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BEAUTY

内から外から! ヘルシー&きれいになれるオイルビューティを極める

Reported by Yuumi Fujii(dis-moi)

2022.1.17

最近よく耳にする「オイルビューティ」。「なんかよさそう」という認識は広まりつつあるけれど、その理由を知っている人は少ない。ひと口に「オイル」といっても、その種類はさまざま。オイルを体の中に取り入れるのであれば、どのオイルを選べばいいのか、スキンケアに使うときは? 意外とわからないことがいっぱい。そこで、オイル=油分の認識だけでは収まらない、ヘルシー&きれいになれるオイルの魅力を、22年前からオイルの啓発活動を続けている美容オイルコンシェルジュのYUKIEさんに伺った。乾燥肌を潤す以上に、もっとうれしい効果を実感できるオイルビューティ、きっとすぐにでも取り入れたくなるはず!

オイルは太る? テカる? いいえ、きれいになるために“いい油”は必須です

オイルとは言わずと知れた「油」のこと。油はとかく「太る」「テカる」とネガティブに受け取られがちだ。しかし、「オイルは、私たちの体になくてはならいないもの」と断言するYUKIEさん。

「人間の体は37兆個もの細胞で成り立っています。この細胞の膜をコーティングしているのがオイル。さらに、皮膚のバリア機能をはじめ、脳や目、内臓、さらには神経やホルモンにもオイルは深く関わっています」

言わずもがな私たちの心身のすこやかさは一つひとつの細胞が元気かどうかにかかっている。つまり、細胞に大きな影響を与えるオイルは、私たちがヘルシーで生きていくために必要不可欠といえそうだ。でも、オイルは私たちの身体でどのような働きをするのだろうか?

「栄養の活動には、1.エネルギーになる 2.体を作る 3.体の調子を整えるの3つが挙げられます。たんぱく質、糖質はエネルギーになり、また、たんぱく質は体を作ることができるけれども、体の調子を整えることはできません。体に必要不可欠なビタミンやミネラルは、エネルギー代謝の働きをサポートして体の調子を整えることはできますが、エネルギーにはなりません。この栄養活動の3つすべてを網羅しているのが脂質、つまりオイルなんです」

オイルの役割は『ウェルネスオイル』と『ビューティオイル』の2つ

「オイルの大切な役割のひとつに『エネルギー代謝』があります。経口摂取された脂質は、消化器によって脂肪酸に分解され、これが血液によって全身の細胞へと運ばれてエネルギーとして消費されます。これら生命を維持するために不可欠なオイルを『ウェルネスオイル』と定義しました。

そしてもうひとつが、肌のバリア機能の働きをする『ビューティオイル』。オイルをスキンケアとして経皮吸収することにより、肌を外的刺激から守ると同時に、水分や美容成分が空気中に失われないように機能します」

ウェルネスオイルはオメガ-3系とオメガ-6系をバランスよく摂る

オイルの主な役割がわかったところで、実際に取り入れるべきオイルを教えてもらった。

「植物オイルは、脂質栄養素だけでなく、脂溶性ビタミンやフィトケミカルなど、私たちに美と健康をもたらす有効成分を含んでいます。中でも意識して摂りたい脂肪酸が、オメガ-3系とオメガ-6系です」

オメガ-3系とオメガ-6系は耳にしたことはあるけれど、一体どんなものなのだろうか?

「脂肪酸は、構造式によって飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸に分けられます。オメガ-3系とオメガ-6系は、多価不飽和脂肪酸に属する必須脂肪酸となります。オメガ-3系は、α-リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHC(ドコサヘキサエン酸)が代表格。血液をサラサラにする、抗炎症効果、免疫の調整をする物質として近年注目度が高まっています。

