WELLNESS
笑顔美人は、口もと美人! 美しい「歯・舌・唇」をつくる正しいオーラルケア
Reported by Yuumi Fujii(dis-moi)
2022.2.17
想像以上にその人の印象を大きく左右するのに、二の次になりがちな口もと。そろった歯並び、白い歯、口角がキュッと上がった口もとは、それだけで好感度がアップするもの。さらに、口もとに自信が持てると、思いっきり笑えるようになり、最高の笑顔がつくれるように。そこで、「さとこ先生」の愛称で、女優やモデル、タレント、フリーアナウンサーなど、美しい笑顔が欠かせない人たちが、こぞって頼りにするデンタルクリニック「ホワイトホワイト」の院長であり、口もと美容スペシャリストの石井さとこ先生に、正しいオーラルケアの方法、さらに美しい口もとのつくり方をご指南いただいた。
美容も健康も美人印象までも、実は口もとが握っていた
「男女を問わず、人の第一印象を決めるのは“見た目が9割”だと言われています。中でも『清潔感がある』『だらしない感じがする』といった印象は、口もとが大きく影響しているのです」
と、教えてくれたさとこ先生。確かに、マスク生活が当たり前となっている今、「顔の印象がネガティブになるから」と、マスクを外すことに抵抗を感じる人も多いよう。だからといって、口もとを隠したまま何も手を打たないでいたら、いつまで経っても笑顔に自信が持てないまま。逆にマスクをする機会が多い今こそ、オーラルケアに力を入れるときかもしれない。ただ、一般的に日本人は欧米人に比べ、オーラルケアの意識が低いと言われがちだ。
「実はオーラルケアも二極化している印象です。今はSNSが発達していることもあり、ご自身で情報を集め、自撮りすることで客観視して細かいところまで気にしてケアをする人も増えてきました。とはいえ、虫歯治療以外でデンタルクリニックに通う人はまだ一般的ではないかもしれません。
そもそも美しい口もとでマストなのが“清潔感”。しかし、年齢を重ねると残念ながら歯の色や歯茎、唇の色が悪くなり、口もとに生活感が出るようになります。さらに、口もとの不調は、体や心の不調の原因につながり、自分自身にも、笑顔にも自信が持てなくなってしまいます。だからこそ、口もとへの意識を変えることが大切なのです」
ネイルやヘアを気にする前に。まずケアするのは“口もと”
自分の印象を良くするために、メイクやファッション、ヘアスタイルには気をつかう人は多いけれど、口もとのケアは後回しにしがちだ。
「口もとの印象を良くすることは、その人の人生を大きく変えることにつながっていくと、私は常々思っています。現に、歯の色をきれいにし、噛み合わせを治療して売れっ子になった俳優さんやタレントさんを数多く見てきました。
歯を白く、歯並びを美しくすることで、口もとはもちろん、顔全体が引き上がり、若々しく明るい印象に変わります。
また、口もとを意識していると、舌や唇の荒れ、歯茎の出血などで、体の不調やエイジングサインをキャッチでき、早期に対応できるようになります」
では、美しい口もととは、どのような状態を指すのだろうか?
