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WELLNESS

ひょっとして夏太り!? 身も心も軽くなる、集中デトックスのすすめ

Reported by Yumiko Murata

2021.9.16

暑い夏が過ぎて秋の気配を感じられる頃、ふと感じられるのが体の「あれっ?」と思うちょっとした変化。脚のむくみがなかなか引かない? おなかがぽちゃぽちゃしている? ハミ肉、増えている? ……そんな人は、夏太りしてしまったかも! 実は、夏は意外と太りやすく、体質も変化しやすい季節。気をつけていないと、どんどん太りやすい体質になってしまうことも。そこで、長年にわたって多くの女性たちの体をケアしてきた、トータルケアサロン「テ・ルーチェ」のオーナーセラピスト宮澤輝子さんに、夏に太る原因と今すべき集中ケアを伺った。

やせそうな季節なのに、夏に太ってしまうのはなぜ?

たくさん汗もかくし、暑さで食欲も落ちてる夏は、やせやすい季節に思える。しかし夏に太ってしまう人は意外に多く、30代の女性の3割近くが夏太りを経験しているというデータも。その理由を「夏は一年のなかで最も代謝が落ちる季節」と宮澤さん。女優や美容のプロからも信頼の厚いカリスマセラピストだ。

「一年中で基礎代謝が最も高くなる季節は、実は冬。体が寒さに耐えようと積極的にエネルギーを作り出し、体内で熱を放出します。反対に夏は暑いため、体を冷やすためにエネルギー代謝が低くなり、その結果、太りやすい状態に……。また、海水浴や花火大会などこの季節ならではのアクティビティで活動的に思える夏ですが、近年続く酷暑やコロナ禍において事情が変わってきました。外に出る機会が減って運動不足になったり、酷暑のために冷たいものを飲んだり食べたりすることで体が冷え、栄養バランスも乱れがちに。さらに湯船につからずにシャワーで入浴をすませることが多くなり、心身のリセットができずに睡眠の質が低下してしまうことも」。これらがすべて代謝の低下を招く原因とつながるという。

特に冷たい食事や飲み物が体調に大きな影響を及ぼすと宮澤さん。
「暑いと冷たい飲み物を一気に飲んでしまうことが多いですよね。これがよくない。一気に内臓が冷えてしまい、胃腸に負担がかかることも。また水分が多すぎると過剰に胃酸が分泌されて消化液が薄まり、食べ物が消化されにくくなります」

消化が弱まると必要な栄養素を吸収することができず、その分代謝も落ちてしまう。
「さらにそうめんや冷やし中華など、夏場はついさらっとした一品で食事をすませがち。こういった冷たい麺類は糖質が多く、脂肪代謝、糖代謝に欠かせないミネラルやビタミンB群、筋肉をつくるもととなるタンパク質が不足してしまうのです」

夏太りの正体は“冷たいもの”太り。あなたは大丈夫?

このように冷たい飲み物&食べ物の過剰摂取や、エアコン&シャワー生活が続くことによって、手足の冷えだけでなく、内臓の冷えも進行してしまう。内臓の働きが悪くなることで、代謝はさらに低下。「水分のとりすぎで体はむくみ、むくむことでさらに体が冷え、脂肪を寄せつけやすい状態に。脂肪は体を冷やすので、さらにむくんで冷えて脂肪がつきやすくなるといった悪循環に。また内臓が冷えることで腸もむくみやすくなり、便通やリンパの流れも滞る……つまり、“ため込みやすく、出しにくい体”に。まさにこれが“冷たいもの太り”です」

実際に体重が増えていない人でも、以下に当てはまる人は“冷たいもの太り”予備軍の可能性が。ため込みやすく出しにくい、つまり太りやすい体質になりつつあるということ。

こんな人は“冷たいもの太り”の可能性が!

