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FOOD

ワインで楽しむ夏アペロ。暑い季節におすすめのワインとおつまみレシピ

Reported by Miki Numata

2021.8.17

いよいよ夏本番。蒸し暑い日は、すっきり美味しいワインでちょっとおしゃれに「アペロ」はいかが? 夏におすすめのワインと、家で作れるおつまみのレシピを、ワイン好きで知られる料理家、平野由希子さんに教えていただく。「暑い季節でも、やっぱりワインは欠かせません」という平野さんが、家飲みにぴったりな4本をセレクト。それぞれに合わせて作る、簡単でおしゃれなおつまみと合わせてご紹介する。

夏の料理には夏のワインを選ぶのが正解

ワインをこよなく愛する平野さんは、四季を問わず、毎日のようにワインを楽しむ生活を送っている。「その日の気候や気分、料理に合わせてワインを選ぶのは、この上ない幸せ。暑い日だって、私はもちろんワインです」。ビールやハイボール、レモンサワーも美味しいけれど、料理と合わせるなら、やっぱりワインが一番なのだそう。「ワインは料理と合わせることで味わいがより深く感じられるし、料理もワインがあることで何倍も美味しくなります」。夏には夏の食材があるように、夏にこそ飲みたいワインもある。では、平野さんおすすめのワインって?

白、ロゼ、赤、そしてオレンジ。4色のワインが夏を彩る

今回選んでくれたのは4本のワイン。「白は微発泡でシュワっとすっきり。ロゼは、最近の夏の定番ですから外せませんね」。他に、ガメイ種の赤ワインと、ここ数年世界的なトレンドになっているオレンジワイン。それぞれの個性で、夏を美味しく彩ってくれるワインたちだ。「どれも、夏に冷やして飲むと美味しいものばかりです」

左から
白:Roncaie sui lieviti (Menti)/イタリア
オレンジ:Weiser Mulatschak (Meinklang)/オーストリア
ロゼ:José (Yannick Pelletier)/フランス
赤:Beaujolais Village Tentation (Jean-Claude Lapalu)/フランス

シュワシュワ白に、爽やかなグリーンのサラダを

夏の白に選んだのは、「Roncaie sui lieviti(ロンカイエ・スイ・リエーヴィティ)」。イタリア、ヴェネト州産のナチュラルワインだ。「フリッツァンテ(微発泡)で、やさしい泡感が夏にぴったり。レモンやハーブのニュアンスもあって、飲み疲れしないのでごくごく飲めます」と、平野さん。果実味があり、酸味がシャープなワインのピュアな味わいには、夏野菜のズッキーニを生で使ったサラダを。「モッツァレラとメロンを合わせ、ワインの香りに寄り添うように、ディルとレモンの皮を散らします」

火を使わないおつまみは、夏にうれしい一品。「あっという間にできるので、ワインを開けて、飲みながら作っても楽しいですよね」。暑い日の夕方に、キンキンに冷やしたフリッツァンテと青い香りの冷たいサラダ。最高のアペロタイムが過ごせそうだ。

メロンとズッキーニのサラダ

切ってあえるだけの簡単サラダで、「思い立ったらすぐおつまみ!」。ワイン好きにはうれしいレシピだ。メロンの甘い香りとモッツァレラのミルキーな味わいがぴったり。「ズッキーニを生で食べられるって、意外とご存じない方も多いようですが、旬の夏は、軽く塩もみするだけで十分に美味しいです」

○材料(2〜3人分)

メロン 1/4個
ズッキーニ 1/3本
モッツァレラチーズ 1個
ディル、レモンの皮(すりおろす) 各適量

【A】
オリーブオイル 大さじ1
レモン汁 大さじ1/2
塩 少々

○作り方

メロンは一口大に切る。種のまわりのとろりとした部分は、ボウルにストレーナーをのせたものに入れて漉し、汁をとっておく。

ズッキーニは小さめの乱切りにして、塩少々をふって軽くもむ。

モッツァレラチーズは手で適当な大きさにちぎる。

①、②、③を盛り合わせ、①のメロン汁と 【A】を回しかけ、レモンの皮とディルを散らす。

エスニック料理には、「ロゼ・オン・ザ・ロック」

「夏にロゼを飲むのは、フランスではもはや定番。暑いときには氷を入れたりしてカジュアルに楽しんでいます」。南仏ラングドック産のロゼ「José(ホセ)」は、さくらんぼやいちごのコンポートのような果実の香りがあり、華やかな雰囲気のワイン。「ロックにすると、引き締まった印象になって飲みやすくなります」。ロゼには、エスニックな料理がよく合うとか。今回は、海老を豚肉で巻いて、ナンプラーで味付けをしたおつまみを合わせてくれた。「豚肉の適度な脂がまた、ワインを誘うんです」

