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ライフスタイル別にプロが指南! この夏、旅におすすめのクルマ選び

Reported by Yuko Matsuzaki

2021.8.17

夏のバカンスはどこに行こう? 海外旅行はいまだ難しいからと国内旅行を考えている人も多いと思うけれど、密になりそうな電車や飛行機などの公共交通機関はなるべくなら避けたい。そこで注目されているのがマイカーだ。コロナ禍で自動車に対する価値観は変わり、実際に需要も伸びてきている。ではこの夏、旅に行くならどんなクルマがおすすめなのか? マイカーがあることでどんな旅ができるのか? 女性目線の自動車選びにも定評のあるカーライフ・ジャーナリスト、まるも亜希子さんに、最近のクルマのトレンドなども聞きつつお話を伺った。

シェアから一転。やっぱりマイカーはあったほうがいい!?

「某女性誌が行った『コロナ禍になってからマイカーの購入を検討したことがありますか?』という質問で、実に8割ぐらいの女性が『はい』と答えているんです」長年、自動車業界に携わるまるもさんもこの結果は初めてだと言う。

コロナ禍前は断捨離やミニマリストなど「必要最小限のモノがあればいい」というライフスタイルからマイカーを手放し、クルマが必要ならばシェアカーを利用するという人も増えていたが、ここにきて状況は一変。シェアカーは誰が使っているかわからないから避けたいという声が聞こえてくるようになった。「とくにお子さんがいらっしゃる家庭はマイカーの必要性を実感しているようです。子供の送り迎えもそうですが、外出自粛で毎週末、家で過ごすのにも限界があります。そんなときにマイカーがあれば、レジャーシートを持って家族で公園に行くだけでも気分転換になりますから」

売れているのは「居心地のいいクルマ」、安心、安全に走れることにもつながる

そんな中、今どういうクルマが人気なのだろう。「“居心地のいいクルマ”、これに尽きます。具体的に挙げるならば、室内が適度に広くて、小さな子供がいればスライドドアで乗り降りがしやすい。あとは、SUVで雪道やちょっとしたオフロードでも快適に走れる。それは“安心感”にもつながるんです」とまるもさん。

「車庫入れが苦手な人には、真上からクルマの全方位がカメラで確認できるモニターがあるとか、踏み間違い防止装置など、安全装備がどれだけ充実しているかというのも大事になっていて、各メーカーでも安全に対する装備が重要視されています」

最近では、コンセント付きのクルマもかなり登場していて、電気ポットでお湯を沸かせたり、ドライヤーが使えるなど、車内で電化製品が使えるクルマも女性には人気があるそう。クルマから電源が取れるメリットは、災害時にも大きな役割を果たすこと。「避難所生活は密になりがちだしプライベートを保つことができませんよね。でも家電がクルマで使えるのであれば多少車内で過ごすこともできます」

これらの傾向やトレンドを考慮しつつ、「旅におすすめのクルマ選び」をテーマにファミリー、ディンクス、シングルの3タイプのライフスタイル別に、まるもさんにクルマをセレクトしてもらった。

まるもさんが選ぶ、ライフスタイル別おすすめのクルマ3台

For Family
悪路も気にせず走れるSUVでアウトドアを満喫
まるもさんおすすめ:ジープ コンパス

コロナ禍でキャンプ人気が加速していることに加え、やはり大自然の中、食事をしたり遊んだりすれば、子供たちは大満足だし、パパママも気分転換ができる。そんなファミリーにはコンパクトSUVのジープ「コンパス」がおすすめ。

「四駆専門として半世紀以上クルマを造り続けてきた信頼のあるブランドです。ジープファミリーの中でもコンパスはサイズが小さめで取り回しがしやすく、女性も運転しやすいサイズ。先日マイナーチェンジがあったのですが、乗り心地もすごく良くなり、長距離ドライブでも疲れずに快適に走れると思います」

後席は積み込む荷物に合わせてアレンジできる4:2:4分割可倒式リアシート。リアゲートはバンパーの下で足を動かすだけで開くパワーリフトゲートを採用する。
ダッシュボードの中央には10.1インチの大型タッチパネルモニターが備わる。Apple CarPlayおよびAndroid Autoに対応しているため、スマホをつなぐことで自分のスマホと同じように操作ができる。

荷室には家族4人分のキャンプ道具をしっかり積むことができ、後席を倒せばかなりフラットになるため場合によっては車中泊も可能。安全運転支援システムもトップクラスの装備が搭載され、上級グレードのリミテッドでは360度で車外が見えるサラウンドビューカメラも備えているので、キャンプ場を走り回る子供たちが死角に入ってしまうなんてことも防げる。