  • □ 夏の間、冷たいものばかりとっていた
  • □ 湯船にほとんどつかっていない
  • □ ほとんどエアコンの効いた部屋にいた
  • □ 足首を触ると冷たい
  • □ 足の甲の骨が埋もれてよく見えない
  • □ おなかまわりが硬く、触ると冷たい
  • □ ふくらはぎが硬く、パンパンになりやすい
  • □ 便秘がち、または下痢をしがち
  • □ 普段、ほとんど汗をかかない
  • □ 運動量が圧倒的に減った
「テ・ルーチェ」では入浴でしっかり体を温めてからトリートメントをスタート。“冷たいもの太り”の傾向にある方や生活習慣が乱れている方は、汗の出方が悪く、腰まわりや肩まわりに冷えを感じることが多い、と宮澤さん。トータルケアサロン「テ・ルーチェ」

「サロンのお客さまのなかでも、コロナ禍によってあまり外出できず、仕事もリモートで座りっぱなしの生活にシフトしてしまった方が多いんです。そうなると中性脂肪が燃焼されずに、さらに冷えが進行します。いつもと違うところが冷えているなど体の変化を感じることも」

そういった体調の変化を見逃さず、適切なケアを施すように努めているという宮澤さんに、“冷たいもの太り”を解消するためのセルフケア方法を教えていただいた。

【食事編】
代謝を上げる食事を積極的にとる

「体の代謝には、ビタミン、ミネラル、タンパク質、糖質、脂質の5大栄養素をまんべんなく、バランスよくとることが必須。特にタンパク質は、不足すると筋肉の質も量も落ち、代謝の低下の原因になります。筋肉が足りないとむくみやすくもなるので、普段の食事でしっかりとることが必要です。特にビタミンB1の豊富な豚肉やうなぎ、B2を含むレバーや納豆を積極的にとりましょう。ただし、食事だけでは十分にタンパク質をとれないこともあるので、プロテインドリンクで補うのがおすすめ。大きなシェーカーではなく、コップ1杯を朝晩の2回ほど、食事の前にとるといいでしょう。またビタミン、ミネラルも不足がちな栄養素。意識して食事でとるようにし、足りない分はサプリメントで補うことをおすすめします」

(右)WPIホエイのほか32種類の有機植物発酵酵素、フィッシュコラーゲン、甘酒の原料である米麹などを配合したプロテインパウダー。すっきりと飲みやすいジンジャーティー味。レクぺラール プロテインパウダー (左)タンパク質のもととなるアミノ酸10種類のほか、ビタミン・ミネラルなど36種類の栄養素を含んだサプリ。アミノ酸46

「消化力が落ちている人は、食事の前に酵素ペーストを取り入れるのがおすすめ。消化能力がアップするうえ、栄養素が豊富に含まれているので、代謝アップにも効果的です。さらに手軽な栄養補給として、青汁やナッツなどを常備しておきましょう。小腹がすいたときのおやつにはもちろんのこと、時間がない日の朝食にもぴったりですよ」

(右)全61種類のハーブ・果物・野菜・漢方食品を3年以上発酵・熟成した完熟発酵ペースト。糖を抑えた製法なのがうれしい。携帯にも便利なスティックタイプ。 (左)無農薬栽培で大切に育てた稀少な二条大麦を使用した青汁。鉄分、ポリフェノール、クロロフィル、GABA、食物繊維なども豊富。青臭さがなく、抹茶のような味わい。レクペラール グリーンエクササイズ
ヨーグルトにナッツと青汁をトッピング。タンパク質、ビタミン、ミネラル、良質な脂質もとれる万能の一皿。宮澤さんもよくおやつや朝食に食べているそう。

【運動編】
日頃の活動量を意識的に上げる

「コロナ禍で活動量が格段に落ち、運動不足になっている人が多いと聞きます。体を動かせないと硬くなって、さらに動きにくくなります。そうするとさらに太りやすい体に……。軽い運動でいいので体を動かすことを習慣にしましょう。簡単にできるのがウォーキング。1日20~30分リズミカルに歩くための時間をもつとずいぶん違いますよ」

