BEAUTY

肌も心も“ととのう”。ウェルビーイングなサウナ美容と正しい楽しみ方

Reported by Misaki Kawatsu

2022.5.16

サウナ人気が止まらない。そのリラックス効果から日常的に利用しているという人はもちろん、「地方のサウナ施設が目的で旅行に行く」「屋外で楽しむためにサウナテントを購入した」など楽しみ方は多種多様に広がっているようだ。特に最近は女性でもハマる人が急増、彼女たちをターゲットにした施設も次々とオープンしているという。その人気の理由をサウナドクターとしても知られる現役医師の加藤容崇先生に取材。サウナで得られる心身への効果と気になる美容への効果、そして効果をしっかりと受け取るための正しい入り方について教えてもらった。

気持ちがいいだけじゃない。医師が解説するサウナの効果効能

ここ最近、いろいろなメディアでサウナの話題を耳にする機会がぐっと増えた。 “年配の男性”が好むものという今までものイメージも一転、「サウナー」と呼ばれるサウナ愛好者の中には若い女性も多い。ここまで注目されるようになった理由のひとつとして、サウナがもたらす健康効果、美容効果が明らかになったことが挙げられるだろう。自身もサウナ愛好家として知られ、日本サウナ学会の代表理事も務める現役医師の加藤先生に、サウナの効果効能を伺った。

「サウナの効果は多岐にわたりますが、一番は“脳疲労が取れること”。瞑想やマインドフルネスのように思考をリセットし、強制的に“オフ”の状態にすることで脳のパフォーマンスを上げてくれます。

後ほど詳しく説明しますが、サウナには正しい入り方というものが存在します。まずは高温のサウナに入りじっくりと体を温めた後、水風呂で火照った体を冷やします。そして、外気浴と呼ばれる5分～10分ほどの休憩までを含めて1セットとし、それを3セット繰り返すことで心身をととのえるのです。

サウナの中は100度近い超高温空間であり、いわば世界一暑い場所。人体にとっては“非日常で危機的状況”ゆえ、強制的に思考がリセットされ、余計なことを考えられなくなるのです。興奮状態になり、アドレナリンも分泌されます。

次に水風呂では極度に冷たい環境となり、アドレナリンがさらに分泌されます。

その後の外気浴では、危機的環境を脱することで一気に副交感神経が優位となったリラックス状態に変化。血中にアドレナリンが残っているのに自律神経はリラックス状態の副交感神経優位になっている、日常ではありえないこの状態のことを、“ととのう”と呼んでいるのです。深い睡眠の時間が約2倍となったり、自律神経が鍛えられてメンタルが安定するなど、あらゆる効果を期待できます」

女性にサウナをすすめる理由。美肌、痩身etc.その効果

加藤先生いわく、サウナは女性にとっても嬉しい効果がいくつも期待できるという。肌がキレイになる、痩せやすくなるなど、気になる効果を教えてくれた。

□肌の新陳代謝がアップ

「サウナで汗をかき、血流が促進されることで肌の新陳代謝が促され、肌がキレイに。また、熱刺激を受けることで活性化する特殊なタンパク質HSP（ヒートショックプロテイン）70という物質が出ることも肌がキレイになる秘密。HSPにはダメージを受けた細胞を修復する働きがあり、なかでもHSP70は抗酸化力が極めて高いのが特徴です。HSPは体温が38度以上になると多く出ますが、サウナに入ると簡単に皮膚表面の温度は40度近くになるので、肌のケアには最適。ただ、化粧品で保湿することも忘れずに」

□血色がよくなり、赤ちゃんのような肌に

「肌荒れに悩まされている女性も多いと思います。そんな時にもサウナは効果的です。サウナに入ることで肌の健康を保つ毛細血管が増え、そして酸素を豊富に含む血液が供給されます。酸素を含む血液はピンク色ですので、サウナによって毛細血管が増えることで栄養や潤いが肌に供給され、ピンク色の赤ちゃんのような肌になることができます」

□代謝が上がり、痩せ体質になれる

「サウナに入ると全身の代謝をつかさどる甲状腺のホルモン量が増えます。それによって代謝が上がり、エネルギーを消費しやすい痩せ体質になることができます。また、甲状腺ホルモンが分泌され、代謝のスイッチが切り替わることでファスティングをしているときと同じような“飢餓状態”になり、貯蓄していた脂肪を燃やし始めます。ただ、サウナに入った直後はカロリーの吸収率も上がるので、食べ過ぎには注意が必要！」

大切なのは入り方だった！　医師が教える「正しいサウナ浴」

サウナの恩恵をしっかりと受け取れるかどうかは、その入り方にかかっているという。加藤先生に、“医学的根拠のある”正しい入り方を教えてもらった。

1．サウナ（6分～12分）

「サウナ室でのおすすめの過ごし方は、足を上げて体の高低差が少ない体勢になること。サウナ室は高いところほど高温になるので、イスに座る体勢の場合、足先が温まりにくいのです。あぐらか体育座りの姿勢がおすすめ。また、熱のセンサーとなりやすい頭に水で冷やしたタオルを巻いて入るとグッと入りやすくなります。またサウナを出るタイミングですが、『心拍数が平常時の2倍』と覚えておき、目安にしましょう」

2．水風呂（20秒～1分）

「水風呂が苦手という人は多いかもしれません。しかし、『ととのう』ためには水風呂は外せません。初心者は、大きく息を吐き続けながら入った後、水風呂の中でしばらくじっとしていることをおすすめします。じっとしていると、皮膚表面に温かい温度の層が発生し、冷たさを和らげてくれるのです。それを『羽衣(はごろも)』と呼びます。羽衣を纏えば、水風呂が気持ちいいと思えるように。冷やされた血液が全身をめぐり、肺に戻ってくると、気道がスース―するという感覚になるはず。それが水風呂を出る合図です」

3．外気浴（5分～10分）

「水風呂を出たら手早くタオルで水気を取り、露天スペースや内風呂に設置されているイスやベンチで休んでください。ベストは完全に横になる姿勢ですが、スペースの都合上難しい施設が多いです。水風呂を出てからの2分間が一番“ととのう”という感覚を得やすい時間。水風呂を出たらすぐに外気浴を行ってください」

「上記で解説した、サウナ→水風呂→外気浴が基本のセットです。1セットでも気持ちいいのですが、３～４セット行うと深くととのうだけでなく、効果もアップします！」

ブームの裏には、医師お墨付きの理由があった。すでに「サウナー」の方も、まだ未経験という方も、加藤先生がおすすめする入り方で、サウナを正しく、楽しんで欲しい。

Yoshitaka Kato ｜加藤容崇

医師・日本サウナ学会代表理事。年間300回以上サウナに入るという、サウナドクター。医学的観点からサウナの研究を進め、多くの医学的エビデンスを持つ。著書に『医者が教えるサウナの教科書』（ダイヤモンド社）がある。

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ROOFTOP Sauna　＠東京・西荻窪

2021年12月にオープンしたばかりのサウナ。20人収容可能という広々としたスペースと、西荻窪駅から徒歩約1分という立地の良さが魅力的。都内では珍しいオートロウリュが設置されており、湿度たっぷりの本格的なフィンランド式サウナを味わえる。コワーキングスペースも併設されており、セット料金のプランもあり。