美しい口もとをつくるのに大切なこと
「美しい口もと=白い歯を連想しがちです、歯だけではなく、舌や唇など口もと全体の美しさを考えてケアを行うことが大切です」
- □ 健康的な口内環境であること健康な口とは、歯が黄ばんでおらず、歯並びが整っていて、歯茎がピンク色であること。そして注意したいのが舌の位置。口を閉じたときに上あごに収められていて、舌の先が前歯の裏側にきちんと収納されている状態がスタンダードポジション。この位置に収まっていると、口呼吸や口臭といった不調も出にくくなる。
- □ 唾液がしっかり出る口内に唾液には、歯の再石灰化効果や、美肌に導く酵素が含まれている。さらに、唾液は口内環境を整えたり、感染症リスクを抑える効果も。加齢やストレスでも唾液分泌量は減少しがちだけれども、昨今はリモートワークが増え、会話が減ったり、マスクで口もとを動かさない、噛まない食事などで、若くても唾液の分泌量が減っている人が増加中。
- □ 自然な笑顔がつくれる表情筋は意識しないと下がっていく一方。しかも、マスクで隠れているからと、口もとを意識していないと、口角が下がり、たるみなどエイジングサインもどんどん進行。マスクをしていても、1日1回は空を見上げ、笑顔をつくることを意識しよう。笑顔になることで、脳が楽しいと錯覚し、ハッピーホルモンも分泌されて幸せ気分に。
歯ブラシで落とせる汚れは5割。ツールを活用するのが正解
「毎日歯を磨いていても、それだけではオーラルケアは不十分。普通に歯ブラシで落とせる汚れは5~6割。フロスや歯間ブラシなど、オーラルツールは必須です。口の中は自分でも見られるので、鏡や拡大鏡を使い、歯の汚れや虫歯のチェックは定期的に行ってください。
特に夜は、寝ている間に口内の唾液が50%に減り、起きたときには便10gと同じ菌が口の中にある状態になっています。だからこそ、その日の汚れはきちんと落とす必要があるのです」
“さとこ先生おすすめ”のオーラルツール
正しい歯磨きのポイント
「歯磨きは長ければいいというわけではなく、朝は2~3分、夜は10分を目安に行ってください。また汚れを落とすには、歯ブラシ前にぬるま湯での“口ゆすぎ”を習慣に。20mlくらいのひと肌程度のぬるま湯を口に含み、30秒くらいかけて口の中のあらゆる方向に行きわたるようにゆすぐと、口の中の大きな汚れが落とせ、その後の歯磨きもスムーズに行えます」
□歯磨きの強さは?
歯ブラシを鉛筆持ちし、45度の角度で甘皮に当ててこすっても痛くない程度の力加減が理想。
□歯の表面から歯茎部分を磨く
「利き手逆側の上の歯からスタートする」など、自分で歯を磨く順番を決め、歯ブラシを垂直に当てて歯の表面を1本ずつ丁寧に磨いていく。次に、歯ブラシを斜め45度に当てて歯茎部分を優しく磨いていく。
□歯の裏側は歯ブラシのエッジを使って
奥歯や歯の裏側は、歯ブラシのエッジやかかとを使い、しっかりと歯に当たるのを確認しながら磨く。
□フロスの使い方
フロスのケースを手に持ち、肘あたりまでの長さ(約40センチ)を引き出す。フロスの両端を指に絡めて15センチほどの幅にし、歯間にスッと通して両側の歯に沿わせるようにフロスを動かしてから抜く。歯茎を傷つけないように注意して。
□歯間ブラシは歯肉部分に1回通す
歯と歯の間の歯肉により近い三角地帯のような隙間は、食べカスや汚れが滞留しやすい部分。夜の歯磨きタイムに、この部分に歯間ブラシをスッと1回ずつ通して。
憧れはきれいな笑顔。審美歯科でかなう美しい歯とは?
審美歯科というと、「時間やお金がかかる」「自分には関係ない」と思われがちだけれど、「毎日のオーラルケアはもちろんですが、歯の色や歯並びなど美しい口もとは、審美歯科でかなえることができます。とはいえ、医療としての治療がしっかりしていないとダメ。健康的な歯があっての審美治療だと心がけて」
歯のホワイトニングで肌の色まで明るく見える!
「『ホワイトホワイト』が行っている審美治療の1つであるホワイトニングは、歯を削らずに、専用の薬剤などを使って歯のエナメル質部分の着色を分解して白くします。ほぼ痛みもありません。歯のくすみや黄ばみは、口もとの印象を暗く見せてしまいますからね。ホワイトニングをすると口もとが清潔に見えるだけでなく、笑顔に自信が持てるようになります。さらに、虫歯予防の効果もあるのでまさに一石二鳥です」
気になる歯並びを部分的に治すマウスピース矯正
「矯正というと、『目立つ』『長期治療』のイメージが先行しがち。しかし、受け口や出っ歯以外で、前歯の隙間が気になるなど、ちょっとした歯並びを治すのなら、ワイヤーをつけず、いつでも取り外しができる透明なマウスピースを装着する矯正がおすすめです。
アメリカの『インビザライン』でご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、当院では、国産である『アソアライナー』を採用しています。
口腔内の精密検査後、マウスピースを作成し、1日15時間以上装着して少しずつ歯を動かしていきます。1ステップにかかる期間は約1か月。その期間中ソフトタイプ、ミディアムタイプ、ハードタイプのマウスピースを使って歯を動かしていきます。歯が動くたびにマウスピースをつくり直し、10~15ステップで治療が完了するケースがほとんどです」
“顔トレ”で、もっと笑顔が素敵になる!
