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「ダウンタイムの少ない美容医療」の真実。現場の医師に聞いたウソ、ホント

Reported by Madoka Natsume

2022.8.16

空前の「美容医療ブーム」が到来している。ここ数年で極端に人と会うことが少なくなり、マスクが日常となった今こそチャンス! というのは確かにうなずける。初心者にとって気になるのは、治療の内容もさることながら、ダウンタイムの日数や起こりえる副作用などリスク面もクリアにしたい。そこで、現場の医師からダウンタイムの少ない美容医療の真実、さらには治療を受ける際の注意点などを具体的に伺った。

マスク生活で希望者が急増! 
美容医療の最前線を
現役医師に聞く

マスクの恩恵⁈ 
美容医療が注目される理由

人と直接会う機会がめっきり少なくなり、外出するときは常にマスク。他人に顔をさらす機会がグッと減った今、注目されているのが美容医療だ。言わば、“施術する絶好のチャンス”が到来している。目黒げんクリニック院長の形成外科医・市原佑紀先生に話を聞いた。

「確かに患者さんは増えていますね。理由はいくつかあり、ひとつ目は、渡韓が難しい状況下にあるので、日本で美容医療を受ける人が増えたこと。ふたつ目は、ウェブ会議などで自身の動いている表情をまじまじと見て、驚愕したという人が多かったことです。鏡を見るとき、人は口を動かしたり、笑ったりしていませんが、画面ごしでは口角の左右差や頬のこわばりなど、今まで知らなかった自分を見て驚いた方が多いです。そして、三つ目がSNSによる情報発信です。美容医療を行った方のいわゆる“映え写真”を見ているうちに、興味がわいてくる方も多いですね」

初体験の美容医療は、『ダウンタイム』があるか、ないかで選ぶ傾向に

美容医療を初めて受ける人にとって、術後のダウンタイムがあるかないかはかなり大きな関心ごと。市原先生のクリニックでもよく質問されるトピックのひとつだそう。

「ダウンタイムについては、受ける内容によって異なるので一概には言えません。ただ、患者さんと話していると、『なるべくダウンタイムが少ないほうがいい』という方と、『マスクをしているから、多少ダウンタイムがあっても気にしない』という方に二極化しています。どちらの意見もわかりますから、よくお話をしてから治療の方向性を決めています」

医師が考える『ダウンタイム』の定義

治療によってもダウンタイムの時間は異なるとはいえ、私たちが考える時間と医師が考える時間には微妙なズレがありそうだ。そこで、市原先生にダウンタイムの定義を解説してもらおう。

「ダウンタイムについてはいろんな意味で個人差が出るものと前提した上での定義としています。要するに、『自信を持って人前に出られるようになるまでの時間』がダウンタイム。例えば、コンシーラーで隠れる程度の内出血であればOKならばダウンタイムとは考えない方もいます。私は、患者さんとお話しするときに『急がれていますか?』とまずお伺いします。ある患者さんで『人に絶対バレたくないので、明日どうこうではなく、半年、1年かけてゆっくり治療したい』という意見もありますから。治療のスピード感によってダウンタイムの時間は変わってきます。それともうひとつ、美容医療は魔法ではありません。『1回すれば、いつまでもちますか?』とよく聞かれますが、今がいちばん若いわけですから時間の経過とともにエイジングは進みます。美容医療に“もつ”という定義はありません」

市原先生によるダウンタイムの定義

  • 1. 自分にとって人前に出られない、完成形ではない状態。
  • 2. 筋肉のひきつれやこわばりなどがある。
  • 3. コンシーラーで隠せない内出血がある。

美容医療を受ける際に知っておくべきこと

  • 1. いくつかのクリニックでカウンセリングを受け、信頼できる、相性のいい医師を見つける。
  • 2. 悩みの原因をきちんと探り、それに適した治療を行うこと。
  • 3. 美容医療は魔法ではない。

「ダウンタイムの少ない美容医療」を目的別に紹介

注入系治療は、ダウンタイムが比較的少ない

<アンチエイジングのメニュー>

□ヒアルロン酸注入
施術内容:もともと体内にある物質「ヒアルロン酸」を深いシワや小ジワ、ほうれい線などボリュームが足りない部位に注入する。
ダウンタイム:約2~3日程度。目周り、額の場合は1週間ほど
ダウンタイムの症状:腫れ、赤み、内出血、むくみ、しこり

