェムケア」(そのなかでテクノロジーを使っているものは「フェムテック」と呼ばれる)というワードで知られるようになってきた。そこで、使っている女性も増えてきているという、サニタリー期間中の不快感を和らげるフェムケアを紹介する。
“女性ならではの悩み”と向き合う、3つのキーワードとは?
私たち女性の健康課題について考えてみたい。女性はライフステージによって、月経の悩みはもちろん、更年期、婦人科系の疾患など、女性の身体ならではの問題に直面する。そのような女性が抱える健康についての悩みを解決すべく、ここ数年でさまざまな取り組みが官民問わず行われるようになってきた。その動きのなかで、注目すべきキーワードは3つ、女性における『ライフプラン』『ヘルスリテラシー』、そして『フェムケア・フェムテック』。いずれも私たち女性の生き方と幸せに大きく関わる、キャッチアップすべきワードだ。
女性における3つのキーワード
①ライフプラン
結婚、妊娠、出産といったさまざまなライフイベントを念頭において、長いスパンで人生設計を行うこと。自分の意思で働く、自分の能力を生かせる場所に身を置くなど、自分の生き方を自分の意思で自由に選ぶ。
②ヘルスリテラシー
女性に関する必要な健康情報をキャッチして、理解し、さらに活用するための知識や意欲、能力のこと。ヘルスリテラシーを身につけることが、毎日の体調やパフォーマンスを高めることにつながる。
③フェムケア・フェムテック
女性特有の性や女性ホルモン分泌に関連した悩みを解決してくれる製品やサービスを意味する。特にテクノロジーを駆使したものをフェムテック(Female(女性)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語)と呼ぶ。テクノロジーを使っていないものはフェムケアと呼ばれる。
これらのようなキーワードが注目される背景には、女性の社会進出やジェンダー平等意識の世界的な高まりなどによって、それまであまりオープンにされてこなかった女性たちのリアルな声がSNSを通じて表面化されたことにある。女性のライフプランをデザインするうえで欠かせないのがヘルスリテラシーであり、そして女性がより多くの選択肢を持ってライフプランを設計する上で欠かせないのが、フェムケア・フェムテック。そしてフェムケア・フェムテックなどのプロダクトなのだ。それらの開発者の多くが女性たちであることにも注目したい。
月経痛やPMSで仕事のパフォーマンスが低下
。ヘルスリテラシーを高め、月経とうまく向き合おう
女性特有の健康課題は年代によってさまざまだが、月経に関する不調を訴える女性は多い。月経痛や生理前にやってくるPMS(月経前症候群)を当たり前のように我慢している女性もいまだ少なくない。しかし、ヘルスリテラシーの側面から捉えても、放っておいていい問題ではないだろう。
毎月やってくる月経とどう向き合うか。これは日常生活においても、仕事においても重要なこと。特に仕事へのプレッシャーや責任が増える30代女性にとって、月経周期に伴う心や身体の変化は、仕事のパフォーマンスに大きな影響を与えることも。月経周期に伴う心身の変化による仕事のパフォーマンスの変化を比較したところ、元気な状態を10点とした場合、半分の5点以下になると回答した人は約半数もいた。
また、ヘルスリテラシーの高いグループと低いグループに分けて、1カ月の仕事のパフォーマンスを比較計測すると、ヘルスリテラシーの高いグループのほうが、PMS(月経前症候群)や月経随伴症状によって仕事のパフォーマンスが下がる割合が低いことがわかっている。
月経とうまく向き合うことで、私たちはリズムを崩すことなく普段どおりのパフォーマンスを行うことができる。そのためにもヘルスリテラシーを身につけ、フェムケア・フェムテックを上手に取り入れることが大切だ。
サステナブルも叶う! 働く女性にぜひ使ってほしいフェムケア
サニタリーライフについてオープンに話せるようになった昨今、さまざまな情報交換がなされるなかで、今、注目されているのが月経カップや吸水ショーツなどのフェムケアアイテム。使い慣れることで、サニタリー期間中も快適に過ごせるといった声もあるそう。また、ゴミを出さない、使い捨てではないという観点においてサステナブルということもあり、さらに関心が高まっている。
女性の身体にまつわる悩みや課題を共有し、悩みの解決につながるフェムテックを国内外からキュレーションする「fermata(フェルマータ)」のマーケティングコーディネーターを務める中川里菜さんに月経カップと吸水ショーツについて教わった。
使うタイミングと量に合わせてアイテムを選ぶ