意識しなくても普段の料理や加工品などで過剰摂取になりがちなオメガ-6系に対し、バランスを取るオメガ-3系は意識して摂っていく必要がある。

オメガ-6系を代表するのは、リノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸。リノール酸は、血中コレステロール値や中性脂肪を下げる働きがありますが、過剰摂取するとアレルギー疾患につながるように、オメガ-6系は過剰摂取に注意が必要。オメガ-3系は、オメガ-6系の作用と拮抗します。こう説明すると、オメガ-6系を避けがちですが、この2つは、互いに不足する性質を補う関係。理想的な摂取バランスは、オメガ-6系を2:オメガ-3系を1といわれています」

オメガ-6系は摂る量を調整し、オメガ-3系は積極的に補給を

「オイルを摂る際、サプリメントのように必要量を摂ろうと考えがちですが、オイルはお菓子やパン類、加工食品やファストフードにも含まれています。ただし、このオイルに含まれている脂肪酸がオメガ-6系。つまり、オメガ-6系は、かなりの量を無意識に摂っている可能性があります。前でも述べましたが、オメガ-6系とオメガ-3系はどちらかが優れているというわけではなく、バランスが大切。オメガ-6系は普通の食事で十分に摂れていることを考えれば、プラスするのはオメガ-3系です」

そこでオイルの摂り方の注意点を教えてもらった。

「実はどの植物オイルもカロリーは一緒。100gで921カロリー。大さじ1杯(12g)で換算すると約110カロリーです。良質な植物オイルを適量摂取していると、食事の満腹感もあり、間食が減るという効果もあって、ダイエットにもなります。

一日の脂質摂取量は、総エネルギーの20~30%が必要とされています。私たちは、肉や魚などの食品からもオイルを摂っていますので、これらを差し引くと、一日のオイル摂取量の目安は、体重を2で割ってグラム表示にしたもの。たとえば、体重50キロであれば25g、大さじ2杯ほどになります。これを踏まえ、オメガ-6系とオメガ-3系を2:1の比率で摂っていくのが理想です」

植物オイルは加熱に適さないものが多いため、生食が基本。調味料感覚でサラダやヨーグルト、スムージーなどに加えて摂取するのがおすすめ。また、熱、空気、光に弱く、酸化しやすいため、常温ではなく冷暗所で保存し、1カ月以内で使い切るのが基本だそう。

加熱できないオメガ-3系のオイルは、サラダやヨーグルトに。植物オイルは味に個性があるため、いろいろ試してお気に入りを見つけるのも楽しい。ただし、一気に複数本そろえず、1本ずつお試しを。

おすすめの“いい”ウェルネスオイル

「植物オイルは脂肪酸の組成によってその性質が決まります。たとえば、亜麻仁オイルは、α-リノレン酸が50%、オレイン酸が14%、リノール酸が15%、その他の脂肪酸が21%という割合で構成されています。最も含有量の多いα-リノレン酸がオメガ-3系のオイルなので、亜麻仁オイルは、オメガ-3系のオイルと分類されているのです。ですから、この脂肪酸の組成を理解しておくと、自分に必要なものを見つけやすくなります」

そこで、YUKIEさんがおすすめするウェルネスオイルを紹介してもらった。

□エゴマオイル オメガ-3系
期待できる効果▶アレルギー症状の緩和、生活習慣病の予防

α-リノレン酸を高含有していることで、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病の予防が期待できる。さらに抗酸化作用のフィトケミカルを豊富に含有していることも相まって花粉症などのアレルギー反応を抑制する効果が。独自のえぐみがあるため、青汁や納豆などクセや苦みが強い素材と相性がいい。

□亜麻仁(フラックスシード)オイル オメガ-3系
期待できる効果▶生活習慣病の予防、女性ホルモンの減少をサポート

α-リノレン酸を多く含み、血管をしなやかにして血液をサラサラにするため、生活習慣病の予防が期待できる。また、脂肪燃焼をサポートすることからダイエット目的で摂取することも。女性ホルモンのような働きをするフィトエストロゲンを含有しているため、女性特有のがんや腫瘍の予防、女性ホルモンの変動によって起こる更年期症状やPMS(月経前症候群)の予防にも効果的。加熱ができないため、野菜ジュースなどに入れて摂取を。

