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BEAUTY

メイクアップアーティストnagisaさんが提案、エンビロン肌に映える旬メイク術

Reported by Madoka Natsume

2022.10.17

長すぎたマスク生活で、目もとと眉ばかりに注力したメイクがすっかり定番に。顔全体のバランスや足し引きのニュアンスなど、メイクの本質をおざなりにしていたかもしれない。そこでメイクアップアーティストとして活躍する傍ら、自身のメイク・テクニックをSNS上で発信し、人気を集めているnagisaさんに話を伺った。ツヤ素肌に似合うメイクのバランス、そして秋冬に選ぶべきカラーなど、ぜひ参考にして。

nagisa流、大人に似合うシックなニュアンスメイクとは?

ナチュラルメイクに見えるのに、さりげないお洒落のセンスがつまっているnagisaさんのメイク。マスクを外す機会も増えてきたが、「外したとき、チークを塗っていないと顔が長く見えるし、リップに色がないと寂しい印象に見られてしまう。メイクはパーツではなく、顔全体の仕上がりで考えることが大切です」

今回提案してくれたのは、大人の女性が使いやすいブラウンのアイシャドウを起点に考えたメイク。「ブラウンをベースに、くすみオレンジや淡いパープルといったニュアンスカラーを加えるのがおすすめ。そしてトレンドでもある黒のアイライナーにはぜひ挑戦してほしいですね」。nagisa流色選びのルールと、ツヤ素肌へのなじませ方のスペシャルなテクニックは必見だ。

アイシャドウはブラシを使わず、指で。目もとに溶け込ませる

スタートは目もとから。冒頭で話したようにブラウンをベースに、くすみオレンジと薄いパープルをプラスしてグラデーションに。ブラシを使わずに指で仕上げるのがnagisaさん流だ。「ベースとなるブラウンは上まぶた全体に広範囲に塗ります。肌なじみがいいので肌のトーンが整い、次にのせるカラーと調和して立体感をうまく引き出せます。くすみオレンジはさきほど塗ったブラウンに重ねてグラデーションに、薄いパープルは中指の先で目尻から目頭に向かって下まぶたのキワにのせます。そして仕上げに何も塗っていない指で、まぶた全体をそっと触って色の輪郭をなじませます。このひと手間で肌に色が溶け込み、ナチュラルに見えますよ」。ナチュラルな目もとなのに、さりげないニュアンスを感じるnagisaさんのメイク。慣れていないオレンジやパープルの差し色も抵抗なく使えそうだ。

ブラウンのアイシャドウはまぶた全体に大胆にのせて。中指の腹を使い、目頭から目尻の外側に向かって塗り、輪郭を肌に溶け込ませるようにぼかす。
アクセントカラーのパープルは差し色に。同じく中指を使うが指を少し立てて、指先を使うと小さい範囲にピンポイントで塗れるそう。

黒で締めるのが旬。目力を作る大人のキャットライン

ここ数年、あえてまつげの存在を控える“ノーマスカラ”やブラウンやグレーなどのカラーマスカラが主流だったが、今年の秋は久しぶりに黒マスカラ×黒アイライナーという、強めのメイクが復活している。加えてnagisaさんが秋冬に取り入れたいのが、“大人のキャットライン”だそう。「キャットラインといっても大胆に入れるというよりは、ちょっと印象づける、程度。ぼんやりしがちな大人の目もとに黒のマスカラと黒のリキッドアイライナーでフレームを作ると、目が引き締まって見えますし、目に力が宿ります」

まずはマスカラから塗る。「なぜマスカラが先かというと、マスカラを塗ることでまつげの長さが変わりますよね? その変化したまつげの印象に、アイラインの長さや幅を合わせていくとバランスが取りやすくなります。塗り方のポイントは、根もとが太く、毛先に行くほど細くなるように。ブラシを根もとにあてて左右にゆらしながら毛先に向かってすべらせると、繊細なセパレートまつげに。アイライナーは、鏡をまっすぐ見てラインの終着点にちょんと印をつけてから描きます。目尻のいちばん外側に生えているまつげの延長線上になるような角度を狙うのがコツで、黒目の外側から印までをつなげるように描きます。内側はドットを描くようにちょんちょんとブラシの先端を使います。このとき、まつげが生えている根もとを狙い、まつげとまつげの隙間は完全には埋めません。塗りつぶさないほうがより自然に見えます」。リキッドライナーで描くのが苦手、ラインがガタガタする人は、手を頬骨の下にあてると筆先が安定し、キレイなラインが描けるそう。

マスカラは繊維がほどよく入っていて長さもボリュームもでるものがおすすめ。根もとに液をつけることでアイラインのような効果が生まれる。
リキッドアイライナーは、習字を書くときのイメージをもつと上手くいくそう。細く描きたいなら筆を起こし、先端に行くにつれてそっと力を抜く。
久しぶりに登場した黒マスカラと黒のリキッドアイライナー。目もとの印象UPに一役も二役も買ってくれるアイテムだ。