fermataは、日本初のフェムテック専門の路面店「fermata store in New Stand Tokyo」を東京・乃木坂にオープン。国内外の吸水ショーツ、月経カップをはじめとしたフェムテック製品を販売している。実際に製品に触れることができ、スタッフに相談しながら選べるとあって、幅広い年代が来店しているという。
「月経の悩みは本当に人それぞれです。月経前に起こるPMSで悩む方もいらっしゃれば、量の多さ、月経痛に悩む方もいます。そうした一人ひとりのお悩みと向き合いながら、製品をご紹介しています。特に最近、人気があるのは吸水ショーツです。大手メーカーが参入したことで裾野が一気に広がり認知されていますが、『本当に漏れないの?』『量が多くても、大丈夫?』など尋ねるお客様もいらっしゃいます」と中川さん。
店頭では国内外7ブランドの吸水ショーツを取り扱っている。
「私がおすすめしているのは、日にちと量で使用する吸水ショーツを使い分けること。月経がもうすぐ始まるかも、という時期から1日目、量が多い2~4日目、月経が終わる5~7日目と量に合わせて吸水ショーツを選ぶとわかりやすいですね。そろそろ月経が始まりそうというタイミングに合わせて普段のショーツとほぼ変わらない吸水ショーツにしておけば、うっかり始まってしまっても安心です。そして、量が多い日は吸水力に優れたショーツに切り替えます。量に合わせて2、3枚持っていれば十分です。
そして、吸水ショーツに次いで人気があるのが月経カップ。医療用シリコーンなどのやわらかい素材で作られたカップ型の月経用品で、膣内に挿入してカップの中に経血をためる。
「月経カップはある程度慣れが必要ですが、慣れてしまうととても快適に過ごせます。メリットとして、経血がカップに溜まりますから、あのドロッとした感覚がありません。また、ニオイやムレもなく、頻繁に替える必要もありません」
ひと昔前までは、使い捨てナプキン、もしくはタンポンの2択だっただけに、選択の幅が広がったことは嬉しい。それにデザインやカラーも豊富で、下着を選ぶように気に入ったものを購入したくなる。様々なフェムケアアイテムの登場は、これまでタブー視されてきた生理を、自分の身体の仕組みのひとつとしてポジティブに受け入れる手助けをしてくれるのだ。
中川さんはお客様と生理はもちろん、女性に関する様々な悩みをオープンに話せるように心がけているそう。
「コスメの話をするような感覚で気軽に話したいと思っています。どんな小さなことでも話してみることで悩みを共有することができ、そこから解決の糸口が見つかりますから。お客様は20-30代が中心ですが、なかには親子でいらっしゃって、製品に興味を持ってくださる方もいます。私もそうですが、吸水ショーツや月経カップは使ってみると、ホントに手軽で快適なものですから、ぜひ試してほしいですね」
洋服を選ぶように自分のライフスタイルや好みにあったフェムケアを選ぶ。店頭では製品に触れることができるため、素材や形がわかるのも嬉しい。
Rina Nakagawa | 中川里菜
Marketing Coordinator
女性労働史の研究をきっかけに、日本のジェンダーギャップ指数が世界的に低いことを知る。その後、femtechに興味を持ち、ジェンダーギャップを改善する可能性を秘めていると強く感じ、2020年10月からfermataに参画。 Marketing Coordinatorとして主にC向け事業を担当。
自分にとっての「使いやすさ」と「快適さ」が選ぶポイント
編集部おすすめのフェムケア
□吸水ショーツ
ショーツ1枚で月経期間も1日中過ごすことができる!
ayame奈良で1930年に創業したインナーウェアメーカー「タカギ」から生まれたブランド『ayame』。ジェンダーレスな社会を目指したいという開発者の願いが込められ、最初に作ったアイテムが吸水サニタリーショーツだ。タカギオリジナルの「エコナップ®︎パッド」をショーツ本体に取り付けて使用するのが特長。パッドは、透湿性に優れており、ムレにくくモレにくい設計。また、少ない日など状況に合わせて、パッドの数を調整できる。ショーツの生地は、消臭レーヨンとオーガニックコットンを使用しており、やさしい肌心地。
EVA Wearやわらかく伸縮性に優れた上質な生地で、フィット感がありながらも締め付け感がない。また、縫いしろを薄く仕上げており、ちくちくしないやさしい肌触りで、肌が敏感な人にもおすすめ。自分の月経サイクルや月経量、ライフスタイルに合わせて6つのスタイルがあり、カラーも豊富。
【お手入れ方法】
- 1. 水洗いで軽く汚れを落とす。
- 2. 水もしくはぬるま湯に洗剤を溶かし、つけ置き(目安20~30分)。
- 3. 汚れが落ちたら、洗濯用ネットに入れ洗濯機で洗う。
- 4. 形を整えて、風通しの良い場所で乾かす(乾燥機は使用しない)。
※お手入れ方法はメーカーによって異なります。
□月経カップ
膣内に装着。ムレ、かゆみ、ニオイ軽減!
