Live Active® LIFE

INTERIOR

おうちごはんに利く! プロが選ぶテーブルウェア

Reported by Mika Hatanaka

2021.1.15

自宅で過ごすことの多くなったこれからの時代、もっと食卓を華やかにしたいと考える人も多いのでは? 雑誌『ELLE gourmet』などで活躍するスタイリストの久保田朋子さんに、いまの気分にフィットする、器選び、テーブルコーディネイトのエッセンスを伺った。

シンプルだけど画一的じゃない、そんな器が毎日の定番

器を新調したいと思ったとき、好みやインスピレーションで選ぶケースはもちろんだけれど、さまざまなテーブルウェアに触れている久保田さんは、どんな目線で選んでいるのだろうか。

「普段、自宅で使う器は、ベーシックなものが多いですね。色でいえば、白っぽい器が圧倒的に多くて、または温かみのある生成りのようなカラーが多いと思います。ただ、白いお皿といっても、全てが均一なプロダクトよりも、釉薬の風合いがひとつひとつ違うような器を選ぶことがほとんどです。最近では、量産品の器でも釉薬を手作業で一枚一枚仕上げて、同じ器でもそれぞれに表情が異なるように生産しているものも多いんですよ。そういうものを選ぶだけで、同じプレートでも表情が違って面白いんですよね。テーブルにもリズムができますし、使っていても楽しいですよ」

たとえ体調の悪いときでも、心地よく使える器が毎日の定番、と語る久保田さん。「作家ものはもちろん好きですが、普段の食事では、気負わず使えるものに自然と手が伸びます」。ベーシックな器選びでおすすめのショップを伺うと、東京・水道橋の千鳥や、二子玉川のコホロを教えてくださった。

「たとえば、このティーカップやプレートは陶芸家として活動している夫の試作品だったり、黒の器は欠けていたりする、いわゆるB品なのですが、こんなふうに“欠け”や“ゆがみ”みたいなものも楽しんで使っています。B品は夫が修行時代に勉強になるからと師匠から譲っていただいたものが多いのですが一般的には陶器市などで手に入ると思います」

このほか、海外の蚤の市で見つけたアンティークの食器も普段使いの定番だとか。「アンティークのプレートなんかは、意外と和食器との相性がいいんですよね」

直径20センチ前後のベーシックな白皿は、ランチプレートとしても重宝。「木製のカッティングボードをランチョンマット代わりに使うと、食事と仕事が同じテーブルだとしても、ちょっとした気分の違いを演出できますよ」。リモートワーク時のランチでは、ぜひ参考にしたいアイデア。

なにかと便利なオーバル皿は毎食登場します

久保田さんの食器棚にたくさんあるのが、オーバル皿。

「オーバル皿って、どんなお料理も格好よく盛り付けることができるんです。平皿だと、高さをつけないとうまくハマらないお料理も、オーバル皿なら格好よく決まる。大皿料理に使えるのはもちろん、朝食時にはパンと目玉焼きと簡単なサラダを盛り付けたりして、ワンプレートディッシュとしても活用できます。また、手のひらサイズのものは、小鉢代わりにカットしたトマトを盛ったり、おひたしを盛り付けても」

また、冒頭の写真のように、限られたスペースの中で、隙間なく並べられるのがオーバル皿のさらなる魅力。

「丸皿に比べると、オーバル皿はスペースを効率よく使えるので、狭いテーブルでも窮屈にならないんですよね。また、食器棚から取り出すときも、片手でひょいっと取り出せたりして、丸皿に比べて扱いやすいんです。私にとっては、カジュアルに普段使いしやすいのも魅力ですね」

大きめのオーバル皿は、withコロナ時代のホームパーティシーンなどでワンプレートディッシュとして活用。さまざまな料理を、ひとり分ずつ盛り付けておき、みんなでテーブルを囲んでも。

ホームパーティはエスニックな器でテーブルトリップ

外食がなかなか難しい昨今、自宅に友人を招いたり、家族でお取り寄せ料理を楽しむというシーンも増えているはず。そんなときのテーブルウェア選びについても伺った。

「ホームパーティなどでは、エスニックな器なども積極的に使います。色や柄物の器を取り入れるだけでテーブルが華やぎますよね」

華やかな器を主役にするときにも、日常使いしている白や生成りの器は、銘々皿としてのほか、サイドディッシュの盛り付け皿として活躍。ひとつひとつの器に、手作り感や、表情があるからこそ、テイストをミックスしたテーブルでも、まとまりと温かみを感じる。

また、今回紹介してくださった柄もののテーブルウェアは、どれもグリーンがポイントに。グリーンという色を選ぶ理由を伺ってみると……。

「織部焼の緑釉に近い色なんですよね。だからエスニックな柄でも、和食とも相性がいいんです。ほかにも、茶色は、飴釉に似たような色だったりもするんです。今回は器に合わせてエスニックなお料理を盛り付けていますが、実際には、どれも和食器として使うことも多いですね。筑前煮みたいな煮物を盛り付けたり、白和えなんかとも相性がいいと思います。エスニックな器選びが難しいなと感じたときには、日本の器の色を意識してみると、手持ちの食器と組み合わせやすかったり、普段のお料理との相性もよいかもしれません」

