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WELLNESS

真の美しさはここから始まっていた! 足裏から美容と健康を科学する

Reported by Yuumi Fujii<dis-moi>

2021.5.13

歩くと足が痛い、疲れやすい、足の形が変わってきたなど、足に関する悩みを持つ人は想像以上に多い。けれど、適切な対処法が分からず何かとがまんしがちだ。しかしその結果、歩きにくくなったり、姿勢がゆがんだりと健康面にまで影響を及ぼすことがある。私たちの日常生活を支え、これからの健康寿命にも大きく関係する重要なパーツだからこそ、いま一度足裏の重要性を知ることが大切。そこで、大学病院として日本で初めて足の疾患を専門としたセンターを開設し、足のさまざまなトラブルの治療に専念する、順天堂大学医学部附属順天堂医院「足の疾患センター」センター長の田中里佳先生に、足裏についてお話を伺った。

靴擦れは足裏からのSOSサインだった!

新しい靴を下ろしたときはもちろん、履き慣れている靴でも起きる靴擦れ。「いつものことだから」と、かかとや足の指先、足裏にまめや水ぶくれができても痛みをこらえて靴を履き続ける人は多い。ともすれば、「靴は痛くて当たり前」「痛みをがまんし続ければそのうち慣れる」という人もいるほど。

しかし、多くの足トラブルを診察する田中先生は、「痛みがあるということは足に靴が合っていない証拠。骨が内側に曲がってきてしまう外反母趾(親指の変形)や内反小趾(小指の変形)までいくとさすがに日常生活に不都合を感じて足の疾患と見なす人も多くなりますが、たこや魚の目、巻き爪やむくみはたとえ痛みがあっても軽視しがち。これらは一見関係なさそうに見えますが、実は外反母趾もたこや魚の目も一定の圧力がかかり続けた結果で原因は同じ。痛みがあると正しい歩行ができなくなり、体のバランスが取りにくくなるため、かかとからひざ下の角度が変わってO脚になるなど、骨の変形や全身の不調につながります。また、足首やふくらはぎがうまく使えなくなることで全身に血液を巡らせるポンプ機能が低下し、冷え性や歩きにくいなどの原因にも」

確かにがまんできないほどの痛みでもなければ、魚の目やむくみが足の変形であるという認識はない。さらに、全身の健康に影響するとは⁉ しかし、大げさに聞こえるかもしれないけれど、糖尿病による足の壊死問題をなんとかしようと長年再生治療に携わってきた田中先生は、足裏の大切さを強く説く。

「糖尿病になると靴擦れや巻き爪などちょっとした皮膚の傷で足が壊死し、切断をするしかなくなってしまうのです。だからこそ、足裏が乾燥しているなんてもってのほか。糖尿病を例に出すと極端に感じられるかもしれませんが、どの足裏トラブルの原因も、合わない靴によるケガから始まります。足裏は、親指のつけ根、小指のつけ根、かかとの3点を結んでアーチ状のくぼみ(足裏アーチ)を作っていますが、もともと日本人は偏平足が多く、このアーチが崩れやすい。しかも、子どものころから学校で指定された靴を履くため、‟自分に合わせる”という感覚が育ちにくいんです」

靴に合わせるのではなく、足に合わせるが正解

「そもそも足は左右でサイズが違えば、横幅も違うし、重心の置き方や歩き方も人それぞれ。なのに、足ではなく“靴”に合わせているからさまざまなトラブルが出てしまうのです。靴を履く文化が長いドイツでは、子どものころから自分の足に合わせてインソールを入れて靴を履くのが当たり前。大切なのは、自分の足を理解して靴を選び、正しく履くこと。自分に合った靴を正しく履いていれば、足の裏にかかる力が分散され、これらトラブルは予防できるのです」

とはいえ、自分に合う靴を見つけるのは至難の業。すべてをオーダーというのは無理があるし、ヒールやミュールなどおしゃれな靴も履きたい。

「足のことを考えたら、普段の生活はスニーカーがベスト。欧米では、通勤時はスニーカーで、レストランや晴れの場では直前におしゃれ靴に履き替えるなど、足を守る意識があります」

