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FOOD

食欲の季節が到来! “秋の味覚”で楽しむ、おうちダイニング

Reported by Miki Numata

2021.9.16

実りの秋は、一年で最も食べ物がおいしいと言われる季節。脂ののったさんまに、香り高いきのこ、ほくほくの芋や栗……秋こそ食べたい旬の食材を、おうちでたっぷり楽しみたい! ちょっとした工夫とアイデアで、おうちごはんをおしゃれにグレードアップしてくれる秋のレシピを紹介。

旬の味覚を食卓に。おうちで楽しむ秋のごちそう

芸術? スポーツ? いえいえ、やっぱり秋は、「食欲の秋」!

涼しくなって食欲もアップする秋は何を食べてもおいしく、食材も豊富で、食いしん坊が一年で最もワクワクする季節だ。

まず真っ先に秋を告げてくれるのは、さんま。鮮魚店やスーパーに光り輝く新鮮なさんまが並んだら、秋も本番。そして、スイーツ好きには、栗やさつまいもも見逃せない。もう、想像するだけでおなかが鳴りそう!

そんな秋の食材を使ったレシピを紹介してくれるのは、尾田衣子さん。簡単でおしゃれなおもてなし料理に定評がある人気の料理家だ。

「いつも作っている料理にちょっと秋食材を加えるだけで、食卓に季節感が出ます」。例えば、ピザにさつまいもをトッピングしたり、ステーキにきのこをのせたり。「9月はまだちょっと暑さが残っているので、さんまはさっぱりと甘酢で和えて冷菜にしましょう」

今回教えていただくのは4品。それぞれ1品ずつ出してもいいし、4品をコース仕立てにしても素敵。「ピザをつまみながらアペリティフを楽しんだら、前菜にエスカベッシュを出してメインはステーキ。栗のヴェリーヌをデザートにすれば、ミニコースになりますね」

この秋は、おうちダイニングで旬の味覚を満喫しよう!

さつまいもの
ハーブスパイスピザ

皮ごと輪切りにしたさつまいもをスパイスとバターで炒め、ピザ生地の上にトッピング。カッテージチーズでほんのり塩味をプラスしたら、ワインにぴったりのスターターに。さつまいもは皮ごと使うと、紫色が見た目のアクセントにもなり、細めのものを選ぶと仕上がりがきれいに。ピザは市販の生地を使ってもOK。

○材料(生地は3枚分、ピザの材料は1枚分)

【ピザ生地(3枚分)】
強力粉 200g
薄力粉 50g
砂糖 20g
ドライイースト 5g
オリーブオイル 20g
塩 小さじ1/2
水 150ml

【トッピング】
さつまいも(細めのもの) 180g
クローブ 6粒
八角 2個
バター 20g
はちみつ 大さじ2
カッテージチーズ 40g
オリーブオイル、黒こしょう 各適量
ローズマリー 1枝

○作り方

生地を作る。生地の材料を全てボウルに入れ、ひとまとまりになるまでよく捏ねる。まとまったら打ち粉をした板にのせて3等分に切り、ひとつずつラップに包んで15分ほど発酵させる。
※今回は3等分したうちのひとつを使う。残りはこの状態で冷凍庫に入れて保存可能。

さつまいもを5㎜幅の輪切りにして水にさらし、水気をしっかり拭き取る。

フライパンにバターとはちみつ大さじ1を入れて火にかけ、②とクローブ、八角を合わせて炒める。

ピザ生地を、打ち粉をした台にのせて綿棒などで丸く広げ、オリーブオイルを適量かけて3のさつまいもを敷き詰める。カッテージチーズを散らし、黒こしょうをふってローズマリーの葉を散らしたら、オーブントースターで15分~20分ほど焼く。

④を取り出してカットし、残りのはちみつを表面にかける。

さつまいもは、新聞紙に包んで保存するのが正解!