さらにデスクワークが続いたときに取り入れてほしいのが、座りながらもできる簡単エクササイズ&ドレナージュ。

テレワーク中の代謝アップ
&姿勢改善運動

① 両手を両肩に置き、前から耳の横を通るように大きくぐるんぐるんと10回ほど回す。このとき、肩甲骨まわりが動くのを意識すること。
② 脇に手をはさみ、わきの下をもみほぐす。親指では「小胸筋」と呼ばれている胸の上の筋肉をもみほぐす。詰まりやコリがある人は痛みを生じるが、痛気持ちいいと感じるくらいの強さで。さらにリンパ管が集中する鎖骨まわりをほぐす。
③ 後頭部から鎖骨にかけてつながっている筋肉「胸鎖乳突筋」をつかんで10回ほどもみほぐす。
④ 仕上げに耳の後ろにある「耳下腺」から鎖骨に向かって流すように10回ほどさする。

「肩を回して猫背や前肩を防止すると同時に、肩甲骨まわりにある“褐色脂肪細胞”を動かしていくので、代謝アップ&脂肪燃焼に効果的です。さらにわきの下、鎖骨まわり、“胸鎖乳突筋”をもみほぐすことで、わきから首まわりの詰まりを解消し、首や肩まわりに余分な脂肪がつくのを防ぎます。上がっていた肩がストンと落ちて、呼吸が楽になりますよ。酸素供給量が増えるとさらに代謝も上がり、よい睡眠につながるので、ぜひ試してください」

【入浴編】
アロマソルトバスの反復浴で二次発汗を狙う

「できれば毎日、湯船にはつかって体の冷えをとり、こわばった筋肉を和らげるのが理想。入浴剤でおすすめなのは、代謝をより促進し、経皮吸収することでデトックス効果を高めてくれるソルトを。好きな香りのエッセンシャルオイルとブレンドすることで、リラックス効果とスキンケア効果も期待できます」

ソルトとオイルは、その日の気分で選ぶのがおすすめ。右から 海の恵みが詰まったバスソルト。グリーンカラーとシトラスアクアの香りに癒やされる。タリオン オーシャンバスクリスタル 優れたミネラルバランスで発汗を促す天然100%のバスソルト。BARAKA ジョルダニアン デッドシーソルト 宮澤さんプロデュースのサロンでも人気のアロマバス。テ・ルーチェ アロマバス 豊かな香りとやわらかな肌ざわり。効能別に4タイプ。ナチュールサンアローム アロマバス

「入浴のあと、さらに発汗する“二次発汗”を促す反復浴がおすすめです。まず5分ほど首までつかって全身を温めます。一度出て、冷たいシャワーを足元にあてて、全身浴を2分。この“足元にシャワー→全身浴2分”を2~3回繰り返してください。ドロドロの汗が出てきたら、老廃物が出ている証拠。そしてお風呂から上がったら、すぐにバスローブを着て水分補給を。このときもジワジワと汗が出てきますが、これが“二次発汗”です。最初の汗よりもサラサラしていたら、ドロドロ汗が出きってデトックスが完了した合図」

この反復浴はできれば毎日続けてほしいが、無理ならば週に2回を目安に。ただし就寝直前の入浴は体を活性させて睡眠の質を落とすので、眠る2時間前にはすませること。

“二次発汗”のためにバスローブを用意しておくとベスト。常温のミネラルウォーターで水分補給もしっかりして体内の“水”を入れ替えることで、老廃物を排出。むくみの予防にもつながる。
おなかの冷えや脚のむくみがひどい人は、おなかまわりをすっぽり包み込むこのスパッツを。体温を利用して遠赤外線熱を放射してポカポカに。プウアボーテ スパッツサポーター