今回は伊豆にある「伊豆自然村キャンプフィールド」を訪れたが、傾斜のある砂利道でも車高が高いSUVなら難なくクリアでき、安心感もあった。「見た目は洗練されたデザインでけしてワイルドではないんですが、乗ると結構ワイルドなんです」とまるもさん。街にも馴染む洗練されたデザインながら、走りは頼りがいがあるタフガイ。グローブをはめたままでも操作しやすいスイッチ類などアウトドア好きには「分かってるね!」の要素がいっぱいの一台。

2.4リッター直列4気筒エンジンを搭載。「Sport(346万円)」「Longitude(385万円)」「Limited(435万円)」の3つのグレードが用意され、「Limited」のみが4WDとなる。
https://www.jeep-japan.com/

旅のSpot「伊豆自然村キャンプフィールド」

静岡県伊豆市にあるオートキャンプ場。芝生エリアと林間エリアがあり、どちらもクルマを横付けすることができる。ドッグランもある自然豊かなキャンプ場で、隣には釣り堀、近くには滝もあり、初夏にはホタル狩りも楽しめる。

http://www.camp-stage.com/

For Dinks
絶景リゾートまでドライブ、温泉で日頃の疲れをリフレッシュ
まるもさんおすすめ:マツダ マツダ3ファストバック

それぞれが仕事を持つディンクス。いまやWi-Fiさえあればどこでも仕事ができるので、郊外にもうひとつ住まいを持ち、二拠点生活を取り入れている夫婦もいるだろう。忙しい日々の中でも、日頃の疲れを取るためたまにはふたりで絶景リゾートにあるホテルへ。そんなときに選びたいのがマツダの「マツダ3ファストバック」。

「とにかく見た目が美しい」とまるもさんが絶賛するデザインは、マツダの「魂動デザイン」によるもので生命感をカタチにしている。「マツダのクルマは、人もクルマの一部としてしっかり組み込まれるよう考えて造られています。シートに座ったときに骨盤がシュッと伸びるのが分かるんですよ。骨盤が整うって女性にはうれしいですよね」。マツダ3にはセダンもあるが、今回選んだファストバックのほうが、スポーティで若々しい印象。見た目にもカッコいいということでこちらをチョイス。

座ると骨盤が無意識のうちにスッと気持ちよく伸びるこだわりのシート。インテリアはレッド、ブラック、ホワイト、チャコールと4つのカラーからコーディネートできる。

「マツダ3は、ガソリン(1.2リッターと2.0リッターの2種)、ディーゼル、マイルドハイブリッドとパワートレインを4種類から選べるんですが、箱根や伊豆などアップダウンのある山を走ることを考えるとパワーのあるディーゼルエンジンがおすすめ。マツダのディーゼルは本当に静か。ライフスタイルに合わせてエンジンを選ぶといいでしょう」

今回訪れた「伊豆ホテル リゾート&スパ」のロビーからは太平洋や伊豆諸島が一望できる。
すべての客室に露天風呂が付くため、他人との距離を保ちながらゆっくりと過ごせる。

マツダ3では静岡県東伊豆町にある「伊豆ホテル リゾート&スパ」を訪れたが、高台にあり見晴らしも絶景のこちらは、途中に山道も多い。だが、パワーのあるディーゼル車を選んだおかげでストレスなく走れた。トランクも広く、大きな旅行用バッグもすっぽり収まる。まるもさんいわく「実用性と見た目、両方を兼ね備えたクルマなのでマツダ3を選びました」

1.5リッターガソリン「15S (222万1389円〜)」、2.0リッターガソリン「20S PROACTIVE(251万5741円〜)」、ディーゼル「XD PROACTIVE(279万741円〜)」、ハイブリッド「X PROACTIVE(319万8148円〜)」の4タイプが用意される。https://www.mazda.co.jp/

旅のSpot「伊豆ホテル リゾート&スパ」

伊豆の高台に位置する全26室すべての客室に温泉露天風呂を備えるリゾートホテル。ホテル内には温泉、スパ、レストラン、カフェ、スポーツジムがあり、ゆっくり時間を過ごすことができる。水盤越しに伊豆の海を望めるアクアブリッジからの景色はとにかく必見。

https://www.izu-hotel.com/

For Single
趣味のカメラ片手に海まで、ひとり気ままなドライブ旅
まるもさんおすすめ:ルノー ルーテシア

「大人の女性がひとりで乗るのに、欲しいものがすべて詰まっているクルマ。以前は可愛い印象だったのが、2021年の2月にフルモデルチェンジされ、すごくキリッとして凛としたたたずまいになりました。フレンチデザインが強調されて、洗練されているのにどこか懐かしさもあるんです」と、まるもさんが選んでくれたのはルノーの「ルーテシア」。サイズ的にコンパクトなので取り回ししやすく、旅先で狭い道に出くわしても臆せず入っていける。