「美しい口もとを手に入れるには、オーラルケアだけでなく、美しい笑顔がつくれるように顔トレをしてみてください。笑顔のポイントは“口輪筋”。ここを意識して動かすことで唾液の分泌も増えますし、唇の色も良くなり、ほうれい線やたるみケアにもなります。どれもすぐにできて簡単なものばかり。きれいに笑えるようにぜひ楽しんでやってみてください」
【さとこ先生直伝! おすすめの口もとエクササイズ】
1.口輪筋の刺激で唾液量も血流もアップしてぷる唇に“ぴよぴよぷー体操”
頬を吸って唇を小鳥のくちばしの形に。そして唇を上下に「ぴよぴよ」と10回開け閉め。次に、大きく深呼吸をして「ぷー」と1回勢いよくふくらませる。
2.あごの疲れ、目もとの疲れ、ストレス解消に、夜は”かみしめほぐし”
目を閉じ、こめかみの周辺を人さし指、中指、薬指の3本で、前へぐるぐる5回、後ろへぐるぐる5回マッサージ。奥歯をギュッとかんだときに硬くなる部分をほぐすと、顎関節や視神経の血流が良くなり、リラックス効果も。アロマオイルを使ってもOK。
3.歯磨きタイムに口角アップ“口角アップ歯ブラシ体操”
朝の歯磨きが終わったら、歯ブラシを左右均等になるよう犬歯でかみ、そのまま口角をグーッと上げて10秒キープ。最初はきついけれど、徐々に口角まわりの筋肉が引き上がる。顔のむくみにも効果的。
「素敵な人はみな口もとがきれい」と熱く語るさとこ先生。口もとを美しくするには、常日頃からのオーラルケアと意識が大切であること。この先、マスクをしなくてもいい日が来たときに思いっきりの笑顔がつくれるよう、今から最高の口もとを育むケアを続けていこう。
SATOKO ISHII | 石井さとこ
Dentist, Mouth Beauty specialist
デンタルクリニック「ホワイトホワイト」院長。歯のホワイトニングを日本で広めた第一人者。女性歯科医師ならではの、歯と体を美しく保つための食事や、歯が美しく見える口もとメソッドに定評がある。女優・モデル・タレント・アナウンサーなど、多数のビューティセレブからの信頼も厚い。著書は『マスクをしたまま30秒‼マスク老け撃退顔トレ』(集英社)他、多数ある。
Photo: HISAI KOBAYASHI
Editor’s Note取材メモ
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この時期、さとこ先生が美容と健康のために気をつけていることは?
アラカンを迎えても、肌はツヤツヤ、すっきりボディのさとこ先生に、この時期に気をつけていることを伺ってみた。
「1年でも一番寒くなる2月は、とにかく体を冷やさないようにしています。体が冷えると全身の血流が滞り、免疫力が下がったり、唾液の分泌が悪くなったり悪循環に陥りやすいんです。全身を温めるのに効果的なのは、やはり湯船につかること。さらに、手首や足首を冷やさないように、手袋や靴下はマストです。また、口呼吸は、唾液の分泌を低下させると同時に、冷たい空気を体内に入れてしまうので、鼻呼吸を心がけるようにします」
いつお会いしても元気いっぱい、お美しいさとこ先生の秘密はここにあった!
Content Writing
Yuumi Fujii | 藤井優美
Beauty Editor
『ELLE』『Women’s Health』などの雑誌・WEBメディアでも執筆。美容系編集プロダクション「dis-moi(ディ・モア)」主宰。エステティシャンを経て、美容エディターになること25年以上。美容専門誌をはじめ、多くの女性誌で美容情報や女性のヘルス特集を手掛ける。年間、数多くの研究者、医師、美容家などの取材をこなす。