さつまいもは水分に弱いので、買ってきた袋のまま置いておくとカビなどの原因になる可能性がある。面倒でも、袋から出してひとつずつ新聞紙に包んで保存するのがおすすめだ。基本的には常温保存だが、気温が上がる夏場などは、新聞紙で包んだら冷蔵庫の野菜室へ。床下収納がある場合はそれでもよい。もうひとつ大切なポイントは、水洗いしないこと。皮付きで土などが付いている場合はきれいに洗いたくなるが、そんなときは一度乾かしてから土を払って保存するとよい。根菜は比較的長持ちするので、正しい保存方法でおいしさをキープしよう。

さんまとグレープフルーツの
エスカベッシュ

ピンク色の美しい冷菜は、テーブルに出すとそれだけで華やか。三枚おろしにしたさんまを揚げ焼きにして、野菜とフルーツを加えた甘酢に漬けると、全体が鮮やかな色合いになる。盛り付けるときに、ガラスのプレートと色のある皿を重ねると、よりおもてなし感がアップしてエレガントな雰囲気に。

○材料(2人分)

さんま 1尾
小麦粉 適量
ピンクグレープフルーツ 1/2個
ローリエ 1枚
紫玉ねぎ 1/8個
紫キャベツ 90g
オリーブオイル 大さじ1
はちみつ 大さじ1/2
白ワインビネガー 大さじ1 1/2
塩、こしょう 各適量
飾り用のディル 適量

○作り方

ピンクグレープフルーツは皮をむいて果肉を取り出し、薄皮に残った実は搾って果汁を出す。紫玉ねぎは薄切りにし、水にさらしたあとに水気を切る。紫キャベツは千切りにする。

①を合わせ、オリーブオイル、はちみつ、白ワインビネガー、塩、こしょう、ローリエを加えてざっくりと混ぜ合わせ、冷蔵庫で冷やす。

さんまは頭を切り落とし、お尻の部分から包丁を入れ内臓を取り出し、水でよく洗う。水気を切ったら、骨の上を添わせるように包丁を入れ三枚おろしにする。腹骨をそぎ取り、3~4等分に切る。

③に塩、こしょうをふって小麦粉をはたき、オリーブオイル(分量外)を熱したフライパンで両面焼く。

②に④を加え15分ほど漬け込み、器に盛り付けディルを添える。

デリケートなさんまは、扱いに注意

脂がのってふっくらとした秋のさんまはデリケート。「身がやわらかくて捌きやすいのですが、そのぶん崩れやすいので、扱いには注意が必要です」。自分でおろす際には、力を入れすぎずやさしく扱うこと。まず頭を落とし、お尻からおなかにかけて切り目を入れ、内臓を取り出したら水洗いをする。頭がついていたほうの骨の上に刃先を入れて包丁を滑らせるようにしてそぎ切り、同様に裏面も身を切り取ったら、食べやすい大きさにカット。添える手は常に、そっと置くだけ。力を入れると身が崩れてしまうので注意したい。

きのこと牛肉の
バター醤油高菜和え

ステーキも、秋仕様に衣替え。大きめにカットしたきのこをバターで炒め、大根おろしと高菜漬けと合わせてステーキの上にオン。最後に醤油をたらしたら、秋味ステーキの出来上がり。きのこのソテーはそれだけで食べても美味! ワインにも、もちろんごはんにもよく合う一品だ。

○材料(2人分)

牛肉(ステーキ用) 2枚
舞茸 1/2パック
椎茸 3個
バター 20g
高菜漬け(刻む) 大さじ1
大根おろし 大さじ2
醤油 小さじ2
塩、こしょう、オリーブオイル 各適量

○作り方

牛肉の両面に塩、こしょうをふる。舞茸は手でさき、椎茸は石突き(茎の下の部分)を切り落として縦4等分に切る。

フライパンにオリーブオイルを熱して牛肉を入れ、両面それぞれ強火で1分〜1分半ほど焼く。バットに移し、アルミホイルをかぶせて休ませる。

フライパンにバターを加えてきのこを炒め、火を止めてから大根おろしと高菜漬けと合わせてさっと和える。

牛肉を食べやすく切って器に盛り、③をのせて醤油をかける。

きのこは洗う? 洗わない?

