TRAVEL
コロナ禍のストレスも解消! 「贅沢にアウトドアを楽しむ」グランピング
Reported by Chieko Koseki
2022.3.15
都会の日々に追われていると、ふと、無性に自然の中へ飛び込みたくなることはありませんか? 今のキャンプブームはそんな気持ちの表れかもしれません。とはいえ、キャンプを行うには多くの道具やスキル、さらには専門知識も必要。そして何より、ワイルドすぎる……。そこでおすすめなのが、グランピング。自然をそばに感じつつも、面倒は一切なく、快適&ラグジュアリー。さらなる進化を遂げた、今どきのグランピングをお伝えします。
ラクして非日常なアウトドア体験、いいとこ取りのグランピング
近頃のキャンプは、二極化しているもよう。高性能かつ便利なキャンプギアを取りそろえて、いかに快適に過ごすかを極める派。これはどうしても大荷物になるし、一回の旅では元が取れない⁉ 道具の使い方など知識を身に付けた人を動員する必要があるし、そしてなにより、自然との距離感が近すぎるのも気がかり。もう一方が、今回ご紹介するグランピング派。“魅惑的な”を意味する“グラマラス”とキャンプを組み合わせた造語で、テントの設営や食事の準備などの面倒から解放された、いいとこ取りをしたスタイルだ。
グランピングは数年前に日本に上陸、女性でも気軽にキャンプが楽しめるとあってポピュラーな存在に。まずテントがかわいい。近未来的なドーム型やキュートなタマネギ型、中には空中に浮かぶ球体など、デザインが非現実、かつバラエティ豊か。さらにキャビンやトレーラーハウスなど雨風から完全防備のタイプもある。そして従来型よりもスペースが広く、高さもあって、テント内で無理のない姿勢でいられる傾向に。また、基本的にはトイレやシャワールームは共同の施設が多いけれど、テント内に併設してあるところも。快適性がますます向上している。
ご当地食材やユニークなアクティビティなど、ステイのクオリティもアップ
一般的なキャンプのハードルを上げている、もうひとつの要因が食事。テントの設営をしながら、食材の調達や火起こし&調理などを同時進行するのは、キャンプ初心者にとっては至難の業。その点、グランピングならば申し込み時に食事や食材の手配を済ますことができる。用意されたバーベキューの食材セットも、地元のブランド肉類やとれたての野菜が盛り合わせになっているので、ここでしか味わえないようなご当地のおいしいものもばっちり堪能。シェフがコースメニューをサーブしてくれるところまである。
また、ユニークなアクティビティで滞在をより濃厚な体験にしてくれるグランピング施設も増加中。ヨガやサイクリング、トレッキング、中にはお花のアレンジを体験できるところも。今回は快適なうえに、個性たっぷりのグランピング施設をえりすぐってご紹介!
源泉かけ流しの“美肌の湯”&サウナ三昧! 「こしかの温泉グランピング」(鹿児島県)
霧島・こしかの温泉は源泉が自噴し、国内有数の泉質を誇る“美肌の湯”。全9棟あるグランピング棟は、全室に源泉かけ流しの温泉の露天風呂付き。しかもそのうちの4棟は広さ158.9平方メートルの専用スペースがあり、桜島の溶岩を使ったテントサウナ付き。自分の好みの温度やペースでサウナが利用できるのは、初心者にはありがたい。もふもふとした壁や天井のドーム型テントは、冷暖房完備で通年、いつ訪れても快適だ。1棟のみ、ワンちゃん同伴OKのテントもある。調理・食事は占有スペースで。鹿児島産の地鶏が楽しめる溶岩焼きの盛り合わせなど、ご当地グルメも満足できる。デッキスペースにはファイヤーピットも。1室ですべてが完結できるのは、さすが!