色が美しいロゼは、カットを施したグラスに入れるとよりエレガント。平野さんのダイニングには、いろいろな形のグラスが並んでいた。ワインは、グラスによって味わいや香りももちろん変わるが、グラスのカットや形によって、注いだときの景色も随分違って見える。目でワインを楽しむのもまた素敵なものだ。お気に入りのグラスに入れた美しいワインは、みているだけでも気分が上がりそう。

海老の豚巻きソテー 
ナンプラー風味

海老に豚肉を巻いて焼く、間違いなく美味しい組み合わせ。塩、こしょうだけでも十分に美味しいが、今回はロゼに合わせるので、ナンプラーと香菜でエスニックに。「ナンプラーの独特の香りがまた、ロゼに合うんです」。夏飲みに最高のマリアージュだ。

○材料(2人分)

海老 8尾
豚バラ(薄切り) 8枚
塩、こしょう、片栗粉 各適量
香菜、レモン 各適量

【A】
酒、みりん、ナンプラー 各大さじ1
砂糖 小さじ1
オリーブオイル 適量

○作り方

海老は殻をむき、背側に浅く切り目を入れて背ワタを除いてから塩と片栗粉各少々でもんで流水で洗う。背側に浅く切り目を入れて背ワタを除き、水気を拭く。

豚肉に塩、こしょうをふり、手前に、海老を尾が肉から出るようにのせてクルクルと巻く。巻き終わったら軽く手で握って形を整え、片栗粉を薄くまぶす。

フライパンにオリーブオイル少々を熱し、②を並べて中火で焼く。焼き色がついたら返して同様に焼く。【A】を加えて煮からめる。

器に盛り、香菜のざく切りとレモンを添える。

夏の赤は、ガメイで決まり!

「暑いときは、赤ワインだって冷やして飲みたいでしょう?」と、平野さん。赤ワインは室温で、とは言うけれど、ワインによっては少し冷やしたほうが美味しいものもある。「ガメイという品種のぶどうで造るワインは、いわば『薄旨系』の赤。軽やかな味わいなので、冷やしても美味しく、夏にはおすすめです」と、フランス、ボージョレ地方の「Beaujolais Villages La Tentation(ボージョレ・ヴィラージュ・ラ・タンタシオン)」を紹介してくれた。開ける少し前まで冷蔵庫などで冷やしておいて、冷たいままキュッと飲んだら、酸味が心地よく爽やか。「濃いワインがどうしても飲みたければ、少し氷を入れても楽しいです」。ワインは自由。夏の赤は冷やして飲む、これ、新常識!

平野さんといえば「ル・クルーゼ」というくらい、「ル・クルーゼ」を使った数多くのレシピを紹介している。ご自宅には、まるでギャラリーのようにいろいろな大きさの鍋がずらりと並ぶ。フランスでは親子3代にわたって受け継がれることもあるという鍋は、「好きなもの、いいものを長く大事に使う」という平野さんのライフスタイルに寄り添うようだ。そして、この鍋からもきっと、ワインに合うおつまみがたくさん生み出されているはず!