EVA Cup素材は日本製の医療用シリコーンで、医療用カテーテルや人工心臓弁にも使用されている生体適合性が立証されたもの。耐熱性や耐久性にも優れており、繰り返し使用する月経カップに最適。つるつるした滑らかな肌触りで膣を傷つける心配もなく、挿入後の違和感や装着感が少ない。カップ上部に厚みがあり自然に開きやすく、先端のステム(突起部分)が太めでつまみやすい。
Me Lunaドイツ製の月経カップで、日本の医療機器として正式に認可されている。原料は、シリコーンやラテックスを含まない低アレルギー性TPEを使用。審査の厳しい医療機器や赤ちゃんの哺乳瓶の乳首に使用されている。やわらかい素材でできているので折りたたみやすく、初心者でも扱いやすいのが特徴。また、250以上のカップがあり、自分にぴったりの形・サイズが見つかる。
【月経カップの使い方】
- 1. 手を石けんで洗い、清潔にする。
- 2. 清潔な手でカップを指で折りたたむ。
- 3. 深く息を吐きながら、ゆっくり膣内に挿入する。
★取り出し方
- 1. 手を石けんで洗い、清潔にする。
- 2. 膣内に指を入れてカップの底をつかむ。
- 3. 前後にずらすように揺らしながら取り出す。
★使用後のお手入れ方法
- 1. 月経カップ内の経血を流す。
- 2. 石けんでカップを洗う。
- 3. 生理が始まる前と後は、煮沸消毒をしてしっかり洗浄する。
※お手入れ方法はメーカーによって異なります。
□布ナプキン
つけ心地快適。敏感な肌にも安心
nunoa厳選された世界基準のオーガニックコットン糸を使用した布ナプキン。つけ心地へのこだわりから、肌に触れる面はコットン独自のふんわり感を大切に、ショーツ面はモレを防ぐ防水布を使用している。オリジナルの3D布ナプキンは、めくって洗える3D立体構造で、肌にあたる吸収面の中央がショーツ面と2枚に分かれている。多少厚みはあるものの、その分しっかりと経血を吸収する。
Sunny Days色や形、大きさなど種類が多い『Sunny Days』。初心者でも安心して使える、『これなら使ってみたい!』と思えるものづくりを心がけている。正方形で折りたたんで使うプレーンタイプ、ズレやモレの心配を軽減するひし形タイプ、防水パッドなどオリジナリティあふれる布ナプキンを用意。また、肌にやさしく、気持ちのいい素材を選び、上質な無漂白のネル(生成りの綿、Sunny Daysオリジナル素材)を使用するなど、こだわりにあふれている。
うふふわ。使った人の心が「楽しく」、「やさしい」気持ちになれるような、アートな布ナプキンをそろえる『うふふわ。』。写真の布ナプキン『かぐやのお守り』シリーズは、漏れずにムレない「透湿防水布」を使用。万病のもとである冷えや、妊娠・加齢などによる「尿モレ」のお守りとしても使える。消臭性・抗菌性・制電性・保温性・吸水性にすぐれた「竹」の繊維を肌面にあしらい、しっとりなめらかな優しい肌触り。
【お手入れ方法】
- 1. 布ナプキンが吸収した経血をもみ洗いで落とす。
- 2. 水またはぬるま湯に洗剤を入れ、つけ置き(3時間~半日程度)。
- 3. 布ナプキンをすすいで、洗剤をしっかり落とす。
- 4. 汚れが気になる場合、洗濯ネットに入れて洗濯機で洗う。
- 5. 形を整えて、風通しのよい場所で乾かす(乾燥機は使用しない)。
※お手入れ方法はメーカーによって異なります。
筆者は長年、使い捨て紙ナプキンを使っていた。それがいいとか、悪いとかではなく、「それしかなかった」といっていい(ちなみに、タンポンは苦手です)。しかし、今回の取材がきっかけで実際に吸水ショーツを使ってみるとかなりラクになった。特に、いちいちナプキンを取り換えなくてもいいことが、かなりのストレス軽減! もっとポジティブに捉えるためにも、月経カップや布ナプキンも試してみたい。今後も新たなフェムケアと出合えることを期待している。
Photo: KIM JU、HISAI KOBAYASHI
Content Writing
Madoka Natsume | 夏目円
Beatuy Editor/Writer
大学卒業後、出版社で編集者を務めたのちに独立。20年間以上の間で3000件以上の取材・執筆を行う。美容を専門分野とし、20代から60代と幅広い年齢層の執筆・企画を行うほか、化粧品のコンセプト立案、コピー制作など幅広く行う。ヘアメイク、スキンケア、ダイエット、アロマ、フレグランス、ボディケア、ヘルスケアと幅広いジャンルに精通。2009年より『オールアバウト』にてスキンケアガイドを担当。時間のある週末は、『ひとり映画鑑賞会』と題して、カフェオレを片手にミニシアターで映画を観るのが楽しみ。