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家飲みをもっと楽しく! 「手頃でハズさない」お取り寄せワインリスト

Reported by Megumi Komatsu

2022.6.15

デイリーワインをまとめ買いするなら、オンラインショップでの購入が便利。いま注目の生産者や飲むべき銘柄とは? 東京・外苑前の人気ワインショップ「Cellar Door Aoyama」のソムリエ・松永文吾氏が、オンラインでも購入できる選りすぐりの10本を紹介する。

ワインのスペシャリストに聞く
「2022年のワインのトレンド」とは?

重たいワインをまとめて取り寄せる際は、なんといってもオンラインショップが便利。ただし手頃な価格帯のデイリーワインは店ごとに品ぞろえが異なるため、ショップ選びが重要だ。ワイン好きの間で評判の「Cellar Door Aoyama」は、家族経営の生産者のワインを厳選してそろえる人気店。オーガニック、ビオディナミ、サステイナブルに特化した1,200種類以上のワインを、実店舗とオンラインショップで販売している。

ソムリエの松永さんに最近のワインの傾向を尋ねると、地球温暖化や環境変化に対する生産者の危機感に伴い、サステイナブルなワインが増えているとのこと。「カリフォルニアではブドウに煙の臭いがついてしまう山火事が増えていますし、ヨーロッパでは春先の気候が安定せず、霜害で生産量が激減するケースが頻発しています。生産者は気候変動に対する差し迫った危機感から、サステイナブルなワイン造りに関する取り組みを行っています。同時に、化石燃料や水資源の利用に関わる認証など、サステイナブルなワイン造りに対する認証も誕生しています。生産者たちがワイン造り全体を見直そうとしている状況ですね」

「Cellar Door Aoyama」の松永さん。ショップでの接客やソムリエ業務とともに、オンラインサイトの運営も担当。

ワイン生産者の間では、サステイナブルであることと並行して、添加物や農薬の使用を控えたオーガニック志向も続いている。そんな中で消費者側として知っておきたいことは、オーガニックな造り方をしていても認証を受けていない生産者がたくさんいるということ。伝統的かつオーガニックな製法で造ったワインであっても、わざわざ認証を取る必要はないと考え、認証マークなしで販売している生産者が少なくないのだ。こうした“認証はなくても上質なワイン”に出合う近道は、専門家に聞くこと。世界中の生産者に精通した「Cellar Door Aoyama」の松永さんは、東京で最も身近な専門家のひとりだ。次ページ以降で松永さんが紹介する10本も、高い志をもった生産者のワインばかり。それぞれのワインが真価を発揮する温度で味わうための、「冷蔵庫で冷やす目安時間」も教えてもらった。

□アルザスの高貴な品種をブレンドした白ワイン

「フランス・アルザス地方ではさまざまなブドウ品種のワインが造られていますが、中でも生産者たちが重要視しているのが、高貴品種(ノーブル・バラエティ)と呼ばれるリースリング、ピノ・グリ、ミュスカ、ゲヴェルツトラミナー。全4種類の高貴品種をブレンドしたこの白ワインには、アルザスワインの魅力がすべて詰まっています」

ファミーユ・ヒューゲル / ジョンティ・ヒューゲル 2019
Famille Hugel / Gentil “Hugel” 2019
冷蔵庫で冷やす目安時間は50分。¥2,090

□熟成による円熟味とカスタードクリームの香り

「フランス産のシャルドネを7年熟成した2015年ヴィンテージでは、熟成ワインだけがもつなめらかな質感と、カスタードやローストナッツといった豊かなアロマが楽しめます。ナッツ類やキャラメルポップコーンなどのおつまみと最高の組み合わせです」