チークを復活させて。頬の外側からのせて小顔印象に

マスクをつけていると、目もとのことばかりに気を取られてチークを忘れてしまうことがある。しかし以前に比べるとマスクを外す機会が多くなったことから、チークの需要が復活。「いちばん色をのせたいのは頬の外側。ブラシにコーラルベージュのチークを適量塗布して、頬骨の外側を起点にして頬骨に沿って内側にすべらせ、こめかみの方向にブラシを移動させます。チークというよりシェーディングやコントゥアリングの延長にあるような感じですね。引き締め効果があるので顔が間延びせず小顔印象に」。わずかに赤みを感じるコーラルは血色感があり、微細なパールも入っているモノならヘルシーな表情が生まれる。

リップの塗り方についても教えてもらった。年齢を重ねると唇の筋肉が衰えて内側に入ってしまい、唇が薄くなってしまうのだそう。そして人中(鼻の下から上唇にかけてのくぼみ)も長くなるので、上唇の山を少しだけ高く見えるようにオーバーぎみに塗るのがポイント。「下唇の真ん中から外側に向かってブラシを動かしてひと塗りしたら、上下の唇を合わせて上唇に色移りさせます。ブラシにリップを足さずにリップラインを整え、上唇の山を少しだけ高く見えるようにオーバーに塗ります」。マスクにつきにくくなるように軽くティッシュオフ、そして指でわずかに輪郭を触り、リップラインを整えて。

マスクをつけていてもチークの色がわずかに見える高い位置に入れて。チークをつけていれば、マスクを不意に外したときもメイク感がある。
チークもリップも肌なじみのいいコーラルベージュ。チークは微細なパールが入っていて、血色感だけでなくツヤもアップ。リップはマスク移りしにくいティントタイプのリキッドルージュ

「使いやすいブラウンのアイシャドウにくすみオレンジ、淡いパープルといったニュアンスカラーを少し加えたり、久しぶりに黒マスカラ×黒アイライナーでちょっと強めにしてみたり。シーンに合わせて、洋服に合わせて、メイクを楽しみたい気分です」。大人に似合うシックなメイクを取り入れつつ、さりげなくトレンドを仕込むところは、さすがnagisaさん。

出張先に連れていったエンビロンの私的「ヒーローアイテム」

普段からエンビロン製品を使っているnagisaさん。化粧水をなじませた後、デュアルブーストクリーム、夜はセリエンスナイトセラムをプラスしているそう。「今、仕事でロンドンにいるので、旅先でもかさばらないアイテムを連れてきました。エンビロンはアンチエイジングを目的としたシリーズを使っています。ベースメイクは、美容クリームのような日焼け止めラドエンリッチドサンクリームを塗り、気になる部分だけコンシーラーを塗ります。フェイスパウダーはヨレを防ぐためにコンシーラーを塗った部分のみ」。ファンデーションを塗らなくても、ツヤツヤの肌の理由はコレでした!

nagisaさんのメイクは“ニュアンス”や“質感”がとても重要。それぞれのステップが繊細かつ丁寧だ。とくに印象的だったのがアイラインの描き方で、「あえて隙間をつくる」ことで自然に仕上がるというテクニックを教わった。実際に試してみたところ、確かに黒で締めているのに抜け感がでて自然な仕上がり。濃いメイクはしたくないけれど、丁寧なメイクはしたい。nagisaさんの話を聞き、心からそう思った。

nagisa

メイクアップアーティスト

独立後、渡英。ロンドンを拠点に活動を開始。ロンドンで活動後は日本に拠点を移し、雑誌、広告、ファッションショーなどさまざまな分野で活動中。メイクアップアーティストとしての活動にとどまらず、『Union』創刊より出版に携わり、雑誌の制作、YouTube、InstagramをはじめとしたSNSでの情報発信のほか、ファッション、コスメブランドとのコラボなども手がける。
Instagram
https://www.instagram.com/nagisamakeup/

YouTube nagisa TV+
https://www.youtube.com/c/nagisaTV

Photo: Reiko Toyama

Content Writing

Madoka Natsume | 夏目円

Beatuy Editor/Writer

大学卒業後、出版社で編集者を務めたのちに独立。20年間以上の間で3000件以上の取材・執筆を行う。美容を専門分野とし、20代から60代と幅広い年齢層の執筆・企画を行うほか、化粧品のコンセプト立案、コピー制作など幅広く行う。ヘアメイク、スキンケア、ダイエット、アロマ、フレグランス、ボディケア、ヘルスケアと幅広いジャンルに精通。2009年より『オールアバウト』にてスキンケアガイドを担当。時間のある週末は、『ひとり映画鑑賞会』と題して、カフェオレを片手にミニシアターで映画を観るのが楽しみ。