INTERIOR
高温多湿な夏を快適&楽しく乗り越えるためのインテリア選びと日常ケア
Reported by Mika Hatanaka
2021.7.15
自宅で過ごす時間が増えた今、インテリアや部屋作りにますます意識が向いている人も多いのではないだろうか。今回は、湿気の多い今の季節、より快適に、心地よく日々の暮らしを過ごすための方法についてフォーカス。制限のある毎日、より快適に日々を過ごすインテリアアイテムの選び方と、それをキープするための暮らしのハウツーをご紹介する。
五感で“涼”を感じ、家にいながらアウトドア気分を
――byリビング・モティーフ
年々暑さが厳しくなる夏を目前に、気候変動を実感している人も多いのではないだろうか? そんな昨今の日本の夏に、「五感で“涼”を感じるインテリアを」と提案いただいたのが、国内外の家具やインテリアアイテムを豊富に取り扱うセレクトショップ「リビング・モティーフ」。
「日本には、古くから夏の過ごし方として五感で涼しさを求めるという習慣があります。例えば、夏にはガラスの器を取り入れて目で見て涼しさを体感したりしますよね。また、風鈴や水の音など、耳で涼むという習慣もありますし、麻などの肌触りのよいファブリックに取り替えるのも、昔から自然と私たちが取り入れている夏の過ごし方です。リビング・モティーフの店頭でも、そのようなアイテムやスタイリングのご提案をしています」(広報・小竹さん)
さらに、ここ数年は空気の流れを循環させるためのサーキュレーターが夏のインテリアアイテムの定番となっているとか。エアコンによる温度のムラを整えるのはもちろん、室内の冷やしすぎなどを防ぐ効果もあるという。「リビング・モティーフでは、コンパクトでデザイン性が高く、インテリアを損なわないアイテムを豊富に取りそろえています」
また、リモートワークなど自宅で過ごす時間が増えた近年のトレンドとして、アウトドアアイテムを室内でコーディネートするなど、自宅にいながらアウトドア気分を楽しむアイテムも増えているそう。「店頭では朝の空気が気持ちいい時間に、ベランダやテラスなどでコーヒーや朝食を取れるようなテーブルやチェアなどをおすすめしています。もちろん、夕涼みにも使えますし、ご自宅にちょっとしたアウトドアスペースがあるだけで、一日のなかでリズムや気分を変えるきっかけになりますね」
なお、テラスやベランダなどにアイテムを取り入れる場合には、海沿いの地域であれば塩害にも注意を払う必要があると小竹さん。「屋外で使用する家具には、木製ならチーク材を、スチールの場合にはサビや腐食に強い、ガルバナイズドという亜鉛メッキ加工のされたアイテムやメラミン焼付塗装がされたアイテムをおすすめしています。また、クッションやチェアファブリックも、屋外使用に対応したものをご案内しています」
リモートワークが日常になった今、ONとOFFの切り替えが難しいと感じる人は多いのでは? そんなとき、いつもの住環境にアウトドアな雰囲気があるだけで、気分の切り替えスイッチの役割を担ってくれるはず。
リビング・モティーフ
https://www.livingmotif.com/access/
東京都港区六本木5-17-1 AXISビル B1, 1F, 2F
03-3587-2784
11:00〜19:00 (定休日なし)
季節に合わせてファブリックを取り替えて心地いいインテリアを
――byアルフレックス
家具を心地いい空間作りに欠かせない「生活の道具」として位置づけ、イタリアの洗練を受継ぎながら、日本の風土や住環境に合わせた家具づくりと空間提案をしている「アルフレックス」。創業間もない1970年初期から採用しているのが、ソファなどのカバーリングシステムだ。
「四季のある日本は、季節によって気候が大きく変わります。欧米の住居に比べてスペースに限りがあるなかで、インテリアを気候に合わせて整えるためにも、カバーリングシステムはとても好評です」と広報の長谷川さん。
「ソファはもちろんですが、一部のダイニングチェアなども、ご自宅でカバーを取り外してクリーニングができますし、カバーのみの販売もしていますので、夏場などは素材や色を涼やかなものに替えて目や手触りからリフレッシュしていただくためにも、ぜひ取り入れていただきたいですね」
さらに、欧米とは異なり靴を脱いで過ごす日本の住環境では、ラグ類の心地よさも欠かせない。「夏場は特に裸足で過ごされる方が多いので、ソファまわりにラグを敷くことで、床に足をついたときの心地を調整することが可能です。アルフレックスジャパンでは、室内外で兼用でき、水洗いもできるラグなどもご提案しています」
「また、日本の住居は開口の大きな明るい部屋が多いのも特徴です。日差しが気になる季節は、太陽の熱や紫外線を防ぐ遮熱レースカーテンに替えるのもおすすめです。金属粒子を吹き付けた特殊生地により、室内の明るさはそのままに熱やまぶしさ、紫外線を軽減します。大きな面積を占めるカーテンは、お部屋の印象を決める大切な要素のひとつ。店頭では、やわらかで透け感のある美しい風合いのものを多数そろえています」