□ボトックス
施術内容:ボツリヌス毒素精製剤の一種の薬剤を使用し、シワやたるみなど気になる部位に直接注射する。筋肉の動きをゆるめ、徐々に余計な筋肉を落とす。
ダウンタイム:1〜3週間(内出血という意味)
ダウンタイムの症状:赤み、つっぱり感、内出血、ボコ付き

人気のハイフは、効果が高くダウンタイムも少ない

<シワ・たるみのメニュー>

□ウルトラセルQプラス
施術内容:高密度焦点式超音波(HIFU)を用いて、皮膚層、脂肪層、SMAS(筋膜)に熱影響を与えることでシワ・たるみケア、脂肪溶解をする。
ダウンタイム:ほとんどない
ダウンタイムの症状:赤み、腫れ、かゆみ ※いずれも稀に起こる。

□ピコレーザー
施術内容:ピコ秒(1兆分の1秒)単位での短いレーザーを当てることで、シミなどの原因となるメラニン色素を破壊する。
ダウンタイム:1~7日間
ダウンタイムの症状:赤み、むくみ、かさぶた、ニキビ、丘疹など

ダウンタイムも少なく、術後当日のメイクもOK!

<毛穴のメニュー>

□ポテンツァ
施術内容:チップに取り付けられたニードルの先からRF(ラジオ波・高周波)を照射し、真皮層に直接エネルギーを与えて、コラーゲン生成やタンパク質変性、組織変性を起こすことでリフトアップ、引き締め効果などが得られる。
ダウンタイム:3~7日間
ダウンタイムの症状:赤み、がさつき、内出血など

□マッサージピール
施術内容:専用のピーリング薬剤を押し込むようにマッサージしながら浸透させ、線維芽細胞を活性化。肌にハリや弾力をもたらしていく治療。
ダウンタイム:1日
ダウンタイムの症状:刺激、赤み、皮むけ ※ほとんど稀

ホームケアを行うことで、
美容医療のパフォーマンスがアップ

上記の施術は市原先生のクリニックで行う一部のメニュー。美容医療初心者に受けやすいメニューではあるが、自分の悩みやゴールに合った治療を医師と相談した上で決めよう。そして、もうひとつ大切なのがホームケアだそう。

「さきほどもお話ししたように、美容医療は魔法ではありません。前提として日々丁寧なホームケアをすることで、健やかな肌コンディションが保たれます。信頼できる、効果の高い化粧品を使うことで、より美容医療のパフォーマンスが上がります」

以前、取材でヒアルロン酸とボトックスを注入してもらった経験があるので、効果は肌で感じている。市原先生いわく、「人気の治療が自分に合うとは限らない」。確かに、友人に効果があったからといって、自分もそうなるワケではない。自分の悩み、肌質、理想を見定めた上で医師とよくよく相談するのが得策。さらに言えば、それはひとりの医師ではなく、複数の医師にカウンセリングを受けた上で決めることが大切だ。美容医療を成功させるには、医師との信頼関係があってこそ。そして、急いで結果を求めるよりも、数カ月、あるいは半年間など、ある程度の期間・ゆとりをもったほうが自分には合っていると思った。

YUKI ICHIHARA | 市原佑紀

目黒げんクリニック院長

形成外科医。大阪医科薬科大学医学部卒業。同大学病院、筑波大学にて形成外科、加藤クリニック麻布勤務ののち、2021年目黒げんクリニックを開設。アンチエイジングを中心に、自然な美しさを実現する美容医療を提供している。SNSでの情報発信を通じて、リアルな声を届けている。
@yuki_i_38 @meguro.gen.clinic

Photo: Chika Okazumi

Content Writing

Madoka Natsume | 夏目円

Beatuy Editor/Writer

大学卒業後、出版社で編集者を務めたのちに独立。20年間以上の間で3000件以上の取材・執筆を行う。美容を専門分野とし、20代から60代と幅広い年齢層の執筆・企画を行うほか、化粧品のコンセプト立案、コピー制作など幅広く行う。ヘアメイク、スキンケア、ダイエット、アロマ、フレグランス、ボディケア、ヘルスケアと幅広いジャンルに精通。2009年より『オールアバウト』にてスキンケアガイドを担当。時間のある週末は、『ひとり映画鑑賞会』と題して、カフェオレを片手にミニシアターで映画を観るのが楽しみ。