マス・ラ・シュヴァリエール / ペロリ 2015
Mas La Chevaliere / Peyroli 2015
冷蔵庫で冷やす目安時間は40分。¥3,300

□優しい甘みと上質な酸が心地よい白ワイン

「フランス北西部を貫く、全長約1000kmのロワール川沿いに広がる産地の白ワイン。冷蔵庫でしっかり冷やして飲むと酸が際立ち、優しい甘みとバランスが取れた味わいが楽しめます。茹でたアスパラガスと合わせて楽しむと甘みが同調し、相性の良さが感じられます」

ドメーヌ・シルヴァン・ゴードロン / ヴーヴレ・レ・ピエール・ルス・ドゥミ・セック 2016
Domaine Sylvain Gaudron / Vouvray Les Pierres Rousses Demi Sec 2016
冷蔵庫で冷やす目安時間は50分。¥3,080

□2021年に最も優れたワインを生み出した大注目の生産者

「ニュージーランドの『クメウ・リヴァー』が造るワインは、アメリカのワイン評論家ジェームズ・サックリング氏によって2021年のベスト100ワインの第1位に選ばれました。このワインはピュアな白桃のアロマに、ピノ・グリ特有のスモーク香も隠れています」

クメウ・リヴァー / ヴィレッジ・ピノ・グリ 2020
Kumeu River / Village Pinot Gris 2020
冷蔵庫で冷やす目安時間は40分。¥2,750

□パワフル&スパイシーで、驚きのコストパフォーマンス

「2,000円以下のワインとは思えないほどに充実した味わいをもつ、コストパフォーマンスに優れたオーストラリアの赤ワイン。ブラックチェリー、ブルーベリー、黒い果実の凝縮した香りと、ブラックペッパーにユーカリ、黒オリーヴなどの香りが、個性と複雑味をもたらしています。赤身肉の豪快なステーキによく合います」

キリカヌーン / チェロ・シラーズ 2018
Kilikanoon / Cello Shiraz 2018
冷蔵庫で冷やす目安時間は20分。¥1,980

□英国著名ミュージシャンが手掛ける赤ワイン

「『スティング』として知られるイギリスのミュージシャン、ゴードン・サムナーがイタリアのトスカーナで手掛ける赤ワイン。彼の初ナンバーワンヒット曲と同名のこのワインは、サンジョヴェーゼ主体のミディアムボディで、渋みが少なく飲みやすく、フレッシュなレッドチェリーの香りが魅力的。肉料理全般によく合うほか、トマトを使ったパスタなどとも好相性です」

イル・パラジオ / メッセージ・イン・ア・ボトル・ロッソ 2020
Il Palagio / Message in a Bottle Rosso 2020
冷蔵庫で冷やす目安時間は30分。¥3,080

□有名生産者ペラン家のエッセンスが感じられる赤ワイン

「ペラン・ファミリーは、フランス南部ローヌ地方の代表的な高級ワイン『シャトーヌフ・デュ・パプ』の造り手として知られる一流生産者。そんなペラン・ファミリーのスタンダードレンジの赤ワインがこちら。フルボディなだけでなく、きれいな酸が味わいを下支えするエレガントなスタイルが魅力です。赤いベリー系果実の香りに加え、カラメルやスパイスの香りが広がります。相性が良い料理は肉料理全般と、ボロネーゼやピザなどのトマトを使った料理」

ファミーユ・ペラン / ペラン・レゼルヴ・ルージュ 2019
Famille Perrin / Perrin Reserve Rouge 2019
冷蔵庫で冷やす目安時間は20分。¥2,310

□本格派の味わいが楽しめる、上級クラスのボジョレー

「ボジョレー・ヌーヴォーの産地の上級クラスのワイン。チャーミングなフランボワーズの香りに、動物のなめし皮のようなニュアンスも混じった、複雑な香りが特徴的。味わいも渋みや酸がしっかりとあり、ヌーヴォーでは味わいがたい本格的なテイストが楽しめます」