【デトックスマッサージ編】
ウエストをつくり、脚のむくみを解消

「胃腸の働きが落ちていると、おなかまわりが冷えてむくみ、サイズが大きくなってしまうことも。そんなときは胃を温めながら腸リンパの流れを促し、ウエストのくびれを強調するマッサージを」

温活&くびれ復活マッサージ

① 埋もれがちな肋骨を出すように、肋骨のラインを上から下に10回ほどさする。このようにみぞおち部分をマッサージすることで腹部が温まってくる。
② 左右のウエストを手でつかみ、前かがみになりながら鼠径部に向かって手をスライドさせる。これを数回繰り返すことで、くびれが強調されてくる。
③ 肋骨から鼠径部のリンパ節に向かって老廃物を流すように数回さする。

「脚のむくみが気になるから一生懸命マッサージしても、なかなか解消されない……そんな人はおなかにある体内最大のリンパ節“乳び槽”のアプローチがおすすめです。ここは腸リンパや脚のリンパが流れ込んでくる、いってみれば下半身リンパのタンク。しっかり刺激することで脚のむくみをすっきりと流すことができます。横になった状態でもできるので、眠る前、ベッドの上での習慣にしてください。翌朝の脚はすっきりしているはず」

脚むくみを解消する
“乳び槽”ゆらし

① “乳び槽”はおヘソの上、指4本くらいの位置。そこに両手を当てて左右にやさしく1分ほど揺らす。
② おヘソに両手を当てて左右に1分ほどゆらし、おなかを温める。
③ 両手をグーにして、肋骨の下から鼠径部に向かって数回さすって流す。
マッサージにはボディオイルを。摩擦を防ぐことで肌への負担が軽減されるうえ、保湿効果も。右から テ・ルーチェ シャイニングボディオイル BARAKA ジョルダニアン デッドシー マッサージウォーター

夏の“冷たいもの太り”を放置すると、さらなる負のスパイラルに

「これからの季節、気温も湿度も下がって、とても過ごしやすい気候になります。食べ物もおいしく食欲も旺盛に。さらにその先には年末年始が控えています。“冷たいもの太り”をした人やその予備軍は、今、この時期に体を元に戻しておかないと、どんどん体重が増える負のスパイラルに。今こそデトックスと心得て、体を立て直してください」

Teruko Miyazawa | 宮澤輝子

「テ・ルーチェ」オーナーセラピスト。ビューティクリエイター。エステティシャン、タラソテラピスト、アロマセラピスト、フィトテラピストの資格を取得し、約10年のサロン勤務後、ハワイ研修を経て 2004年にプライベートサロンをスタート。2006年に「テ・ルーチェ」を設立。 以来、「肌と対話する、肌の声に応える」ためのオリジナルメソッドの探求と、徹底したテ・ルーチェ流のパーソナルトリートメントを提供するサロン活動を続けている。

Photo: Gouda Kazuhisa

Editor’s Note取材メモ

  • 秋の夜長は、ペン字の練習に当てたい

    「美しい字を書けるようになりたい!」と以前から思っていた宮澤さん。すでに何冊もの練習帳を用意していたが、多忙な日々を送っていたため、なかなかスタートできなかったそう。「目標は、筆ペンでお便りが書けるようになること。この秋こそ練習したいと思います」。
    もし自由に旅行できるような環境になっていたら、「日本の秋は紅葉が美しいので、秘湯に行きたい」とのこと。一日も早く、かなえられる日がきますように。

Content Writing

Yumiko Murata | 村田由美子

Beauty Editor

元『ELLE』ビューティ ディレクター。ファッション誌のビューティ担当を20年以上続け、フリーランスに。『エル・ジャポン』『エル・オンライン』のほか美容誌などでも執筆。食べることと赤ワイン、南の島をこよなく愛し、美容に悪いと思いつつもバカンスでは太陽をたっぷり浴びている(その分ケアもしっかりしています笑)。趣味はダイエットと歌うこと。