こしかの温泉グランピング
鹿児島県霧島市隼人町松永 2625
TEL. 0995-43-4046
https://koshikano-onsen.com/glamping/
宿泊料金/¥25,000(2名1室利用時の1名料金、2食付き、税込)
球体テントがふわり! 美肌温泉など施設充実の「温泉リゾート 風の国」(島根県)
小高い丘の上に広がる「温泉リゾート 風の国」。グランピング、コテージ、本館など、スタイルの異なる施設がそろう。グランピングだけでも、宙に浮いた球体テント2基、ドーム型テント2基、snow peak×隈研吾のモバイルハウス「住箱」3棟の3タイプ。中でも針葉樹林に浮かぶ球体テントは、ライトアップされて宵闇に浮かびあがり、幻想的。夕食は春から秋はバーベキュー、冬はお鍋も。バスケットに入れた朝食はピクニック気分で、好きなところで。敷地内には美肌温泉や、伝統の紙すき体験ができる工房、地元の食材を使ったクラフトビールのブルワリーなども(工房の体験とブルワリーの見学は要予約)。
温泉リゾート 風の国
島根県江津市桜江町長谷2696番地
TEL. 0855-92-0001
宿泊料金/ドームテント¥18,700~、球体テント¥19,700~、住箱¥22,000~(2名1室利用時の1名料金、2食付き、税込)
1日1組限定のオーベルジュ・グランピング「ウッドランド・ボシー」(東京都)
東京であることを忘れさせる、あきる野の山の中。駐車場から30分間の本格的な登山、そんな労をおしても訪れたい、1日1組限定のオーベルジュ・グランピング施設「ウッドランド・ボシー(Woodland Bothy)」。多くのゲストのお目当てが、やはり食! 専属シェフによるコースメニューには東京唯一の“幻の和牛”、貴重な「秋川牛」も並ぶ。客室は“森林の中の小屋”という意味の名前にふさわしく、テラスからは森を一望。トイレ&シャワー付き。山の斜面に築かれた別棟のお風呂(古民家宿 大峰と共用)も、沢の天然水を引いた絶景風呂だ。2月にはプライベートサウナもお目見え予定。
霊峰・富士を心ゆくまで! 樹海探検のアレンジもできる「藤乃煌 富士御殿場」(静岡県)
キャンプのような雰囲気をホテルのようなサービスを受けながら体験し、あちこちから富士山を思う存分、愛でられる。19棟のキャビンは広さ50平方メートル以上。スクエアな2棟の部屋と広々としたデッキテラスからなる。最前列に立つハイエンドな「藤乃スイート」は、なんと広さ153.4平方メートル! ドッグランを備えたドッグキャビン(ドッグスイートキャビンには足洗用シャワーもある)や、ユニバーサルデザインも。食事はホテル出身のシェフが手掛ける、オードブルから始まるコース料理(メイン料理は自分で仕上げる)。デッキで富士を眺めながら、美食をどうぞ。また専属のプロガイドによる、洞窟や樹海探検など、あらゆる角度から富士山を満喫できる。
藤乃煌 富士御殿場
静岡県御殿場市東田中3373-25
TEL. 0550-75-9111(10:00~18:00)、予約050-3504-9933(9:30~18:00)
https://www.fu-ji-no.jp/kirameki/
宿泊料金/グランデキャビン¥34,100~、藤乃スイート¥45,100~(2名利用時の1室料金、2食付き、税サ込)
日比谷花壇が提案する、自然の中の過ごし方「里楽巣FUJINO(リラックス ふじの)」(神奈川県)
都心から約1時間半、日比谷花壇が手掛ける初の宿泊施設、「里楽巣FUJINO(リラックス ふじの)」。天井高3メートルのドーム型テントはリビングのようにくつろげる洋室タイプと、キャンプでは珍しい畳敷きの和室タイプの2種類。エアコンや掘りごたつもあり、通年、快適。食事は季節ごとにシェフが監修・調理を行い、スタッフが届けるスタイル。こちらも洋食と和食からチョイスできる。そしてアクティビティに注目。季節の花材とグランピング場の植物を使ったフラワーアレンジメント教室やブルーべリー狩り、工房木工体験、ヨガ、コーヒー焙煎など、豊かな自然の中で感性に磨きをかけよう。
里楽巣FUJINO(リラックス ふじの)
神奈川県相模原市緑区牧野4611-1
[email protected]
https://hibiya-stay.com/relax/
宿泊料金/¥42,000~(2名利用時の1室料金、2食付き、税サ込、3名以上は大人1名につき¥21,000~)
Editor’s Note取材メモ
-
東京にこんなところがあったとは⁉ と驚くウッドランド・ボシーのオーナー、佐藤洋亮さんにとって「自分らしい」と思う瞬間は?
かつては西麻布など都内のビストロやカフェ、鶏料理店などで経験を積んだ、「Woodland Bothy(ウッドランド・ボシー)」のオーナーの佐藤洋亮さん。都会育ちの佐藤さんが初めてあきる野の山に訪れたときには「東京にこんなところがあったの⁉」と、心底驚いたとか。その気持ちを形にしたのが、このグランピング施設。ゲストがいないときは、大型スピーカーから音楽を聴くと自分らしい時間に戻れるとか。周囲に民家はないし、迷惑をかけるのは野生動物くらい⁉ ジブリ映画の音楽が、雰囲気にぴったり合うそう。ちなみに、佐藤さんはかつてDJだった経歴も。「ゲストはテラスでゆっくり読書するなど、のんびりできる場所です」と佐藤さん。キャンプサイト、古民家宿も併設し、それぞれ1日1組のみ。3つの施設を貸し切りにすることもできる。
Content Writing
Chieko Koseki | 古関千恵子
旅行ライター。リゾートやエコなど、国内外のビーチにフォーカスして、主にラグジュアリーライフスタイル誌やウェブサイトに寄稿。これまで沖縄や関東近郊、離島のビーチが中心だったが、ここ最近は九州や関西、東北のビーチの美しさにも開眼。全国津々浦々を探訪中。
https://www.chieko-koseki.com/