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春の緊張を感動と癒やしでリセット! 犬映画で心のデトックスをしよう

Reported by Yuumi Fujii<dis-moi>

2021.4.15

気持ちも新たに迎える新年度。ワクワクする気持ちとは裏腹に、ニューノーマルな生活様式のなか、新しい環境や人間関係で何かと緊張することが多いのもこの時期ならでは。そんな心の疲れをデトックスするために、感動する犬映画の鑑賞はいかが? 自分の心を整えることは、明日への活力につながる大切なこと。可愛いだけでなく、涙を流すことでピンと張り詰めた気持ちがふっと緩み、優しい気持ちがあふれてくるはず。そこで、感動する犬映画がもたらす癒やし効果を感性分析の第一人者である黒川伊保子さんに解説いただきながら、元『ELLE』フィーチャーディレクターの松浦 泉さんに犬を主役にした感動映画をセレクトしてもらった。

泣くことは、脳にとって心地よいストレス解消法だった!

決して感動することがなくなったわけではないし、悔しいことだって、悲しいことだってたくさんある。だけど、大人になるとそうそう涙を流すことがなくなってくる。でも、泣いたあとは何だか気持ちがすっきりし、落ち着いた、ということは誰しも経験があるはず。まずは、涙を流すことによってもたらされる心への作用を黒川伊保子さんに伺った。

「泣く、という行為は、実は脳にとって気持ちがいいストレス解消の行為なんです。涙には、ロイシン-エンケファリンという、ストレスによって生じる神経反応を緩和する脳内モルヒネの一種であるホルモンが分泌されるため、泣くことで精神的なパニックから立ち直れるのです。なので、イライラして人にあたりそうになったり、どうしていいかわからなくなったら、泣ける本を読んだり、映画を観て涙を流すことがおすすめ。自分の精神安定のために‟泣きアイテム”を持ち、定期的に涙を流して心の鎮静を図りながら神経系の大掃除をするといいですよ」

そんな‟泣きアイテム”として今回、注目したのが、感動を呼ぶ犬映画。果たして、犬映画による癒やし効果とは?

「脳は、インタラクティブ(相互作用)特性といって、自分がしたことに相手が反応することで快感を得て、活性化する傾向があります。だから、一途に慕ってくれる犬たちは愛しいし、脳を活性化してくれるわけ。また、触ったときの温かさや柔らかさなども脳に刺激をもたらし、オキシトシンなど喜びホルモンといわれるドーパミンが分泌されます。オキシトシンは親愛の情を感じるホルモンでもあり、これが分泌されることで気持ちが前向きになれます」

映像で犬を観るだけでも人は癒やされる!

確かに、犬の名前を呼んで尻尾を振ってこちらに来ればうれしいし、頭をなでて犬が喜べば幸せな気分になる。でもこれは、犬に関わった場合のこと。では、犬を飼ったことのない人が犬の映画でストレス解消や癒やし効果を期待できるのだろうか?

「‟いとおしい”という思いは基本的に誰もが持っています。犬の映像を観て‟可愛い”と思えるなら、オキシトシンは分泌され、十分に癒やしを感じられます。たとえ触ったことがないとしても脳は優秀で、その物から手触りや温もりなどを想像し、納得することができるのです」

映画館ならいざ知らず、ホームシアターなら人を気にせず泣いてもOK。
涙を流すことでもたらされる作用がわかったところで、元『ELLE』フィーチャーディレクターの松浦 泉さんに感動する犬映画4本を教えてもらった。

『名犬ラッシー』
(2005年制作)

スコットランドの大自然、コリー犬の美しさに心が洗われるよう

[あらすじ]

イギリスの炭鉱町で暮らす9歳の少年ジョーは、コリー犬ラッシーと大の仲良し。しかし、生活に困った両親がラッシーを裕福な公爵に売ってしまう。やがてラッシーは遠く離れたスコットランドへと連れて行かれてしまう。

[松浦さんレビュー]

「1943年の映画化を皮切りに、何度も映画やアニメ、テレビシリーズになっているのでストーリーを知っている人は多いと思いますが、こちらの作品はロケ地も含めて原作に忠実。とにかく主演のコリー犬が素晴らしいんです。スコットランド原産のこの犬は、美しくて、賢くて、気品があって、どの登場人物より魅力的。これが画面で堪能できるのがまずうれしい」

「時代もありますが、リードにつながれることなく自由に少年を学校に迎えに行く姿や、広大なスコットランドの大自然の中を走る姿など、のびのびと描かれている映像は、観ているだけでも心が解放されるよう。奇をてらった演出をせず、犬に演技をさせているわけではないのに、ラッシーの表情がそのときどきの心情をちゃんと伝えてくれる。泣きポイントは、公爵の家から脱走を図ったラッシーに少年が言い聞かせるシーン。そのときのラッシーの悲しい顔が、俳優顔負けの名優っぷりなんです」

「物語の後半になると、スコットランドから何百キロも離れているヨークシャーまでひたすら歩いて少年のもとへと帰っていくラッシー。その途中途中の風景が素晴らしく、ここでも心のデトックスができます」

「美しいラッシー、壮大な風景、そして最後にはハッピーエンドで子犬まで堪能できる。まさに犬映画の本懐を存分に満喫できます」

『 名犬ラッシー 』

DVD ¥3,630

発売・販売元/松竹

©2005LASSIE FILMS LIMETED/ELEMENT FILMS(LASSIE)LIMITED/DAVIS FILMS PRODUCTIONS.

