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炭水化物も脂質も必要! 管理栄養士に学ぶ “食べて代謝をあげる”5つのコツ

Reported by Yumiko Murata

2021.5.13

夏に向けてボディラインが気になる季節。でも今は「食べない」「がまん」「がんばりすぎる」といったダイエットはマイナーで、逆にきちんと食べてつくるヘルシーな体が求められる傾向にある。そこで管理栄養士&インナービューティスペシャリストとして多岐にわたって活躍している関口絢子さんに、「食べても太らない」、むしろ「食べることによって代謝があがる」食事のコツを伺った。

無理なダイエット、間違えたダイエットは太りやすい体質をつくる!

パリコレなどのランウェイでプラスサイズのモデルが登場したり、ここ近年女性誌のダイエット特集で「やせる」という言葉が使われなくなるなど、“美しいボディ”に対する価値観に変化が表れつつある。

「がまんするダイエットは続かないし、第一無理があります。そもそもモデルサイズを求めるのは、なかなか厳しいですよね。それよりも自分にとって心地よく、そして健康的な体をつくることに今は完全にシフトしたと思います」と長年の間、多くの人々に食事指導をしてきた関口さん。

「過去には、リンゴダイエットや置き換えダイエット、糖質制限など、時代によって流行りのダイエットがありました。でもこういった短期感でやせる極端なダイエットは、筋肉量を落とし、代謝の悪い体をつくるもと。こういったダイエットを繰り返すことで、やせにくく、太りやすい体になってしまいます」

まずは“悪い食べ物”の依存を断ち切ること。それが代謝のいい体づくりのスタートライン

「食べるものの質、食べ方も大きく左右します。特にグルテン、糖質、脂質、化学調味料を多量に使った食品は太りやすいうえ、依存性が高い。一度食べたくなると、毎日のように食べずにはいられなくなる。がんばってがまんして少しやせても、また食べたくなってリバウンドしてしまう……そんなケースが多いように思えます」

依存性の高い具体的な食べ物とは、シュークリームやドーナツ、ケーキなどのスイーツ、化学調味料のきいたカップ麺やスナック菓子、揚げ物など。たまには食べるけれど、果たして自分は依存しているかどうか……どうやって判断すればよいのだろう。

「おなかが空いて何かを食べたいと思ったときに、まっ先に浮かんでくるものは何ですか? 一汁三菜のような健康的なごはんを欲するのであれば問題ありませんが、上記のようなジャンクフードを思い浮かべる人は、“太りやすい食事”に依存しているかもしれません」

そんな関口さんも20代は小麦粉に支配されていたというから驚く。「メロンパンやシュークリーム、ドーナツにはまってしまいました。当然太るので、ダイエットしてはやせて、でもまた食べてリバウンド……このまま一生ダイエットをし続けなくてはならないのかな、と思っていたほどです」

では、糖質やジャンクフードへの依存を断ち切るには、どうすればよいのだろう? 「嗜好をリセットすることが大切。ファスティングも効果的ですが、基本は毎日の食事。規則正しくバランスのよい食事をすることで、変な食べ物を欲しない体、そして代謝のいい体が自然と手に入るはずです」

そのための5つのコツを伺った。

1.欠食はしない。なぜなら食べることでカロリーが消費されるから

「ダイエットのために食事を抜く人がいますが、私から言わせると“もったいない”! というのも食事をとることによってエネルギーが使われ、代謝があがることが証明されているからです」

「特に食事誘発性熱産生が高いといわれているのがタンパク質で、摂取カロリーの30%は燃焼されます。ちなみに糖質は6%、脂質は4%なので、バランスのよいメニューにすることで、一食で10%ほど代謝がアップします。よく噛むことでさらにアップ。このように、食事は体力を使う営みなんです。ただし、くれぐれもダラダラと食べ続けたり、食べすぎはもちろん禁物です」

2.“燃焼しやすく、排出しやすい”、茶色い食べ物とタンパク質をとろう

「エネルギーを産生するのに必要な補酵素である、ビタミンB群(B1,B2,B6)、酵素の原料となるミネラルやタンパク質、排出の栄養素である食物繊維やカリウムを意識してとることがポイントです」

「具体的には白米より玄米や雑穀米、白砂糖より黒砂糖など、白く精製されていないもの。野菜や果物、豆、肉や魚、卵などのタンパク質食品、発酵食品です。これらをバランスよく食べるようにしましょう」

「意外と不足しがちなのがタンパク質。タンパク質はさまざまな食品に含まれますが、先ほど言った肉や魚、卵などのタンパク質性食品を一日に自分の手のひら2枚分(もしくはこぶし2個分)の量を目安に食べるとよいでしょう。そこに野菜を中心とした副菜を2~3倍の量、ごはんはダイエット中ならタンパク質と同量か、それ以下にとどめるのが理想です」

こちらは関口さんのある日の食事。牛肉のステーキのほか、野菜がメインの副菜が2品、汁物、そして玄米ご飯が牛肉とほぼ同量。このくらいのバランスを目安にしたい。

3.一日の食事を10~12時間内にとるだけで、代謝はみるみるあがっていく

「私たちの体はホメオスタシス(生体恒常性)の働きで、日中は代謝アップモード、睡眠中代謝を下げて眠りやすい状態になります。このオンオフスイッチを生かした食事をとることが、代謝をあげる大きなカギに」

「実際にアメリカのソーク研究所バンダラボから、食べる時間によって代謝が変わるという報告がありました。同じ量の食事を24時間いつでも食べられるマウスと、食事時間を10時間以内に制限されたマウスでは、4カ月で前者は太りだし、後者はやせはじめたそうです。さらに後者の体重は1年後も減少しつづけ、昼間のパフォーマンスがあがり、熟睡し、体調がよくなったとのこと」

「このように代謝のあがる時間帯に食事をすることで、さらに代謝のよい体質になり、パフォーマンスもあがります。理想は朝7時、昼12時、夜17時と10時間以内に食事をとること。ただ17時に夕食は現実的ではないので、せめて12時間以内に食事をとるように意識してください」

4.油は太る? いえ、“やせる油”を味方につけることで、“燃える体”になれる!

