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SPECIAL INTERVIEW

Dr. デス・フェルナンデス 特別インタビュー「人生を豊かにするビタミンA」

Reported by Madoka Natsume

2022.7.15

「人生100年時代」といわれるが、ただ長生きするのではなく、年齢を重ねていく過程が重要だ。できることなら、健やかに、美しく……、そのために必要なのは、サビないからだ。ビタミンAをはじめとした抗酸化成分は欠かせない。そこでDr. デス・フェルナンデスに人生100年時代をしなやかに生きるためのメソッド、長年研究しているビタミンAの魅力、可能性について話を聞く。

肌の老化はなぜ起こるのか? その理由とDr. デス式 「真のアンチエイジング」

肌老化はストレス・加齢が引き金となる

「ストレスは身体的にも肉体的にも大きな影響を与えます。感覚器官である皮膚はことさら多大なダメージを受けるといっても過言ではありません。ストレスには、大気汚染物質やPM2.5、紫外線などによる外的ストレス、過度な疲労、精神的なショックなど内的なストレスがあり、いずれのストレスにおいても肌は敏感に反応してしまうのです。ここで、もう少しストレスについて深掘りしてみましょう。人は過剰なストレスがかかると、副腎皮質で分泌されるホルモン、コルチゾールを大量に分泌します。少量ならば大して影響を与えないのですが、大量の場合、肌に疲れが出てしまうし、くすみも深刻になり、実年齢よりも上に見えてしまいます。また、最近わかったことですが、皮膚の表皮に存在する細胞であるケラチノサイトはコルチゾールを自ら産生することがわかりました。これは、とても興味深いテーマのひとつといえるでしょう」

ストレスが肌に及ぼす影響

  • □肌のバリア機能の低下
  • □肌の免疫力の低下
  • □くすみ
  • □疲労感が顔に出る
  • □表情ジワ
  • □シワ
  • □肌のハリの低下

加齢によって現れる具体的なトラブルとは?

「では、加齢によって皮膚はどのような影響を受けるでしょうか? 肌の弾力、厚みをつくる上で欠かすことのできないコラーゲンとエラスチンの産生量が減少することで、“肌のボリュームロス”が起こります。そしてもうひとつ取り上げたいのが、ヒアルロン酸と脂肪細胞の減少。これらの症状は30代~40代にかけてじわじわと起こります。何よりも強くみなさんにアドバイスしたいのは、肌老化が現れる前に手だてを打つこと。真のアンチエイジングとは、早めの対策が大切です」

加齢による具体的な肌症状

  • □ヒアルロン酸の減少
  • □筋肉の過剰な活動による眉間のシワ
  • □皮下脂肪の減少

エイジング対策に大切なのは、「ビタミンA」&「抗酸化物質」のカクテル

「エイジレスの美肌に欠かせない美容成分は、何といってもビタミンAです。さきほどお話ししたコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸といった肌のボリュームに欠かすことのできない3つの成分の生成を促進する働きがあります。さらに、ビタミンCやビタミンEといった「抗酸化物質」とも呼ばれる成分を組み合わせることで、さらにエイジング悩みへの対応力が上がります。そして、私が1990年頃より研究をスタートした『ペプチド』の存在。ペプチドとはアミノ酸の組み合わせで、種類は何十億とありまだまだ研究が必要な分野です。ペプチドは、“ケミカルメッセンジャー”といわれ、特定のアミノ酸と組むことでハリが出たり、細胞増殖が促進されたり、成長因子の分泌が促進されたり、さらには神経細胞にも作用するペプチドもあります。私はペプチドとビタミンAを組み合わせることで真のエイジングケアが叶えられると考えています。

健康的な肌はビタミンが不足している肌より表皮はふっくらと厚みがある。

今までも、これからも。「ビタミンA」は肌に命を吹き込む多機能なビタミン

「私がなぜここまでビタミンAにこだわっているのかお話ししましょう。その答えはとてもシンプルですが、肌を最もいきいきとさせる多機能ビタミンであり、肌を修復し再生させることができる成分だからです。さらに、私たちの細胞の成熟(細胞分裂や分化)をコントロールしているといわれています。40年以上前から着目していますが、ここで別の視点でビタミンAを捉えてみましょう。