『HACHI 約束の犬』
(2009年制作)

秋田犬ハチのリアルな姿は威厳すら感じられます

[あらすじ]

日本でも1987年に『ハチ公物語』として映画化された忠犬ハチの物語を、リチャード・ギアで映画化。迷子の秋田犬を拾い、ハチと名づけて飼い始めた大学教授のパーカー。ある日、パーカーは、大学の講義中に倒れ、帰らぬ人に……。

[松浦さんレビュー]

「若干のツッコミどころはありますが、ラッセ・ハルストレム監督の安定したクオリティで映画として十分に満足できる作品です。とにかく見事なのが映像描写。主人公のハチをほんわか、可愛く見せるのではなく(ハチの子犬時代は、小型犬とは違う大型犬ならではの可愛さがあり、これは悶絶モンです!)、秋田犬ならではの落ち着きがあって、威厳すら感じるその姿が圧巻。悲しみの表現も‟静かな悲しみ”なんです。こうした秋田犬としてのリアルな姿に終始しているのもいいし、変にCGで口を動かしたり、擬人化せず、犬の視線でカメラを回すことで、『あ~犬からはこう見えているのか』というのがわかったりして、犬の気持ちが映像から伝わってきます。この手法はほかにはないもの」

「何より心を動かされるのが、10年という月日の流れを自然の移り変わりで表現していること。新緑から秋の紅葉、そして冬の雪……と、アメリカ東海岸の風景が美しく、これがじっと耐え忍ぶ秋田犬によく似合う。ストーリーを知っているからこそ泣きどころもわかっているので、夜ひっそりと一人で見るのがおすすめです」

「家族の一人にだけ忠実な犬、『ワンオーナードッグ』と海外では呼ばれている秋田犬。変化が好きではなく、いつも通りが好きな人にもぴったりです」

『HACHI 約束の犬』

Blu-ray ¥5,170
DVD ¥4,180

発売・販売元/松竹

©Hachiko,LLC.

『マイ・ドッグ・スキップ』
(1999年制作)

人間関係でストレスを感じたときにきっと元気がもらえる!

[あらすじ]

同級生からいじめられ、孤独な日々を送るウィリー・モリス。そんなウィリーの9歳の誕生日に母親からプレゼントされたのが、ジャック・ラッセル・テリアの子犬「スキップ」。スキップと過ごすことで憧れの女の子と急接近したり、同級生から一目置かれる存在になれたウィリー。それがある日……。

[松浦さんレビュー]

「アメリアの作家、ウィリー・モリスの少年時代の思い出を記した全米ベストセラー小説を、ジェイ・ラッセル監督が映画化。1942年のミシシッピー州の田舎町を舞台に、ジャック・ラッセル・テリアのスキッパー(愛称がスキップ)を介して、クラスメイトのいじめっことも仲間になり、男子が憧れる女の子とも仲良くできるようになるなど、少年が少しずつ成長していく姿が描かれている物語です」

「注目すべきは、スキップの動き。ジャック・ラッセル・テリアは、狩猟犬なのでものすごく活発なうえ気も強い。運動量は大型犬並みに必要だし、犬飼いの間では、初心者には向かないと言われているまさに‟禁断の犬”なんです(とはいえ、さまざまな映画に登場しています)。そんなジャック・ラッセル・テリアが、少年の困難を救うために野球場を走り回ったり、町を縦横無尽に活躍する姿は、観ているだけで気分爽快! 現代では無理だけど『こんな飼い方がいいな』と素直にうらやましく思います。ストーリーとしては淡々と進んでいくため、号泣するタイプの作品とは違いますが、後からジワッと心に染み渡ります。人間関係に疲れたとき、元気が欲しいときにどうぞ」

『マイ・ドッグ・スキップ』

DVD ¥1,572

発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント

© 2015 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved.

『僕のワンダフル・ライフ』
(2017年制作)

オムニバス的にさまざまなタイプの犬が鑑賞できるのが魅力

[あらすじ]

飼い主の少年と再び巡り合うため生まれ変わりを繰り返す犬の奮闘を描いた物語。ゴールデン・レトリバーの子犬ベイリーは、自分の命を救ってくれた少年イーサンと固い絆で結ばれていく。やがて寿命を終えたベイリーは、イーサンにまた会いたい一心で生まれ変わりを繰り返すようになるがなかなかイーサンに遭遇できない。3度目でようやくイーサンに出会えたベイリーは、自身に与えられた使命に気づく。

[松浦さんレビュー]

「映画の宣伝コピーでは『飼い主に会う“ために”生まれ変わる』という表現がされていますが、実際に観てみると、生まれ変わるのは犬の意志ではなく、飼い主との再会は偶然だったとわかります」