見た目の涼しさはもちろん、機能性に優れたカーテンやカバーアイテムは、手軽に取り入れられるインテリアアイテムのひとつ。気分を変えるための手段としてもぜひ取り入れたい。
アルフレックス東京
https://www.arflex.co.jp/shop/tokyo.html
東京都渋谷区広尾1-1-40 恵比寿プライムスクエア1F
03-3486-8899
11:00〜18:00 水曜定休
インテリアを楽しむための
リビング&ベッドルームの湿気対策
ベッドやソファなどは私たちの暮らしには欠かせない家具だが、欧米とは違い、高温多湿な日本の風土では、湿気やカビなどの対策が欠かせないことをご存じだろうか? せっかくのこだわりのインテリアを、湿気で台無しにしないための方法を、住生活ジャーナリストの藤原千秋さんに伺った。
「湿気対策というと、結露や除湿に意識がむきがちですが、実は、夏場の住環境の臭いなどは、汗によるものがほとんどです。汗をかいた状態でソファでくつろいだり、寝ている間の汗などが雑菌を増やす原因となり、それがにおいやカビの原因になることがあります。もちろん、帰宅後にシャワーを浴びるなど対策はありますが、高温多湿な日本の住環境では湿度コントロールが欠かせません。基本は夏は湿度50%くらいを目安にしたいですね。また、部屋の中でも場所によって湿度は変わるため、湿度計をさまざまな場所に取り入れて、どんな場所に湿気がたまりやすいのかを事前に知っておくことも大切です」
それでは、実際に湿気をコントロールするためにはどのようなことをすればいいのだろうか? 今すぐに取り入れられるハウツーを伺った。
1.一日2回の自然換気を習慣に
家の中は空気がこもりやすいため、実は家の中よりも外の空気の方がキレイということを知っておいてほしい、と藤原さん。湿気が気になる季節は特に、2カ所以上の窓を開けて自然換気を促すのが大切。真夏のエアコンをつけている時期も、一日2回を目安に自然換気をしておこう。
2.24時間換気システムをON
私たちの吐く息によっても、室内の二酸化炭素や湿度は上昇していくもの。エアコンでは空気の入れ替えはできないため、24時間換気システムがある場合は常にONにしておくと、空気の循環を促せる。また、サーキュレーターなどの導入も効果的。
3.起床後すぐのベッドメイキングはNG
寝具は寝ている間の汗を吸うのが目的のひとつ。起床後すぐにベッドメイキングをすると、湿気がこもってしまい、臭いやカビの原因に。布団の中にこもった湿気を飛ばすよう30分ほど放置したあと、ベッドメイキングをするのが効果的。また、布団乾燥機やマットレスの天地返しなどで定期的にマットレスの湿気をオフするのも忘れずに。
4.夏場はシルクなど天然素材の寝具を
シルクは吸湿効果に優れた天然素材。夏場などはシーツやパジャマなどを天然繊維にチェンジするのも有効だ。また、ベッド裏のカビや湿気が気になる場合は、マットレスの下に敷くタイプの除湿マットを取り入れるのも有効。
5.夏場のソファカバーなどは避けて
布と布の間には、ダニが生息しやすいもの。ファブリックのソファにカバーとして、ブランケットや布をかけている場合は、1枚減らしてみよう。布を減らすだけでダニによるアレルギーや不調を回避することにもつながるはず。
少し気をつけることでより快適に過ごせるアイデアは、今日から早速取り入れられるはず。自宅で過ごすことの増えた今だからこそ、より快適で健康的に暮らすためのアイデアはぜひ知っておいてほしい。
Chiaki Fujiwara | 藤原千秋
Housing Journalist
住生活ジャーナリスト。家事や掃除、子育てなどの暮らしまわりを専門として取材&執筆。さまざまなメディアで発信するほか、著書も多数。コラムニストのジェーン・スーさんのTBSラジオ番組では、月1のレギュラー出演も。
Editor’s Note取材メモ
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ようやく楽しめるようになった観劇をこの夏は存分に楽しみたい
藤原さんがこの夏、楽しみにしているというのが、観劇だとか。「2019年に宝塚歌劇団を退団された七海ひろきさんの大ファンなんです。昨年は観劇ができない一年でしたが、今年の夏はライブツアーのチケットも取れました。旅行などには行きにくい時期ですが、観劇で束の間のトリップを楽しみたいと思っています」
Content Writing
Mika Hatanaka | 畑中美香
Beauty Writer
『25ans』などの雑誌・WEBメディアでも執筆。ファッション誌のビューティ担当を経てフリーランスに。ビューティ&ヘルスを中心に、雑誌や広告のほか、書籍のディレクション&ライティングも。旅とビストロ、占い、カフェでボーっとすることが欠かせない。赤リップとその日の気分に合った精油が必須アイテム。