ドイツの哲学者、ショーペンハウアーは『新しいアイデアに対する原理』についてこう説いています。

第一段階 人から笑い者にされる。
第二段階 激しい抵抗と反対にあう。
第三段階 わかりきったこととして当たり前のように受け入れられる。

では、この原理をビタミンAスキンケアに当てはめてみるとこうなります。

第一段階 ばかげている(ビタミンAは昔から存在し、ありふれている)。
第二段階 製品の売り上げ向上やセールストークにすぎない。
第三段階 最終的に、結果を見ると真実は明らかになる。

私は、40年という長い歳月をかけて、ビタミンAの限りない可能性を信じ、研究してきました。今までも、これからもビタミンAは肌に命を吹き込む多機能ビタミンであることは間違いありません」

ビタミンAの長所

  • 1. 肌を健やかに育む、多機能ビタミン
  • 2. 肌を修復・再生させる成分
  • 3. 細胞の成長をコントロールする

Dr. デスがビタミンAのなかでも“レチノール誘導体”を選ぶ理由

「ビタミンAにはいくつかの種類があります。パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、レチノール、レチナール、レチノイン酸があり、それぞれに個性があります。なかでもスキンケアとしては、レチノール誘導体こそが、肌がもっとも美しく健やかになるために必要な成分と捉えています。人間の体内で多くみられるのは、パルミチン酸レチノールで、体内のビタミンAの約9割がこの形態になります。

人間の体内のビタミンAの約9割が「パルミチン酸レチノール」の形態である。

ビタミンAと相性がいい成分を組み合わせることで、好循環な肌を目指す

「ビタミンAは他の抗酸化物質と組み合わせることでさらなるベネフィットが生まれます。肌の再生、健やかな肌を育む上で欠かすことのできないビタミンAを主軸に、ビタミンC、ビタミンEなどの抗酸化物質を組み合わせることで、フリーラジカルから肌を守ります。さらに、個々の悩みに合わせてアプローチするためにペプチドを組み合わせることで、好循環な肌に導きます。単体の成分では成しえない総合的なアプローチによって、より美しい肌へと導きます」

YES? or NO? Dr. デスが考える美容医療との付き合い方

「美容医療はもちろん肌改善にアプローチする方法のひとつとして賛成です。ただし、日々のスキンケア&トリートメントがあってこそ、健やかで美しい肌が生まれます。自分の肌に合った製品を選び、あきらめることなく続けていく。その地道なステップで、真のエイジングケアが叶えられると考えています。どちらがいいという判断ではなく、毎日のスキンケアを怠らないという強い意志が必要。その上で美容医療の力を借りるならば、きっと結果はついてくると思います」

抗酸化物質のひとつとしてビタミンAは知ってはいたものの、これほど多機能なビタミンであるとは思わなかった。エイジングケアには欠かせない成分であり、他の抗酸化物質とも仲良くできるコミュニケーション力の高さにも驚き。ビタミンAを取り入れれば、年齢にあらがうことなんてする必要はないが、外的ストレス(とくに紫外線!)と内的ストレスをためないように自分と向き合いながら、Dr. デスのように年齢を重ねていきたいと思う。

Dr. Des Fernandes | Dr. デス・フェルナンデス

エンビロン・スキンケアシステム開発者

南アフリカ生まれ。同国のウィッツウォーターズランド大学医学部卒業後、英国のエジンバラ大学に留学。2006年、総合的な抗老化治療のため、南アフリカ・ケープタウンにルネッサンス・ボディサイエンス・インスティテュートをオープン。2016年INNOCOS(イノベーション リーダー・オブ・ザ・イヤー製品部門)を受賞し、現在も世界各国で数多くの国際医学会で講演を行っている。

Content Writing

Madoka Natsume | 夏目円

Beatuy Editor/Writer

大学卒業後、出版社で編集者を務めたのちに独立。20年間以上の間で3000件以上の取材・執筆を行う。美容を専門分野とし、20代から60代と幅広い年齢層の執筆・企画を行うほか、化粧品のコンセプト立案、コピー制作など幅広く行う。ヘアメイク、スキンケア、ダイエット、アロマ、フレグランス、ボディケア、ヘルスケアと幅広いジャンルに精通。2009年より『オールアバウト』にてスキンケアガイドを担当。時間のある週末は、『ひとり映画鑑賞会』と題して、カフェオレを片手にミニシアターで映画を観るのが楽しみ。