「『油=太る』と思われていますが、美容と健康のために積極的にとってほしい種類もあります。例えばMCTオイルは体脂肪を燃焼しやすくしますし、エゴマ油やアマニ油などのオメガ3は、血液をサラサラにして血流をよくする効果が認められています。ただ、これらは熱に弱いので、サラダのドレッシングやスープ、味噌汁などにかけるなどして取り入れるのがよいでしょう」

「加熱調理におすすめなのが、オレイン酸のこめ油やオリーブオイルです。一方とりすぎないほうがいいのが、サラダ油や紅花油などのリノール酸。揚げ物は高温調理によって過酸化脂質が生じるので食べる頻度に気をつけて。好きな方もいらっしゃると思うので、たまのご褒美に召し上がっていただく分にはよいと思います。お酢やレモン汁をかけると糖化を多少防げますよ」

5.体温があがる食べ物を積極的にとる

「体温が1度あがると13%代謝があがるといわれています。体を温めて血流をよくする食べ物を意識してとるようにしてください。具体的には根菜類やしょうが、酢、辛いもの、温かい鍋物もよいですね」

「気をつけたいのは、カリウム。ほてりを沈め、水分排出を促すことで、体を冷やします。スイカやバナナなどの果物に多く含まれているので、冷え性や低体温の人はとりすぎないように気をつけましょう」

栄養バランスは1週間単位で考えて。“心の栄養”もたまにはOK!

5つのルールを毎日の食事に取り入れ、質がよくバランスのとれた食事を規則正しくとることができれば、代謝のいい理想の体を手に入れられるはず。さらにポイントを伺った。

「毎日の食事を100点満点にするのは難しいと思いますし、逆にストレスになるでしょう。食事バランスは、1週間で帳尻が合うように調整しながら整えていくくらいのスタンスでよいと思います。大切なのは意識すること」

「そしてたまには甘いものや揚げ物など、ジャンクフードを食べてもいいのです。それは心の栄養になりますから。ただし依存しないように週に1~2度に。どうしても毎日食べたい方は、“良質なものを少しだけ”を守って食べることがポイントです」

Ayako Sekiguchi | 関口絢子

Registered Dietitian
Inner Beauty Specialist

管理栄養士、インナービューティスペシャリスト。企業やWEBサイト・各種メディアや媒体を中心に、レシピやコラム、 企画提案などを行う。斬新なアイデアやニーズを捉えた企画が人気を博し、CM用のフードコーディネートやフードスタイリング、商業施設のフードプロデュースなど多岐に活動。毎日続けられることをモットーに、簡単・おいしい・お洒落、そして美容と健康に直結したレシピを発信している。
Wellness Kitchen

Photo: Sadato Ishizuka, Getty Images

Editor’s Note取材メモ

  • 最初は仕事のつもりが……食べることで、どんどん健康体に

    YouTubeで食に関するさまざまな情報を発信している関口さん。意外なことに視聴者は60~70代の高齢の方が多いのだそう。

    「切実な健康のお悩みがたくさん寄せられてきていて、『楽しくお料理をしましょう』というよりは、『健康にいいもの』を提案するのが最近のテーマに。酒かすやみそなどを使ったレシピ提案のために、試作で健康にいいものばかりを食べています」

    その結果、運動不足にも関わらず、すこぶる体調がよくなったそう。「少し食べすぎても変な太り方をしないし、筋肉も落ちずにきれいについてきました。私がいうのも何ですが、やはり『食は命』ですね」

Content Writing

Yumiko Murata | 村田由美子

Beauty Editor

元『ELLE』ビューティ ディレクター。ファッション誌のビューティ担当を20年以上続け、フリーランスに。『エル・ジャポン』『エル・オンライン』のほか美容誌などでも執筆。食べることと赤ワイン、南の島をこよなく愛し、美容に悪いと思いつつもバカンスでは太陽をたっぷり浴びている(その分ケアもしっかりしています笑)。趣味はダイエットと歌うこと。

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上から時計まわりに ビタミンA∔C、E 60粒 ¥3,240 +オメガ3 60粒 ¥5,400 +ビオチン 60粒 ¥4,320 ビタミンA+D 60粒 ¥3,024 ビタミンA+ミネラル 60粒 ¥3,240

栄養は食事でとることが基本。でも忙しい現代人は、時間どおりに食事がとれなかったり、バランスが偏ってしまうことが多いのも事実。そんなときはサプリメントで補うこともひとつの解決策だ。例えば、19種類の栄養素がバランスよく含まれた「ビタミンA+ミネラル」は、食生活が偏りがちなときに。現代人に不足しがちなビタミンAとDが同時にとれる「ビタミンA+D」は健康のベースづくりに。良質なオイルをとりたいときは「+オメガ3」を。また体の中からもビューティを強化したいときは「ビタミンA+C、E」や「+ビオチン」を。上手に取り入れることで、より健やかな毎日を過ごしたい。