なすのバルサミコマリネ

夏野菜をワインのおつまみにするのに一役買うのが、バルサミコ酢。ぶどう由来の調味料がワインと料理の間を取り持ってくれる。今回は、なすをバルサミコでマリネに。「パプリカを入れると、よりガメイとの相性が良くなります」。揚げるのが大変なら、多めの油で揚げ焼きにしてもOK。

○材料(2〜3人分)

なす 3本
パプリカ 1個
さやいんげん 80g
バジル 適量
揚げ油 適量

【A】
オリーブオイル 大さじ3
バルサミコ酢 大さじ3
にんにく(薄切りにする)1個
塩 小さじ1/2
こしょう 少々

○作り方

なすは乱切りに、パプリカは1センチ幅に切って、さやいんげんはヘタを切って半分に切る。

揚げ油を170〜180℃に熱し、なすを入れて薄く色づく程度に揚げる。パプリカ、いんげんは2分を目安に素揚げし、油を切る。

【A】を混ぜ合わせて②を漬け込む。1〜2時間おいたくらいが食べ頃。

ワイン好きの間で人気の、オレンジワイン

ワインラヴァーの間で人気上昇中なのが、オレンジワイン。「オレンジ」と付くものの、もちろんオレンジの果実を使っているわけではなく、白ぶどうを使って赤ワインのように造ったものだ。「造り手や造り方によって味わいはさまざまです。クセの強いものもあれば、白ワインのように軽やかなものも」。今回選んでくれたのは、オーストリアのナチュラルワイン「Weiser Mulatschak(ヴァイサー・ムラチャック)」。美しいオレンジ色のやさしい微発泡ワインだ。「オーストリアのオレンジワインは濃すぎずすっきりした味わい。さらりとしたなかにうま味があります」。飲み進むうちに温度が上がると、香りや味が変化する。ゆっくり楽しみたいワインだ。

トマトの冷たい煮浸し

「オレンジワインは、日本の出汁によく合うんですよ」と、平野さんが用意してくれたのは、トマトの煮浸しだ。「昆布出汁の味にトマトの酸味とうま味が重なって、それがオレンジワインにぴったり」。和食の繊細な味わいと、上品なオレンジワインのマリアージュ。これは、試してみる価値あり!

○材料(4人分)

トマト 4個
みょうが 2個
オクラ 2本

【A】
昆布だし 3カップ
みりん 大さじ1と1/2
しょうゆ 小さじ1
塩 小さじ2/3

○作り方

トマトは湯むきする。オクラは塩でもんで産毛を洗い流し、ガクとヘタを取る。

鍋に【A】を温め、①のトマトを入れてひと煮立ちさせる。

みょうがは縦半分に切る。オクラはさっと塩でゆでてから冷水に取る。。

②に③を加え、冷蔵庫で2時間以上寝かせる。

ワイン愛好家の料理家、平野由希子さんが教えてくれた夏ワインの楽しみ方。ひとつでも実践できたら、ワインの世界が広がりそうだ。美味しいワインを、ぜひ夏の宵のお供に!

Yukiko Hirano | 平野由希子

料理家。日本ソムリエ協会認定ソムリエ。2015年フランス農事功労章シュヴァリエ叙勲。フランス料理をベースに、和の食材を使った簡単でおしゃれなレシピやワインに合うおつまみなどを幅広く紹介。雑誌、書籍、ウェブメディア、広告などでのレシピ制作のほか、商品開発や飲食店のプロデュースも手がける。最近は、一緒に住み始めた愛猫、クミンとの生活を綴ったインスタグラムも話題に。『ソムリエ料理家の ワインを飲む日のレシピ帖』『ずっと使ってきた私のベストレシピ 平野由希子のル・クルーゼ料理』(共にKADOKAWA)など、著書多数。

Photo: Tetsuo Kitagawa
Recipe: Yukiko Hirano

Editor’s Note取材メモ

  • 夏休みは、昼飲み解禁!?

    友人たちと集まってワインを飲むのは、平野さんにとっては日常。「夏休みは明るいうちからお気に入りのワインを開けて、ゆっくり時間をかけて楽しみます」。気付くと空き瓶がゴロゴロ、なんてことも。「最近では、両親が夏の間暮らしている岩手に行くこともちょくちょく。夏野菜でいろんな料理を作って、東北のワインと一緒にいただくのも、夏休みの楽しみのひとつ」

Content Writing

Miki Numata | 沼田美樹

Editor&Writer

広告制作会社、アートギャラリー、出版社で勤務した後、フランスの美術センターにてキュレーターのインターンを経験。帰国後、美術雑誌、インテリア雑誌、グルメ雑誌、グルメサイトの編集を経て独立。食とライフスタイルを中心に編集、執筆を行う。趣味はお菓子作りとトイレのサインコレクション。