椎茸やしめじ、舞茸などのきのこは、手軽に手に入り、うま味もあるのでいろいろな料理に大活躍。使うときはつい洗ってしまいそうになるが、スーパーなどで販売されているものは、ほとんどが菌床栽培といって清潔な環境で育てられているので、洗う必要はない。「むしろ洗うと風味が落ちたり劣化が早くなったりするので、あまりおすすめしません。キッチンペーパーなどで汚れを拭き取れば大丈夫です」。ただし、山で採ってきたものなどは、土や砂が気になるようなら洗ったほうがいい場合もある。食物繊維が豊富で低カロリーのきのこ、上手に付き合っておいしくいただこう。

栗とゴルゴンゾーラの
ヴェリーヌ

秋のお菓子といえば、やっぱり栗。この季節を待ちわびている栗スイーツファンも多いのでは? こちらは、栗とゴルゴンゾーラを使った簡単デザート。細長いグラスに層になるように入れたヴェリーヌは、紅茶やコーヒーにはもちろん、甘口ワインやリキュールなどのお酒とも合う大人スイーツだ。この秋はぜひ、ご自宅で大人味のマロンデザートを試してみて。

○材料(2人分)

栗 6粒
生クリーム 100ml
ゴルゴンゾーラチーズ 20g
砂糖 大さじ1
ビスケット 2~3枚
甘栗 2個
ピスタチオ 4粒

○作り方

鍋に栗を入れ、かぶるくらいの水を入れて火にかけ、沸騰させたら弱火にして5分ほど茹でる。火を止めて1時間ほどおく。

栗の下の部分に包丁の根元で切込みを入れて鬼皮をむき、さらに渋皮もむいて粗く刻む。

ビスケットは細かく砕く。ゴルゴンゾーラと甘栗は粗く刻む。ピスタチオは2等分に切る。

生クリームに砂糖を加え泡立て、刻んだ茹で栗とゴルゴンゾーラを加えてざっくりと混ぜ合わせる。

器の底に砕いたビスケットを敷き、上に④のクリームを絞る。

上に甘栗とピスタチオを飾る。

底の深いグラスには、絞り袋が活躍!

グラスの中に層を作るように素材を重ねるヴェリーヌは、器を汚さないように盛り付けるのがなかなか大変。「特にクリームやムースなどは、スプーンで入れるとうっかり跳ねて残念なことになりがち。そんなときは、絞り袋に入れ、先を真ん中に固定して絞り出すときれいに入ります」。絞り袋がなければ、ビニール袋を斜めにしてクリームを入れ、先をカットすれば代用可能。ちょっとした工夫で、おうちダイニングがお店レベルに格上げ!

秋を楽しむ4つのメニュー。いずれもシンプルながら、とってもおしゃれ! いつもとひと味違うおいしさで、ディナータイムが素敵な時間になりそうだ。旬の食材を楽しむおうちダイニング、ぜひお試しあれ。

Kinuko Oda | 尾田衣子

料理研究家

日本オリーブオイルソムリエ協会認定オリーブオイルソムリエ。大学卒業後、会社員として勤務する傍ら「ル・コルドン・ブルー東京校」にて料理ディプロムを取得。その後イタリアに渡って家庭料理を学ぶ。現在はフランス料理とイタリア料理をベースにしたおもてなし料理の教室「Assiette de Kinu(アシエット ド キヌ)」を主宰。著書に『柑橘料理の本』(オーバーラップ)、『薬味食堂』(朝日新聞出版)ほか。

Photo: Tetsuo Kitagawa
Recipe: Kinuko Oda

Editor’s Note取材メモ

  • 秋は家族でサイクリング! ロードバイクで遠出をしてみたい

    尾田さんに、秋にチャレンジしたいことは?とお伺いしたところ「最近は、家族でサイクリングをするのが趣味。夏休みは緊急事態宣言下で、しかも雨が続いたりして思うように出かけることができなかったので、秋こそはロードバイクで少し遠出しようと思っています。あとは、息子の小学校で秋から歴史の授業が始まるので、これを機に私も一緒に日本の歴史をしっかり勉強してみようかな」とのことでした。

Content Writing

Miki Numata | 沼田美樹

Editor&Writer

広告制作会社、アートギャラリー、出版社で勤務した後、フランスの美術センターにてキュレーターのインターンを経験。帰国後、美術雑誌、インテリア雑誌、グルメ雑誌、グルメサイトの編集を経て独立。食とライフスタイルを中心に編集、執筆を行う。趣味はお菓子作りとトイレのサインコレクション。