また、ホームパーティでは、テーブルセッティングをきちんとしすぎないことも久保田さん流。

「たとえば、バゲットやチーズもあらかじめ切り分けておくのではなくて、カッティングボードにそのままナイフと一緒に置いておいて、それぞれに好きな分だけ切ってもらったり、カトラリーもセッティングしておくよりも、ピッチャーなどにざっくり入れてテーブルに置いておくようにしています。ゲストが思い思いに手を動かしてもらう、それだけで場が和みますし、リラックスした雰囲気で楽しめますよね」

陶器のほか、ガラスや木のボード、真鍮の器など、さまざまな素材の器をミックスさせたり、平皿や鉢ものなど、高さの異なる器を取り入れるのも、テーブルを賑やかに見せるポイント。エスニックな器が欲しいときには、東京・青山のグランピエなどをチェックするのだとか。

ポップ&カラーアイテムでテーブルも模様替え

ベースはシンプルな器が多い久保田さんが、最近気になっているというのが、ポップでカラフルなデザインのテーブルウェア。

「ここ数年は、ファッションやインテリアと同じように、テーブルウェアもシンプルなものがトレンドでした。ただ最近、仕事で目にしたり、店頭によく出回っていたり、私自身も気になっているのが、カラーグラスやカラフルなプレートなどのアイテムです。普段使いの白い食器などと組み合わせたりして、模様替えするような感覚で取り入れてみるといいと思います」

遊び心の利いたアイテムは、テーブルコーディネイトはもちろん、手に取るだけで気持ちも明るくなりそう。テーブルウェアとしてだけでなく、インテリアの一部としても楽しめそうな気も……。

「カラーストローはザラホーム(ZARA HOME)のもの。マーブル柄のボウルは、日本の作家の作品です。サラダボウルとしてホームパーティなどのシーンで使うこともありますが、フルーツや根菜を入れたりしても素敵ですよ」

テーブルウェア=テーブルだけで使うものと思いがちだが、そんな固定観念は外してしまっていいもの。それだけでもっと自由に、楽しく、テーブルウェアと向き合えそうな気がする。

久保田さんがついつい集めてしまうというマグカップ。ポップなデザインやカラーアイテムは、マグカップなら取り入れやすそう。「休日のブランチなどには、自然とポップなデザインのマグに手が伸びます」

久保田朋子さんがおすすめする器店

千鳥

東京都千代田区三崎町3-10-5 原島第二ビル201A

https://chidori.info

普段使いしたくなる器が見つかるお店。ギャラリーとして作家ものの展示会も多く開催。

コホロ 二子玉川店

東京都世田谷区玉川3-12-11 1F

https://kohoro.jp/

グランピエ 東京店

東京都港区南青山3-4-4カサビアンカ

https://www.granpie.com/

アジアや中東をはじめとした、エスニックな器ならここ。こまめにチェックするのがおすすめ。

Tomoko Kubota | 久保田朋子

Table Stylist

テーブルスタイリスト。大学時代にスタイリストアシスタントとして経験を積むようになり、のちに独立。『ELLE gourmet』のほか、料理雑誌や書籍などでテーブルコーディネイトを手がける。トレンドをほどよく取り入れた、品とセンスのあるスタイリングで活躍。ご主人は、陶芸家の岩田哲宏氏。

Photo: Tetsuo Kitagawa
Food Styling: Yoko Watanabe

Editor’s Note取材メモ

  • “手づくり感があるか”を器選びの指標に

    作家ものや海外で買った器、頂きもののデザイナーズプレート、それぞれ素敵ではあるけれど、いざ組み合わせるとテーブルがチグハグに……。そんな悩みを久保田さんは、「手づくり感があるかどうか」という言葉で解決してくれた。ブランドや色ではなく、個性や温もりがあるかどうか――そんな視点で器を集めていけば、自分らしいテーブルが作っていけそうだ。

  • オーバル皿をまずは一枚

    なんとなく長いもの、大皿料理専用というイメージだったため、ひとり暮らしには不向きと敬遠していたオーバル皿。けれども、盛り付けのしやすさはもちろん、小鉢としても使ったり、ワンプレートディッシュに使ったりと、その汎用性の高さ&愛らしさに開眼! 個人的に集めるのなら豆皿とか小鉢?と思っていたが、オーバル皿に決定。

  • A4サイズの木のプレートが使える

    個人的に木のプレートが好き。カッティングボードとして小さめのものをいくつか持ってはいるけれど、ランチョンマットとしてのテクニックは目から鱗! ライター業は、仕事と食事が同じテーブルなのは常。これからは、A4サイズの木製プレートを頭の片隅に置いて、器の店やインテリアショップめぐりを楽しもうと思う。

Content Writing

Mika Hatanaka | 畑中美香

Beauty Writer

『25ans』などの雑誌・WEBメディアでも執筆。ファッション誌のビューティ担当を経てフリーランスに。ビューティ&ヘルスを中心に、雑誌や広告のほか、書籍のディレクション&ライティングも。旅とビストロ、占い、カフェでボーっとすることが欠かせない。赤リップとその日の気分に合った精油が必須アイテム。