「前車追従装備をはじめとした運転支援システムも充実していますが、このルーテシア(INTENS TECH PACKのみ)にはギアをリバースに入れるとクルマを上から眺めるような360度全方位のカメラが搭載されているんです。これがあることで購入を決める女性も多いそうです」このクラスのコンパクトカーでは初搭載とのこと。たしかに同乗者がいれば駐車の際など障害物があるかどうか見てもらうこともできるが、ひとりではそれができない。そういう意味でもひとりでドライブを楽しむ女性にはありがたい装備だ。

フランス車全般に言えるそうだがシートの座り心地の良さもポイントだという。「ルノーはテストドライバーが何十日もテストするぐらい座り心地にこだわっています。どこにどのクッションを入れるか。本当に居心地のいいソファに座っているような感じで運転できるんです。マイカーは究極のプライベート空間なので、考えを整理したり、歌ったり、思いっきり泣いたりもできる。だからクルマって実は女性には必要な空間なんです。でも、半分外界とつながっているから寂しくもない」

先進の運転・駐車支援システム「ルノー イージードライブ」を搭載。コックピットがドライバー側に傾けて設計されているため、視認性が良く操作性にも優れる。

そんな癒やしのプライベート空間にもなり得るルーテシアで千葉の海まで向かった。途中気になる場所で写真を撮ったり、ふらりと寄ったカフェではカフェスタッフと談笑したり。ルーテシアは気ままなドライブ旅を実現するには程よいサイズ感。もちろん走っても楽しい。価格的にもお手頃なのでおひとりさまドライブにはぴったりなのだ。

1990年の発売以降、コンパクトカーでは高い人気を誇るルーテシア。1.3リッター直噴ターボエンジンを搭載。グレードは「ZEN(236万9000円)」「INTENS(256万9000円)」「INTENS TECH PACK(276万9000円)」の3タイプ。https://www.renault.jp/

旅のSpot「101 Beach Park Coffee Stop」

千葉県南房総市にあるコーヒーショップ。歩いて5分ほどの場所に岩井海岸があり、サーフィンや日帰り旅行などのあとに気軽に立ち寄れるようにと2020年の2月にオープン。大きな窓から光がたっぷり入る居心地の良い空間。

https://www.facebook.com/101beachparkcoffeestop

マイカーがあることで変わる、コロナ禍のオフの過ごし方

「他人との接触を避けたいコロナ禍において、『クルマ1台あれば今の悩みはけっこう解決するよね』ってことで、マイカーを購入する人は増えています。最近では自動車に搭載できるWi-Fiルーターも出てきて、ますますどこにいてもリモートワークやワーケーションができるようになりました。また、クルマならではのアクティビティとしてドライブインシアターも注目されているんですよ」とまるもさん。ちなみに今、シェアカーの代わりに伸びてきているのが月々の定額料金を支払ってクルマを借りられるサブスクリプションサービスなんだそう。いまだ密を避けたい今年の夏、お気に入りの愛車とともにバカンスに出掛けてみませんか?

Akiko Marumo | まるも亜希子

Car Life Journalist

自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」でもさまざまなカーライフ情報を発信中。6歳になるお嬢さんのお母さんでもあるため、ママ目線のリアルなリポートにも定評がある。

Photo: Takaaki Miura,Izu Hotel Resort & Spa

Editor’s Note取材メモ

  • 毎年夏は、田舎暮らしをしている父に会いに家族でドライブ

    「今でも夏に毎年必ず行くのは、父が田舎暮らしをしている長野で、八ヶ岳周辺のビーナスラインやエコーラインといった程よいワインディング、白樺湖や諏訪湖など湖を眺めながらのドライブは、そのクルマのもっとも気持ちよい性能が引き出されるようで、新たな発見もあって毎回楽しみ」と、まるもさん。去年今年とコロナ禍で中止になってはいるが、4万発を誇る諏訪湖の花火大会を家族で見るのがお約束なんだそう。「信州蕎麦や温泉を満喫するドライブは夏に欠かせないです!」

Content Writing

Yuko Matsuzaki | 松崎祐子

バイク雑誌『MOTO NAVI』を中心に、クルマや自転車雑誌も手掛ける編集部に約12年在籍。その後、国内外の二輪四輪アパレルをセレクトするショップ「Motorimoda」でPRを経験。現在はフリーランスの編集ライターとして乗り物系メディアで執筆しながら、バイク女子のための情報web「バイク女子部通信」を運営。愛車はイタリアのモーターサイクルブランド、ドゥカティ・スクランブラー。 ツーリングやドライブが大好き。