□MCTオイル 中鎖脂肪酸
期待できる効果▶ダイエット、疲れにくい体に

最近話題のMCTオイル。MCTとは、「Medium Chain Triglyceride(ミディアム チェーン トリグリセリド)」の頭文字を取ったもの。このMCT(中鎖脂肪酸)を多く含むココナツオイルやパームオイルから、MCTだけを精製したものがMCTオイル。MCTオイルは、分解されやすく消化が早いために素早くエネルギー源として使われるのが特徴。体内に脂肪として蓄積されづらく、ダイエットに効果的なオイルとして特に注目されている。クセがないため、スムージーやサラダにかけてどうぞ。

肌に、髪に、ボディに……。きれいを作るビューティオイルとは?

食べても安全で、体にいいのであれば……と、ウェルネスオイルをスキンケアにも代用したくなってしまうけれど。

「ウェルネスオイルは体の内側の脂質に働きかけるもので、スキンケアの代用にはできません。そもそも、ウェルネスオイルとビューティオイルは、同じ素材から作られていたとしても精製法が異なるため、まったくの別もの。また、ウェルネスオイルは、脂肪酸だけでなく、脂溶性ビタミンやフィトケミカルを豊富に含んでいるので、パワーが強く、これを肌に塗ると人によってはアレルギー反応を起こすこともあるので注意が必要です。ウェルネスオイルとしてもビューティオイルとしても使えるオイルもありますが、兼用するのではなく、それぞれに適したオイルを選んでください」

肌目的に合わせて注目するオイル

「肌を保護する皮脂も体内で作られた代謝産物です。しかし、加齢やホルモンの影響でその量が減ると皮膚の常在菌のフローラバランスが崩れるため、乾燥やニキビ、肌あれなど、さまざまな肌トラブルの原因に。そんなときこそビューティオイルの出番。ビューティオイルでケアすることで、皮脂バランスが整い、肌の保湿はもちろん、髪や全身の乾燥ケアができます。また、フィトケミカルの働きもあって、シワやシミ、くすみなどエイジングケア効果も期待できます。ビューティオイルは、肌目的に合わせて選ぶことができるので、ぜひ1品取り入れてみてください」

ビューティオイルは、美容液代わりとしてはもちろん、マッサージやスカルプケア、髪や手指、全身の保湿に。

□カメリアオイル
期待できる効果▶髪、全身の乾燥対策

古くから日本では、整髪油として使われてきたカメリアオイル。オレイン酸の含有量が極めて多く、保湿や肌の浸透効果が高いのが特徴。また、高い抗酸化力を持つビタミンEを多く含有しているため、環境ストレス要因から肌ダメージを守ってくれる効果も。

□ホホバオイル
期待できる効果▶肌の保護、皮脂バランスを調整、ニキビケア

ホホバオイルの主成分であるワックスエステルは、皮膚や毛髪、角膜など、人の体の外側に存在するもの。そのため、肌との親和性が高く、外的ストレスから体を守り、表皮の水分や栄養分を保持する作用がある。また、皮脂にも含まれる成分であるため、塗ることで皮脂表面の皮脂分泌に働きかけ、皮脂量のバランスを調整するから、ニキビや炎症の緩和にも効果的。

□アルガンオイル
期待できる効果▶紫外線ダメージの修復、エイジングケア

フィトケミカルが豊富なアルガンオイルの最大の特徴は、ビタミンE含有量。その量は、オリーブオイルの2~4倍といわれ、活性酸素除去に大きく貢献。これ以外にも抗炎症効果が高いため、シミやシワ、たるみの原因となる紫外線ダメージを修復する機能で、エイジングケア効果が期待できる。

植物オイルに含有される脂溶性ビタミンとは?

ビタミンは、エネルギー代謝を行う酵素のサポートをするため、体にとって欠かせない栄養素。植物オイルに含有されている脂溶性ビタミンは、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンKの4種類。食品や化粧品でバランスよく取り入れることで体のあらゆる生理機能に働き、美と健康に導いてくれる。

【肌への作用が期待できる主な脂溶性ビタミンの働き】

[ビタミンA]高い抗酸化作用があり、活性酸素やフリーラジカルによるエイジングサインを予防。

[ビタミンE]抗酸化作用が大変高く、オイルの寿命延長にも効果を発揮。

安定的にブレンドされたスキンオイルを取り入れるのもあり!