「犬映画では、普通主役はひとつの犬種のみですが、この作品では転生するたびに異なる犬種に変わるため、オムニバス的にさまざまなタイプの犬をじっくり鑑賞できるのが大きな魅力。メインになるストーリーではゴールデン・レトリバー、その後ジャーマン・シェパード→コーギーと生まれ変わって、最後にセント・バーナードとオーストリアン・シェパードのミックス犬になり、ゴールデン時代の最愛の飼い主に再び出会います」

「動物タレントは起用せず、シェルターやブリーダーで犬を探してキャスティングし、撮影時にもなるべく演技を強制せずに、偶発的な行動や表情を生かしたらしく、その成果が生きています。どの犬もナチュラルで生き生きしていて、美しい。彼らを観ているだけで癒やされること間違いなし」

「犬によるナレーションでその時々の気持ちが語られるのも、この映画の特徴。個人的には動物の擬人化はあまり好きではないのですが、これは『犬の意識の流れを人間の言葉に翻訳してみました』的で許せます。その内容は、犬を飼ったことがある人なら納得できるようなことばかりで楽しいのですが、同時に、犬の幸不幸は完全に飼い主しだいなのだということがよくわかります」

「涙腺決壊ポイントはやっぱり、最後に元の飼い主が、昔二人でしていた遊びを通して『あ、これは前に飼っていたあの犬だ』と気がつく瞬間でしょうね。愛犬に死なれた人は誰もが『また会いたい、生まれ変わってきてほしい』とどうしても考えてしまうもので、こういう映画を観ると、ファンタジーとは知りつつ、やっぱり泣かされてしまいます」

『僕のワンダフル・ライフ』

Blu-ray ¥2,075 DVD ¥1,572

発売元/NBCユニバーサル・エンターテイメント

©2016 Universal Studios and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

※2021年4月の情報です。

がんばれる自分になれるために、今晩は泣いてみよう

春、フレッシュな気持ちでスタートさせるために、これまでの嫌なことや、不安なこと、苦手だと思っていることを涙と一緒に洗い流せば、明日からの笑顔がきっとチャージできるはず。さあ、今晩は感動の犬映画で思いっきり涙を流そう!

Ihoko Kurokawa | 黒川伊保子

Kansei Design Force CEO

感性リサーチ 代表取締役社長。人工知能研究者、随筆家、日本ネーミング協会理事、日本文藝家協会会員。1959年 長野県生まれ、栃木県育ち。1983年 奈良女子大学 理学部 物理学科卒。コンピューターメーカーにて、14年にわたり人工知能(AI)の研究開発に従事した後、コンサルタント会社勤務、民間の研究所を経て、2003年 (株)感性リサーチを設立、代表取締役に就任。ヒトとAIの対話研究の中で、男女の脳の使い方の違いに気づくと共に、語感が脳に及ぼす影響の数値化に成功し、感性分析の第一人者となる。近著の『妻のトリセツ』をはじめとするトリセツシリーズは累計80万部を超える。その中の一冊 『定年夫婦のトリセツ』を参考とした映画『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』が2021年5月21日全国ロードショー。
http://ihoko.com/

Izumi Matsuura | 松浦 泉

Writer

ハースト婦人画報社発刊のモード誌『ELLE』にて、フィーチャーディレクターとして20年以上にわたって年に100本以上は映画を観て、誌面に紹介。現在は、各媒体でさまざまなコラム執筆をしながら、シネマアワードの審査員も務める。犬1匹、猫2匹と暮らす動物好きで、動物もの映画は優先的にチェックしている。

Photo: LASSIE FILMS LIMETED/ELEMENT FILMS(LASSIE)LIMITED/DAVIS FILMS PRODUCTIONS, Hachiko,LLC., Warner Bros Entertainment Inc., Universal Studios and Storyteller Distribution Co., LLC., Getty Images
※本記事の掲載写真の無断転載、ダウンロードを禁じます。

Editor’s Note取材メモ

  • 軽井沢の自然で目覚めた! 松浦さんが始めた「植物画」

    現在東京をベースに、夏は軽井沢に移住するデュアルライフを送っている松浦さん。軽井沢の自然に触れ、固有の植物を目にすることが増えたことをきっかけに、高校生以来、やめていた絵をまた描いてみようと思ったそう。「この春に始めたわけではありませんが、フリーランスになって始めたのが『植物画』。もともと花は好きだったのですが、その花を描き、水彩絵の具で花の色を再現していくのがとても楽しくて。ものすごく集中し、没頭しすぎて時間が経つのを忘れてしまうほど。でも、そういう時間が取れるようになった今、とても充実した毎日を送っています」

Content Writing

Yuumi Fujii | 藤井優美

Beauty Editor

『ELLE』『Women’s Health』などの雑誌・WEBメディアでも執筆。美容系編集プロダクション「dis-moi(ディ・モア)」主宰。エステティシャンを経て、美容エディターになること25年以上。美容専門誌をはじめ、多くの女性誌で美容情報や女性のヘルス特集を手掛ける。年間、数多くの研究者、医師、美容家などの取材をこなす。