ドメーヌ・ハイツ・ロシャルデ / ジュリエナ 2019
Armand Heitz / Julienas 2019
冷蔵庫で冷やす目安時間は30分。¥4,620

□英国の著名アーティストが手掛けるロゼワイン

「『スティング』のゴードン・サムナーがイタリア・トスカーナで造るロゼワイン。魚料理にも肉料理にも合わせられる懐の深さも、ロゼの魅力です。多彩な果実のフレーバーに、サンジョヴェーゼならではのスパイスと複雑性が加わっています。花をモチーフにしたラベルが華やかで、手土産にも喜ばれます」

イル・パラジオ / ニュー・デイ・ロゼ NV
Il Palagio / New Day Rose NV
冷蔵庫で冷やす目安時間は50分。¥3,080

□食後に優雅に楽しみたい、ハーフボトルの甘口ワイン

「華やかな香りをもつアロマティック品種“ミュスカ”を使った、フランスの甘口ワイン。スイーツ全般と合わせられますが、シフォンケーキに数滴たらしてレンジで30秒温めると極上のデザートになりますよ。ハーフボトルなので家庭でも飲み切りやすいと思います」

ファミーユ・ペラン / ミュスカ・ド・ボーム・ド・ヴニーズ 2019
Famille Perrin / Muscat de Beaumes de Venise 375ml 2019
冷蔵庫で冷やす目安時間は50分。¥3,300

家飲みをさらにおいしくするための、ひと工夫

最後に松永さんが教えてくれたのは、家でワインを楽しむ際のグラスのこと。ワイングラスを使うのが一番ではあるけれど、ワイングラスと似た形のグラスでもよいそうで、「ワイングラスのように香りがこもる形のグラスを用意し、半分ぐらいまで注いで空気に触れさせてください」と松永さん。

グラスの縁まで注ぐのがいけない理由は、ワインがグラスの中で空気に触れることができず、香りが開かないため。取り寄せたワインは適度に冷やして適量をグラスに注ぎ、ゆっくりと優雅な時間をお楽しみあれ。

厳選された「家族経営の生産者」のワインが1200種類以上! Cellar Door Aoyama@東京・外苑前

家族経営かつエコフレンドリーなワイナリーを扱うインポーター、ジェロボームが2021年にオープンしたワインショップ&ワインバー。入り口のワインショップにはオーガニック、ビオディナミ、サステイナブルに特化したワインが1,200種類以上そろう。隣接するワインバーではすべてのワインをショップの小売価格と同じ価格で飲むことが可能(抜栓料なし)。グラスワインは常時10種類。国内外の名店で修業したシェフが厳選食材で作るフランス料理は、本格的ながらカジュアルで軽やか。

Cellar Door Aoyama

東京都港区南青山2-27-18 パサージュ青山 2F
TEL.03-6804-5200

https://cellardoorfinewine.jp

営業時間/ザ・サロン16:00〜22:00(L.O. ) 定休日/日・月曜、祝日
ザ・ブティック11:00~20:00(火~土)、11:00~19:00(日・祝) 定休日/月曜

Bungo Matsunaga | 松永文吾

「Cellar Door Aoyama」オンラインサイト運営担当

北海道大学院にて農学の修士課程修了後、ワイン輸入販売会社エノテカ株式会社にてフランスワインの輸入などを担当し、2021年ジェロボーム入社。J.S.A.認定ソムリエ、A.S.I.認定ソムリエディプロマ。第7回J.S.A.ソムリエ・スカラシップ優秀者。

Photo: Tetsuo Kitagawa

Content Writing

Megumi Komatsu | 小松めぐみ

Food writer

元編集者のフードライター。ライフスタイルマガジンなどでレストランやフード&ドリンクの記事を執筆。万全な体調で外食を楽しむため、普段は医食同源の自炊を心がける。懐石料理の心を学ぶために茶道を習い始めて16年、掛け軸を読むために書道を習い始めて6年……芋づる式に増える趣味と着物が元気の素。