「植物オイルは酸化しやすいため、ビューティオイルとして使うには、ワックスエステルなど酸化安定力の高いオイルや成分とブレンドして使用するのがおすすめ。自分だけのスキンオイルを作ることもできますが、化粧品として販売されているブレンドオイルを取り入れるのもいいと思います」

ビタミンA*¹・C*¹・E*¹配合で、すこやかで美しい肌に導く

エンビロン モイスチャーACEオイル
ボディにも顔にも使える多機能スキンケアオイル。ホホバオイルをベースにビタミンA(レチノール誘導体)*¹・C*¹・E*¹配合で、肌にハリ、ツヤ、潤いを与えて、すこやかで美しい肌へ。顔だけでなく、今のシーズン特に乾燥しやすいひざ下や腕などボディへの乾燥&エイジングケア*²に。
エンビロン モイスチャー オイル カプセル
潤って輝く肌へ導くカプセル状美容オイル。ダイズ油をベースにビタミンA(レチノール誘導体)*¹やビタミンC*¹、緑茶エキス*¹、ローズマリーエキス*¹など多くの美容成分を贅沢に閉じ込めた夜用集中ケア美容オイル。
*¹整肌成分 *²年齢に応じたお手入れのこと

体の最小単位である細胞を作り、体の生理機能にも影響を与えるほか、目や毛髪、皮膚のバリア機能を左右して重要な働きをするオイル。ここまで大切な存在とは! と正直驚いた人も多いはず。まだまだ奥が深いオイルだけれども、自分に必要なオイルを見つけ、明日のヘルシー&きれいを手に入れよう。

YUKIE | ユキエ

Beauty Oil Concierge

米国の医学博士のもと、オイルセラピストとしての基礎を習得。オイル美容界のエキスパートとして、一般社団法人日本オイル美容協会(JOBA)を設立し、代表理事を務める。効果的なオイルの美容法は、モデルやトップスタイリストたちからの支持も高い。イタリアオリーブオイルソムリエ協(AISO)オリーブオイルソムリエでもある。著書に『新装版 読むオイル事典』(主婦の友社)がある。
一般社団法人 日本オイル美容協会

Photo: HISAI KOBAYASHI
オイル協力: オイルファーマシー

Editor’s Note取材メモ

  • 東京から生活の拠点を移し、自然と暮らし始めました!

    YUKIEさんに、ヘルシー&きれいのために始めたことをお尋ねしたところ、なんと生活の拠点を東京から自然豊かな地方へ移したとの答えが!
    「昨年の春にデビューしたキャンプ。自然の中に身を置く居心地のよさを実感し、30年近く住んでいた東京から自然が多い場所に拠点を移しました。これまではそれほど自然に親しんでいなかったのですが、東京で忙しく働き続けるなか、仕事とプライベートのスイッチが上手に切り替えられない自分に気づいてしまって。新しい生活拠点は、夏は暑くて虫も多いし、冬はとてつもなく寒い。家も古いし、まさに不自由の連続。でも、それが逆に新鮮で! いつまで続けられるかはわかりませんが、不自由を快適にしていくのが今の楽しみです」
    不自由を快適にする楽しみ——。そう語るYUKIEさんの笑顔を見ていると、この生活がYUKIEさんのヘルスの源だと感じた。

Content Writing

Yuumi Fujii | 藤井優美

Beauty Editor

『ELLE』『Women’s Health』などの雑誌・WEBメディアでも執筆。美容系編集プロダクション「dis-moi(ディ・モア)」主宰。エステティシャンを経て、美容エディターになること25年以上。美容専門誌をはじめ、多くの女性誌で美容情報や女性のヘルス特集を手掛ける。年間、数多くの研究者、医師、美容家などの取材をこなす。