「靴は履いたらかかとに合わせ、足先に1センチほどの隙間ができるか確認を。その後、かかとを固定するために靴ひもをしっかりと締めると足が靴の中でずれたり、遊んだりすることがなく、足のトラブルを最小限にできます。また、足裏アーチが崩れると疲れやすくなるため、足裏をサポートするためにインソールを使うのもおすすめ。インソールは、体幹がしっかりと安定して、グッと重心に力を入れて歩けるようになります。私も偏平足でデスクワークが多いため、以前足底筋膜炎になったことがあったのです。そこでオーダーでインソールを作成し、正しく歩くようにしたところ、たこなどの足のトラブルも改善されたので、インソールの有用性は身をもって実感しています」

正しいアーチを保つのに足裏の刺激を習慣に

東洋医学では、足裏の刺激を推奨されているけれど、足裏アーチを保つために西洋医学的にはどのようなアプローチがあるのだろうか?

「全身を巡る血液は、心臓から足先へと運ばれ、足の筋肉によって心臓に戻されます。そのため足の筋力が低下していたり、動きが悪いと血流が悪くなってしまいます。実は足は関節が多く、1個1個の筋肉を動かさないと固まってしまいがち。だからこそ、毎日足を刺激することが大切です」

「足裏をサポートするインソールの使用はもちろん、テニスボールを使って足裏をマッサージしたり、タオルを足指で引き寄せるなどのストレッチを意識的に行いましょう。そしてもうひとつ大切なのが、足のスキンケア。肌と同じように足裏が乾燥しているとさまざまな外的トラブルを受けやすい状態になってしまいます。顔のスキンケア同様、足裏を丁寧に洗い、保湿ケアを習慣にし、ふっくらとした足裏をキープするようにしてください」

当たり前のように歩けているとあまり意識することがないけれど、ちょっとした足の不調を放っておくことで美容的にも健康的にも問題になってしまう足裏の事実。これまで見ようとしてこなかったけれど、いまこそ足の状態を把握し、きちんとケアすることで、この先の健康と美しさを手に入れよう。

Rica Tanaka | 田中里佳

Director of Juntendo Hospital Podiatry Center
Chairman & Professor

形成・美容外科・足病学・再生医療を担当。順天堂大学大学院医学研究科 再生医学 主任教授、順天堂大学医学部形成外科学講座 教授(併任)。2002年東海大学医学部卒業。米国ニューヨーク大学 形成外科学教室の留学を経て、東海大学大学院にて医学博士の学位取得。2019年に日本の大学病院初、形成外科、血管外科、皮膚科、整形外科、循環器内科、糖尿病内科、腎臓内科、リハビリテーション科からおのおの足病疾患治療の専門医が集結し、協力して治療にあたる「足の疾患センター」を順天堂大学医学部附属順天堂医院に開設し、センター長に就任する。

Photo: Sadato Ishizuka, Getty Images

Editor’s Note取材メモ

  • ハードワークをこなす田中先生の元気の秘訣は筋トレとストレッチ

    形成外科医として診察、手術をはじめ、論文執筆、学会の参加、取材、医療コンサルティングのほか、美容クリニックで美容・再生治療も行うなど、忙しい毎日を送る田中先生。「デスクワークが続いたある日、手首の腱鞘炎と四十肩になってしまって。以来、通勤を自転車に変え、週1回のパーソナルトレーニングで体のメンテナンス。さらに、コロナ禍でゴルフを控えていることもあり、水泳を週2回するようになりました。また夜は、ストレッチボールを使ったリリースを習慣にしています。ポジティブに仕事に取り組むためには健康が一番! 筋トレとストレッチは欠かせません」

Content Writing

Yuumi Fujii | 藤井優美

Beauty Editor

『ELLE』『Women’s Health』などの雑誌・WEBメディアでも執筆。美容系編集プロダクション「dis-moi(ディ・モア)」主宰。エステティシャンを経て、美容エディターになること25年以上。美容専門誌をはじめ、多くの女性誌で美容情報や女性のヘルス特集を手掛ける。年間、数多くの研究者、医師、美容家などの取材をこなす。

  • ※本記事の後に、ご紹介する「PR」商品は、記事に出演いただいた田中里佳さんとは関係ありません。

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足病医のエミリー・スプリチャル博士が開発した「Naboso™インソール」は、特殊な形状の突起が、足の裏の神経を刺激。これにより、からだのバランスを改善するだけでなく、歩行パターン、足首の固有感覚、脳の機能を刺激し、運動学習の促進にもつながる。普通のインソールと比べると非常に薄くて柔軟な素材なので、靴のサイズを変えなくて済むのもポイント。

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