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FOOD

美味しく食べて元気をチャージ! 夏野菜の旬レシピ

Reported by Miki Numata

2021.7.15

夏の野菜には、はじけるようなパワーがある。真っ赤なトマトや濃い緑のきゅうり、紫に輝くなすに、一粒一粒がパールのように美しいとうもろこし。目からも元気をくれる夏野菜をたっぷり食べて、美味しく楽しく、夏のエネルギーをチャージしよう。今が旬の野菜を使ったレシピを、野菜使いに定評がある料理研究家、植松良枝さんに教えていただいた。トマト、なす、とうもろこしを使った3つのレシピは、旅好きの植松さんならではのエスニックテイスト。「なかなか旅行ができない今、せめて食卓で旅気分を味わっていただけたら嬉しいです」

夏野菜の魅力って?

料理を作るのみならず、自ら菜園で野菜を育て、旬の新鮮な野菜を楽しんでいるという植松さん。「実家にいた頃は広い畑でいろんな野菜を育てていましたが、今は自宅のそばに菜園を借りて、トマトやなす、唐辛子やハーブなどを育てています」。植松さんにとって、夏野菜は「元気」そのもの。「夏の野菜は果実、つまり実の部分。トマトを筆頭に、なすやきゅうりやピーマンにしても、ジューシーで甘みがあってフルーツみたい。だから見ているだけでもテンションが上がるし、みずみずしさはこの季節ならではのもの」。果汁を多く含んだビタミンカラーの夏野菜は、他の季節にはない趣がある。「色とりどりの野菜が出回るようになったら、いよいよ夏!という気分で気合を入れて存分に食べます」

自宅のテラスでは、「パッと摘んですぐに使えるハーブを何種類か植えています。摘みたての香りは最高。ハーブティーにも惜しげなく使えるし、何かと重宝しています」。日当たりの良いテラスには、時々小鳥も遊びに来るのだそう。都会に暮らしながら自然を身近に感じることができる暮らし。植松さんのレシピのアイデアはこんな何げない日常のひとコマから生まれてくるのかもしれない。

夏の意外な野菜活用法

「たくさん野菜を買ったときには、干し野菜がおすすめです」と、植松さん。テラスの片隅ではきゅうりが干してあった。「きゅうりを干すなんて意外と思われがちですが、これがとても便利で美味しいんです」。好みの厚さにスライスしてざるなどに並べ、外に出しておくと、夏なら3〜4時間ほどで「セミドライきゅうり」ができる。「豚肉と一緒に炒めたり、酢の物に使ったりと、何かと便利。水分が抜けて味が凝縮し、食感も生のときとは違うけれどしっかり歯応えがある。味が入りやすいのでいろんな料理に使えます」。ほかにズッキーニなども干し野菜に向いているとか。ぜひ一度お試しあれ!

ベトナム風 トマトの肉詰め煮

夏野菜の料理、1品目はベトナム版のトマト・ファルシを紹介。現地の食堂などでよく出てくるポピュラーな料理だ。トマトと豚肉の相性が抜群で、ご飯と一緒に食べるのがおすすめだそう。もし手に入れば、レモングラスを入れるとより本場の味に近づく。

○材料(6個分)

トマト(中玉のミディトマト) 8個
豚肉(こま切れ) 300g
玉ねぎ(みじん切り) 大1/4個分
にんにく(みじん切り) 1片分
しょうが(みじん切り) 1片分
塩 小さじ2/3
粗挽き黒こしょう 小さじ1/2
片栗粉、油 各適量

【A】
ヌクマム(またはナンプラー) 大さじ2
シーズニングソース(オイスターソースで代用可) 小さじ1
きび砂糖 小さじ2
あればレモングラス(乾燥) 適量

○作り方

トマト6個はへたの下を水平に切り、皮の内側(周囲)に包丁で切り目を入れて中をスプーンでくり抜く。残りの2個とくりぬいた中味、ヘタの周りの果肉は、煮込み用に細かく刻み、合わせて2カップ弱になるようにする(足りなければ水を足す)。豚肉は刻んで挽き肉状にする。

