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FASHION

スニーカーで広がる、おしゃれの可能性。人気スタイリストが教える履きこなし術

Reported by Satoko Takamizawa

2021.2.15

モード誌や広告、ドラマなどで活躍しているトップスタイリスト、亘 つぐみさん。ハイヒールもたくさん持ってはいるけれど、毎日の生活ではスニーカーを履くことがほとんどだとか。ハイブランドを知っているからこそできる心地よいスニーカーコーディネイトは、リモートワークが続く現代の装いにヒントを与えてくれそう。春はもうすぐ、足元から衣替えを。スニーカーから考える、カジュアルでスタイリッシュな着こなしとは。

ストリート寄りが、トレンドの中心に

所有しているスニーカーは50足にものぼり、毎日のように履いているという亘さん。ハイファッションも楽しみつつ、足元はカジュアルにスニーカーを履くのが基本になっている。

「今はハイブランドもみんなスニーカーを出していますし、ハイファッションがどんどんストリートに寄っていますよね。それに、長時間のロケに出たりスタジオで歩き回ったりというシーンも多いので、履きやすくて疲れにくいスニーカーはやはりいいなと思って。スニーカー好きな夫の影響もあり、買っているうちに増えたんです」

そんな亘さんが選ぶのは、スニーカーブランドのものがほとんど。ナイキやヴァンズ、ホカなどを中心に、シンプルなモノトーンがずらり。エレガントな装いも好きだけれど、スニーカーを履くようになってカジュアルな服の幅が広がったと語る。

定番のヴァンズはすっきりしたフォルムで、パンツスタイルに合わせることが多いとか。
プレミアムランニングシューズブランドのホカ オネオネ。歩きやすさを追求した厚めソールだから、ハイヒール派がトライするのにおすすめだそう。

まずは履いて出かける。基本は慣れ!

亘さんのスニーカースタイルの基本は、デニムとハイブランドのミックス。あえてメンズを着ることも多く、肩肘張らないこなれた装いはなんとも格好いい。

「スカートやワンピースに合わせてもいいのだけれど、私はデニムに合わせることが多いですね。おしゃれに見えるよう、上はハイブランドを選んだり、オーバーストールやアクセサリーでコーディネイトしたり。ちょっといいバッグを合わせたりするのもエレガントですよ」

ナイキとサカイのコラボスニーカーは、最近のお気に入り。マルタンマルジェラのメンズカーディガンをざっくりと羽織り、イザベルマランのネックレスやメゾンドサブレのバッグをアクセントに。「スニーカーのサイズは、気持ち大きめのほうが格好よく見えます。オーバーサイズのカーディガンやブルゾンを合わせるとしゃれた感じに」

エレガント派なら、まずは厚底から

こうやっておしゃれなスニーカースタイルを見ると素敵だけれど、履きなれない大人の女性にとって、自分でコーディネイトするのはなかなか難しいもの。そんな迷いに「まずは履いて出かけること!」と亘さんはきっぱり。

「ヒールの靴をよく履く方なら、まずは底が厚いものを選んでみて。目線が上がるし小さくまとまらないので、きっと満足できるはず。それに、スニーカーはレザーの靴よりもはるかにリーズナブルだから、仮に買って失敗してもダメージは小さいし(笑)、気軽に何足かそろえて試せますよね。たくさん履いているうちに、スニーカーのスタイルがしっくりなじんでくるはず」

一時は白ばかり履いていたけれど、最近はシンプルな黒がマイブームだという亘さん。こちらのナイキのエアマックスのように、部分的にエナメル素材を取り入れたものはカジュアルな中にもクールさが漂う。こちらはストリートブランドがそろうセレクトショップ「DAYZ」で購入したもの。

着こなしに差がつく、ディテールの工夫

続いて亘さんが披露してくれたのは、「最近凝ってる」というセットアップのコーディネイト。ともすれば部屋着っぽくなってしまう難易度の高い組み合わせに感じられるけれど、ちょっとした着こなしでアウターとして成立するから面白い。

セットアップに合わせたスニーカーは、レアなナイキのエアジョーダン。パテントとのコンビなので、ただのカジュアルに終わらない洒脱さが。

「ヤンキーに見えないギリギリの線ですよね」と亘さんが笑いながら着てくれたのはシュプリームのセットアップ。合わせるインナーひとつで見え方が変わってくるのも、カジュアルスタイルの醍醐味。

「たとえば首の紐をちょっと締めると、襟元が立ち上がってくる。また、中にタートルやハイネックを入れるだけで、部屋着ではなくアウターっぽくなりますよね。中に色を入れても可愛いんですよ」

履きやすくて、足が疲れにくい。
それがやっぱりスニーカーの醍醐味

長時間の立ち仕事も多いスタイリストの仕事では、疲れにくさもスニーカーを選ぶポイントに。寒い冬の日などはボアの中敷きを使うこともあるそうだけれど、NABOSOのインソールは「医学的見地から、日常の足元を支えてくれるのがいいですね。足裏が適度に刺激されて、とても気持ちがいい」

「通常の中敷きに比べてとても薄く、入れても靴のサイズ感が変わらない点がいいですね」。履き心地はもちろん、絶妙なスタイリング目線でものを見極めるのも亘さんならでは。毎日、取り入れたいスニーカーコーデだからこそ、見た目、履き心地の両方の視点から、お気に入りの一足を見つけたい。

NABOSOのインソール。アメリカの足病医と動物学の専門家であるエミリー・スプリチャル博士によって開発され、足裏の神経を特有の材質で刺激するように設計。体のバランス改善や歩行パターン、足首の固有感覚のパフォーマンスの向上によい影響をあたえる。

Tsugumi Watari | 亘 つぐみ

Stylist

東京生まれ。シンプルで女性らしく、エレガントでセクシーなスタイリングに定評。『VOGUE』『ELLE』などの雑誌、写真集、広告やCM、映画・ドラマ、ビジュアル制作、ディレクション、ファッションショー、ブランドプロデュースなどその活動分野は多岐にわたる。著書『女らしさはけせない』では女性らしく輝き続ける方法を伝授。2021年春には自身がディレクションするボディウェアブランド「TW」がデビュー。
https://www.instagram.com/tsugumiw/
https://www.youtube.com/channel/UCkaYEPwX0EXEmxpDEQSRQuw

Photo: Rintaro Ishige

Editor’s Note取材メモ

  • いつもアクティブな秘訣は、朝の深呼吸とレモンウォーター

    撮影が早朝から深夜まで続いたり、何十というコーディネイトを考えたり……。多忙を極める亘さんだけれど、いつお会いしてもポジティブなオーラにあふれている。その理由は、日常に取り入れているちょっとしたリセット術にあるよう。「1日1回、空に向かって深呼吸します。集中して気が高ぶっていると呼吸が浅くなるので、出かけるときにほんの数回ですが、深く呼吸をする。キレイな空気を取り込むことで、気持ちがすっと落ち着くように思います」。また、体内がアルカリ性のほうがよいと聞いてから、ここ3年ほどレモンウォーターを飲むのも日課に。心も体もすっきり整える習慣、見習いたい!

Content Writing

Satoko Takamizawa | 高見沢里子

Beauty Editor

美容エディター。『25ans』『VOGUE JAPAN』編集を経てフリーランスに。『ELLE』『Harper's BAZAAR』などのWEB・雑誌記事の構成・執筆のほか、広告や書籍の編集も多く手掛ける。自身も敏感肌でアレルギーがあるため、「強い肌ほど美しい」をポリシーに、健康に裏打ちされたビューティを目指して日々切磋琢磨している。