豚肉に、玉ねぎ、塩、こしょうを加えてよく混ぜ合わせたら、①のトマトにしっかりと詰める。フライパンを熱して油大さじ1と1/2をひき、トマトの切り口にうすく片栗粉をはたいて、切り口を下にして焼き色がつくまで3分ほど焼いたらいったん取り出す。

②に油適量を足し、にんにくとしょうがを中火で炒め、香りが立ってきたら刻んだトマトを加えてなじませて、蓋をして5分ほど煮る。トマトが煮崩れてきたら【A】で味付けし、②を加えて蓋をして、10分ほど弱火で煮る。

トマトの便利な保存方法

完熟トマトがたくさん手に入ったときは、冷凍保存がおすすめだ。「冷凍しておくと皮が簡単にむけるので、湯むきする手間が省けます。煮込みのときは早く煮崩れて時短になるし、冷凍のままスムージーや冷製スープに使っても。ちょっと熟しすぎたトマトでもこうしておけば大丈夫。アルミホイルに1個ずつ包んで冷凍庫で保存してください」

揚げなすのビリヤニ風

もともと宮廷料理だったというビリヤニは、ハレの日の料理。本格的に作ろうとすると手が込んでいて大変だけれど、今回は手軽にできる方法を教えていただいた。日本米にジャスミンライス(タイ米)を混ぜると、香りも味わいもより豊かに。

○材料(4〜6名分)

米 2合(タイ米と日本米を1対1でブレンドしたものがおすすめ)
なす 4本
いんげん 100〜150g
赤パプリカ 小1/2個
黄パプリカ 小1/2個

【A】
クローブ 3本
クミンシード 小さじ1
シナモンスティック 1/2本

【B】
クミンパウダー 大さじ1強
コリアンダーパウダー 大さじ1強
レッドペッパー  小さじ1/3〜1/2
ターメリック 小さじ1
塩 小さじ1と1/2
(※スパイスがそろえられない場合、クミン、コリアンダー、レッドペッパー、ターメリックの代わりにカレー粉大さじ2と1/2を使ってもよい)
バター 大さじ1〜2
フライドオニオン 適宜
揚げ油 適量
トッピング用(好みで)
フライドオニオン、ココナッツチップス 各適宜

○作り方

米はさっと洗って水気をしっかりと切って炊飯器に入れ、【A】を加えて炊飯器の早炊きモードで炊く。

【B】を大きめのボウルに入れて混ぜ合わせる。なすは3cmの長さに切ってから縦4等分にし、いんげんは2cmの長さに切る。パプリカは小さめの一口大に切る。180〜190℃に熱した揚げ油でそれぞれ香ばしく素揚げする。しっかりと油を切って熱いうちにBのボウルに入れ、スプーンなどで和えてスパイスと塩を均等にまぶしつける。

ご飯が炊きあがったらバターを加えてほぐし、2の中に入れてざっくりと混ぜ合わせ、好みでフライドオニオンとココナッツチップスをふる。

揚げなすの作り置きが便利!

油との相性がいいなすは、揚げると香ばしい風味と、なすならではのとろんとしたコクのある味わいが楽しめ、ぐっと美味しくなる。揚げたてを生姜醤油や大根おろしと薬味でシンプルに食べても、また味噌汁に入れるだけでも十分美味しいが、トマトソースに入れたりカレーに添えたりと、料理の脇役としても大活躍。時間があるときにまとめて揚げて冷凍しておくと、すぐに使えて便利だ。「なすは種類がいろいろあるので、手に入るときに買ってまとめて揚げておくといろんな料理に応用できます。切り方も大きめの乱切りやサイコロ切りなど、バリエーションを用意しておくと、展開の幅が広がりますよ」。ただ、揚げたてが美味しすぎるので、つまみ食いには要注意!

とうもろこしと鶏肉の
メキシカンソテー

南米原産のとうもろこしはメキシコ料理に欠かせない食材のひとつ。現地では生で食べられることもあるという。メキシカンを意識したこの料理を楽しむには、とうもろこしに火を入れすぎず半生くらいで仕上げるのがポイント。その方がとうもろこしのシャキシャキ感が立って野菜感が際立ち、さっぱりと食べられ、青い香りも楽しめる。辛いのが好みの方は、手に入ればしし唐の代わりに青唐辛子を使ってもOK。

○材料(2人分)

とうもろこし 1本
鶏もも肉 大1枚
紫玉ねぎ 1/4個
フレッシュガーリックスパイシーソルト
しし唐 6本
にんにく(みじん切り) 1片
クミンパウダー 小さじ2
コリアンダーパウダー 小さじ2
一味唐辛子(またはレッドペッパー) 小さじ1/3〜
塩、オリーブオイル 各適量
ライム 1個

○作り方

とうもろこしは長さを半分に切って垂直に立て、包丁で周囲の実をそぎ取る。鶏肉は4等分し、塩適量で下味をつける。紫玉ねぎを繊維に沿って3〜4mm幅に切ってボウルに入れ、塩小さじ1/3を加えて指先でやさしく揉み込んでから、ライム果汁1/2個分を加えて混ぜ合わせる。

フライパンを熱してオリーブオイル小さじ2をひき、鶏肉を皮目を下にして広げて入れ、3分ほどして皮がかりっと香ばしく焼けたら裏返す。火が通るまで6〜7分ほど焼き、皿に盛る。

肉をすべて取り出したら油適量をひく。とうもろこしを入れて色が鮮やかになるまでさっと炒め、肉の皿に盛る。

フレッシュガーリックスパイシーソルトを作る。しし唐を5mm幅の小口切りにしてにんにくと一緒にボウルに入れ、クミンパウダー、コリアンダーパウダー、一味唐辛子と塩少々を加えて混ぜ合わせる。

③に④をかけ、紫玉ねぎを添えて全体にライム適量を搾る。好みでタバスコ(材料外)をふってもよい。

とうもろこし、ヒゲと芯は捨てるべからず。

とうもろこしは、ヒゲと芯も美味しいってご存じ? 「どちらもうま味があるので捨てるのはもったいないです」。実をこそぎ取った後の芯とヒゲからも出汁が出るので、炊き込みご飯に一緒に入れて炊くと美味しくなるのだそうだ。「芯は適当な大きさに切って、ヒゲは細かく刻んで混ぜ込みます。目安は、米2合にとうもろこし1本」。洗った米に、酒と薄口醤油を大さじ2ずつと分量の水、細かく刻んだひげ根ととうもろこしの芯をのせて、混ぜずにそのまま炊くだけ。

炊きあがったら芯は取り除き、ヒゲはそのまま混ぜ込んで食べる。「生のとうもろこしが手に入る夏だけのごちそうです。食べるときはぜひ、刻んだ茗荷をトッピングしてください」

トマトやなす、きゅうりなどは、スーパーに行けばいつでも手に入る野菜だけれど、旬の味はやはり格別。今年の夏は、夏野菜の美味しさを再発見してみてはいかが。

Yoshie Uematsu | 植松良枝

料理研究家

大学卒業後、料理雑誌のアシスタントを経て飲食店に勤務。その後料理家に師事してから、自身も料理研究家として独立。料理教室を主宰し、雑誌やテレビなどにレシピを提供するほか、レストランのメニュー開発などにも携わる。近著に『一度は使ってみたい野菜で、何度でもつくりたいレシピ』(プレジデント社)、『ヨヨナムのベトナム料理』(文化出版局)。

Photo:Tetsuo Kitagawa
Recipe: Yoshie Uematsu

Editor’s Note取材メモ

  • 今年は「夏鍋」で暑さを楽しむ!

    おうち時間が長い今、家でのご飯は大切な楽しみのひとつ。この夏は、「夏鍋」のバリエーションをいろいろ試したいという植松さん。「アジアでは、暑い日にあえてフウフウ言いながら鍋を囲む風景をよく見かけます。暑さを熱さで迎え撃つ感じ。夏の鍋は、冬とはまたひと味違うので、いろんな国の料理からヒントを得て夏の鍋料理を開拓したい!」

Content Writing

Miki Numata | 沼田美樹

Editor&Writer

広告制作会社、アートギャラリー、出版社で勤務した後、フランスの美術センターにてキュレーターのインターンを経験。帰国後、美術雑誌、インテリア雑誌、グルメ雑誌、グルメサイトの編集を経て独立。食とライフスタイルを中心に編集、執筆を行う。趣味はお菓子作りとトイレのサインコレクション。